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悪の対話術 の商品レビュー

3.6

22件のお客様レビュー

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コミュニケーションに…

コミュニケーションについて、本質的でかつ示唆に富む面白い本です。あなたの話し方が変わるかもしれません。

文庫OFF

2023/05/12

他人とのコミュニケーションは時に億劫で面倒で話題に困ることがある。特に初対面の人との会話は、相手の興味のありそうな話題探しや、話の糸口を切り開くための観察やらで思いの外、体力と神経を消耗する。 自分が仕事上の立場で優位な場合、例えば発注者と受注者で言えば前者の様なケース(ビジネス...

他人とのコミュニケーションは時に億劫で面倒で話題に困ることがある。特に初対面の人との会話は、相手の興味のありそうな話題探しや、話の糸口を切り開くための観察やらで思いの外、体力と神経を消耗する。 自分が仕事上の立場で優位な場合、例えば発注者と受注者で言えば前者の様なケース(ビジネスの立場は対等だが、訪問される側(上位)になるのが一般的)では、訪問側が話題を準備してくれるから楽ではあるが、一方的にしゃべらせておくわけにはいかないので、適当な所で多少なりとも話の流れに乗った言葉を発していかなければならない。 その逆に部下との1on1ミーティングなどは、その機会を言いづらかった相談をするといった自分に有利に使う(積極的に話してくる)ものもいれば、上司から何か話して欲しいと期待感をもって挑んでくる人も居る。上司は日常の仕事を見たりしているから、大抵は話題に事欠かないが、何も喋ってこないというのも寂しい。そんなに話したくないのかと悩む事も以前はあった。 話すのも訓練ということで、何度かその様な場で、会話の切り口を待ったことがあったが、開始10秒で私が折れる。話さずには居られないというよりその緊張状態に耐えられない。 コミュニケーション力や量は人それぞれであるが、必要なのは情報量や知識、教養であることは間違いない。決定的に不足していたら会話はすぐに途切れてしまうし、本書で言う様に一方的に自分の得意分野だけを話続けたら、それはもう双方向を基本とする対話=会話にならないし、自己満足に終わる。相手は延々と詰まらない時間を過ごすことになる。適度に相手の知見のある領域かつ触れてはならない領域を避け、尚且つ一定の距離感で双方向の対話を継続するのは、やはり疲れるのは仕方ない。勿論気の合う仲間同士ではそんな事はないのだが。 本書はそうしたコミュニケーションに於いて、自分の発する発言で相手を屈服させる事を目的にしたものではないものの、そうしたやりとりを人間の本性や本音を基に独特の批判的な言葉で鋭く突いていくものだ。少し回りくどい言い方をしたが、読み始めは筆者がとんでもない捻くれ者であるかの様な印象を受ける。そして読み進めるうちにその独特なワールドが心地良くなり、気づいたら自分の会話も一定程度その様になってると言う共感を覚え始める。そうなってくると一気に読める。 対話術と言いながらも、何か会話のテクニックや場の持たせ方を学ぶ様なものではなく、会話における人間の嫌な部分や本性を明らかにしていく内容になっている。それを逆手に取ると、確かに自分の思い通りに、相手とのその場の信頼関係を崩さず(その場においてのみ)、対話時間の支配者になる事も可能だ。 まずはページを巡って三分の一程読み進める事をお勧めする。そこでも違和感が消えない様なら、恐らく読者と筆者の性格が合わないか、言い回しに抱く嫌悪感が拭い去れない状態にあると思う。その場合は閉じればよい。 読了後、清々しいと言うよりは、自分のこれまでの会話の反省や、自分の性格の悪さに多少の嫌悪感、そして表情は半笑いになっている。 それなりに沢山の本を読んできたが、なんだろうこの独特な精神状態は。読み終わった時点で筆者の狙い、術中にまんまと嵌った自分がいる。

Posted byブクログ

2021/10/22

人によって本当に評価が分かれる本だと思うが、私はとても面白かった。 同じような内容、形態の本が多い中、読者に対して語りかけるを通り越して、隙あらば刺してくるような言葉の鋭利さが面白かった。 内容も類をみないもので、悪口、嘘、お世辞オッケーと公言する度胸が凄いし、根拠もそれなりに...

人によって本当に評価が分かれる本だと思うが、私はとても面白かった。 同じような内容、形態の本が多い中、読者に対して語りかけるを通り越して、隙あらば刺してくるような言葉の鋭利さが面白かった。 内容も類をみないもので、悪口、嘘、お世辞オッケーと公言する度胸が凄いし、根拠もそれなりにあるから面白い。 著者が言う大人の世界は、ある程度レベルが高い所を指している感じはあるが、自分が鎬を削り合う大人になりたいと思った瞬間からそれは始まっていると思う。 この本を読んだ事で、大人の世界に興味が湧いたが、頭の片隅に置いとくぐらいに受け止めようと思った。

Posted byブクログ

2015/07/15

だいぶ前に読んでたのを忘れてて、再読。著者が世間的にもっとも注目されていた時期の本なのかなあ。 スノビッシュ書きぶりは今読んでも一つの芸として成り立っているし、単に偽悪的なだけではなくかなり根源的な話をしており、ためになる。 まあ背伸びするってのは大事だね。

Posted byブクログ

2014/02/06

評論家・福田和也の対話術です。 「悪の対話術」と銘打たれている通り、自分の言葉が相手にどのような効果をもたらすのか、それによって自分がどのような人間関係を選択しているのかということに、徹底的に自覚的に振舞うことが重要だと論じられています。 とても実践することなど叶わないと思っ...

評論家・福田和也の対話術です。 「悪の対話術」と銘打たれている通り、自分の言葉が相手にどのような効果をもたらすのか、それによって自分がどのような人間関係を選択しているのかということに、徹底的に自覚的に振舞うことが重要だと論じられています。 とても実践することなど叶わないと思ってしまいましたが、ナイーヴな善意を嘲笑する著者のスタンスが興味深く、おもしろく読めました。 ところで、著者がある経済学者に「柔ちゃん」というあだ名をつけたというエピソードが紹介されていますが、この経済学者というのは竹中平蔵なんでしょうか。

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2013/07/30

ある作家による攻撃的な対話術。 その辺の啓発本より圧倒的に面白い。 本全体に著者のユーモアが溢れている。 その一方で、確かにそうかもしれないと思わせるような論の展開が進められていく。 この本全体が「悪口について」という章で語られた悪口の甘美さに根ざしているのではないかとも感じる...

ある作家による攻撃的な対話術。 その辺の啓発本より圧倒的に面白い。 本全体に著者のユーモアが溢れている。 その一方で、確かにそうかもしれないと思わせるような論の展開が進められていく。 この本全体が「悪口について」という章で語られた悪口の甘美さに根ざしているのではないかとも感じる。 目標に向かいつつ、その工程を本気で楽しめるかどうかが生きることが楽しいかどうかの分かれ目という説は確かにその通りかもしれないと思った。 普段生活していると忘れがちになる自分の意識を再確認できる良書。

Posted byブクログ

2013/06/07

思ってた内容と、違った。How Toものかと思ってたけど、「姿勢」の説明のようなもの。「悪」とついてるから、悪いことのように思えるが、要するに、思ったことを思ったように表現するのは、怠惰なことだということ。でした。頭を使って会話せよって話。

Posted byブクログ

2011/12/07

「虚偽の助けを得られなければ、真実として輝かないのが、人間たちの世界なのですから。」(虚偽と韜晦) 「大人であるということは、意識していないこと、意識したくないことについて、明確な認識をもとうと試みること、そのような意図のもとに、自己と他者と世間を見つめることです。無自覚である...

「虚偽の助けを得られなければ、真実として輝かないのが、人間たちの世界なのですから。」(虚偽と韜晦) 「大人であるということは、意識していないこと、意識したくないことについて、明確な認識をもとうと試みること、そのような意図のもとに、自己と他者と世間を見つめることです。無自覚であること、自分の立場や位置について認識が甘いということは、それだけで恥ずかしいことであると銘記する勇気と緊張こそが、大人である証し。」(敬語について) 「対話術を身につけるということは、『素地そのままの無邪気な私』といったものを捨て去ること、諦めることであり、無意識の、自然の説得力といったものや、誠意があれば通じるといった怠惰さを断念することなのですから。」(多弁と無言) 「好奇心は、人間にたいする絶望的な真実にも、耐えることが出来ます。それは美しくはないかもしれませんが、人間という卑小で俗にまみれた存在を、最終的には肯定する力をもっているのです。」(観察と刺激) 不確定な世界においてつい絶対的なものを求めてしまう〈逃避〉から目を背けず、それにも関わらず、いやそうであるが故に対話に快楽を見出す。綺麗に纏まったものではなく、現実になんとか向き合っていこうとする姿勢に共感した。 また全体的な印象として、特に(焦りと緊張)の章から、『暇と退屈の倫理学』と似たものを感じた。この本が気に入った方は合せて読んでみては。

Posted byブクログ

2011/08/23

私が云う「生意気」というのは、もっとしっかりした、というか誇り高いものなのですね。自分より圧倒的な相手にたいして、敢えて切りつけようという覚悟と緊迫が必要なのです。 「絶望を前にしても、云うべきことは云う、最終的には伝わらないとしても、知力の限りを尽くして発言するという緊張と果...

私が云う「生意気」というのは、もっとしっかりした、というか誇り高いものなのですね。自分より圧倒的な相手にたいして、敢えて切りつけようという覚悟と緊迫が必要なのです。 「絶望を前にしても、云うべきことは云う、最終的には伝わらないとしても、知力の限りを尽くして発言するという緊張と果敢さが、容貌に溌剌(はつらつ)とした輝きを与える。つまり、対話について考えるということは、人と人は善意さえもっていれば互いに理解しあうことが出来るとか、通じ合うことが出来るなどという欺瞞から抜け出すことである。ある場面で、ある相手に対して、あるメッセージを伝えるためには、どのような語り口、声色(こわゐ)、云い回しで云えばよいのか、を考えることは、必然的に以心伝心といったひとの絆に期待しないということです。」(「悪の対話術」福田和也)

Posted byブクログ

2011/07/27

お世辞やら悪口やら敬語やら、コミュニケーション(あるいは「対話」)場面において推奨されたり忌避されたりするものの使い方や捉え方についての本。常識的な視点からは少し外れて、一味違ったやり方をすることがむしろ洗練された対話につながるというのが主旨であると思われる。 マニュアルに則...

お世辞やら悪口やら敬語やら、コミュニケーション(あるいは「対話」)場面において推奨されたり忌避されたりするものの使い方や捉え方についての本。常識的な視点からは少し外れて、一味違ったやり方をすることがむしろ洗練された対話につながるというのが主旨であると思われる。 マニュアルに則った作法が幅を利かせる現代であるからこそ、それと異なる姿勢でいることが価値を産みうる。特に喋りに機転を求められるような場面においてはこういうやり方もアリなのかもしれない。 しかし、著者の主張が通用するのは「礼儀正しい生意気」などを受け入れてくれる相手に対してだけということがどうも気にかかる。ウィットでも機転でも何でも良いのだが、対話相手がそれを評価してくれる人でなければ、「この野郎」とでも言われてしばかれて終わりということもありうるわけだ。著者はどうにもブッキッシュというか、受け手側という存在を捉えられていないように思われる。つまるところこの本で述べられているような手法は、ごくごく限られた狭い領域の世界においてのみ有効なんじゃなかろうかね。たとえば著者にとって馴染みが深く、一般読者には(直接の)縁が薄い文壇のような。 著者の微妙な視野の狭さが気になる。 この本の有効性というのもまた然り。

Posted byブクログ