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朱色の研究 の商品レビュー

3.5

161件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

    62

  4. 2つ

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2023/08/11

「有栖川有栖」の長篇ミステリ小説『朱色の研究』を読みました。 『虹果て村の秘密』、『孤島パズル』に続き「有栖川有栖」の作品です。 -----story------------- 過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する依頼者が推理作家「有栖川」と犯罪社会学者「火村」を訪れ...

「有栖川有栖」の長篇ミステリ小説『朱色の研究』を読みました。 『虹果て村の秘密』、『孤島パズル』に続き「有栖川有栖」の作品です。 -----story------------- 過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する依頼者が推理作家「有栖川」と犯罪社会学者「火村」を訪れた “2年前の未解決殺人事件を再調査してほしい”臨床犯罪学者「火村英生」が、過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子「貴島朱美」から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった――。 さっそく「火村」は友人で推理作家の「有栖川有栖」とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、「火村」宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った……。 現代の「ホームズ」&「ワトソン」が解き明かす本格ミステリの金字塔。 ----------------------- 探偵役である臨床犯罪学者「火村英生」と、「ワトソン」役の推理作家「有栖川有栖(アリス)」のコンビが活躍する作家「アリス」シリーズの長篇5作目にあたる作品… 名探偵「シャーロック・ホームズ」シリーズ第1弾『緋色の研究(原題: A Study in Scarlet)』を意識したタイトルのようですね。  ■プロローグ――夕景  ■第一章 幽霊マンション  ■第二章 疑惑の男  ■第三章 二つの灯  ■第四章 枯木灘を望む家  ■第五章 朱色の悪夢  ■終章 遠い太陽  ■エピローグ――落日  ■あとがき  ■文庫版あとがき  ■解説 朱色の研究者たちあるいは『本格推理の悲しみ』について 飛鳥部勝則 臨床犯罪学者「火村英生」は教え子の「貴島朱美」から、2年前の未解決殺人事件について捜査依頼を受けた… 2年前の6月末、被害者である「大野夕雨子」は周参見の別荘近くの浜辺で、後頭部を鈍器で殴殺された状態で発見された、、、 被害者と恋人関係にあった「山内陽平」が疑われたが、物的証拠がない上に、アリバイが成立したことで迷宮入り… 遺体の背後にある高さ5メートルの崖から、大きな石が落とされていた点も捜査を難航させたという。 依頼を受けた「火村」は、当時の事件関係者に事情を聴取しに向かった… その足で友人である推理作家「有栖川有栖」を訪ねた「火村」、、、 翌朝、「アリス」の元へ不審な電話が入る… 「今すぐにオランジェ夕陽丘の806号室に行け、と火村先生に伝えてくれればいい。そうだ、あなたも一緒に行ってもらおう」、、、 そのマンションは前日、「火村」が事情聴取のために訪れた建物である… 訝しがりながらも指定された806号室へ向かった二人は、浴室で絞殺された男性の遺体を発見する。 被害者は2年前の「大野夕雨子」殺しの関係者「山内陽平」だった… 6年前の深夜の放火(殺人?)、2年前の「大野夕雨子」殺し、そして今回の「山内陽平」殺し、、、 3件の事件の真相を、「火村」と「アリス」は紐解いていく……。 それぞれの動機と犯人… 3件の事件がパズルのピースを嵌めるように繋がっていく終盤は一気読みでしたね、、、 事件に至る男女の思惑の微妙なズレは、現実世界でもありそうですね… 2年前の「大野夕雨子」殺しの殺害時間を特定する推理、「山内陽平」殺しのトリックよりも、その目的を明らかにする推理、これが冴えていましたね。 本シリーズは、「有栖川」と「火村」二人のコンビが、丁寧に事件を解決してくれるので、わかりやすくて愉しみやすいですね。

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2023/03/16

久しぶりの火村シリーズ。初期の作品で火村の犯罪者に対する想いが聞ける稀有な回でもある。肝心のストーリーは長編ならではの旅情性と2人の掛け合いが十分に楽しめて良かった。解説でも書かれていたように「どちらへ転んでもいいトリック」というのが秀逸で他にあまり例が浮かばない。だが、犯人の殺...

久しぶりの火村シリーズ。初期の作品で火村の犯罪者に対する想いが聞ける稀有な回でもある。肝心のストーリーは長編ならではの旅情性と2人の掛け合いが十分に楽しめて良かった。解説でも書かれていたように「どちらへ転んでもいいトリック」というのが秀逸で他にあまり例が浮かばない。だが、犯人の殺人の動機だけが解せない。流石にそれで犯行には及ばないだろうと思えてならない。有栖川作品の初期に見られる物語全体を覆うセンチメンタルな雰囲気(今風ではエモい雰囲気)が何とも物悲しく、これぞ本格ミステリの王道とも言える。

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2022/10/10

犯人の動機に納得できない部分があった。犯人はある女性をほとんど宗教的情熱を持って信仰し、その情熱のままに殺人を犯す。まるで宗教者が悪魔や鬼と対峙したかのように。そしてその信仰は夕日とも重なる。また作中ではその犯人が「若きウェルテルの悩み」のウェルテルに重ねられるなどいささか文学的...

犯人の動機に納得できない部分があった。犯人はある女性をほとんど宗教的情熱を持って信仰し、その情熱のままに殺人を犯す。まるで宗教者が悪魔や鬼と対峙したかのように。そしてその信仰は夕日とも重なる。また作中ではその犯人が「若きウェルテルの悩み」のウェルテルに重ねられるなどいささか文学的すぎる。世の中のほとんどの人間はウェルテルに共感はできても本当に実行はしない。 また動機が情緒的なのに対して、犯行が用意周到すぎる気がした。 ただ狂信的とも言える犯人の信仰と犯罪が夕日の切なさとかかってくる展開は良い。容疑者Xの献身を思い出した。あと動機なんて後付けだと言った探偵もいたな。

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2022/10/08
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何を言っても変な感じになりそう。放火から繋がる一連の事件。アリスの珍推理が楽しい。たまに当たったり、火村が頷くとちょっと嬉しそうなのもよい。こんなに違和感なく居続けられる友だちって貴重よ。 事件は、始まりの放火で全てだった。そうかもなぁって思っていた人が犯人という、珍しいパターン。 珍しくといえば、事件の解決を依頼した学生が好きになれなかったな。男性が描く女性って難しい。逆もそうなのだと思うけど。火村シリーズの中ではライトな気がする。

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2022/05/17
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病院の待合室にて読了。久々の火村先生シリーズ。 最初に感じたなんとなくの違和感が最終的にちょっとスッキリ。…は、したんですが、もうちょっとびっくりしたかったなぁーという無いものねだりな気持ちです。 でもやっぱり火村先生とアリスさんのコンビは読んでいてたのしいですねぇ。会話のキャッチボールが楽しい。 そして何より、『21世紀のウィルス』のくだりにゾクリとしました。(こっちにゾクゾクしすぎて本編のゾクリが薄まった…かも!?) 予言者…!!!

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2022/05/08

初っ端から火村先生&アリスに挑戦状を叩きつけるような事件。 そんな始まりのわりに事件は地味だなぁと思っていたら、思ってたよりも大胆な犯人だった。 流石に過去の事件は解決するにも手がかりが…な状態から、突然の閃きと推理。 最後はあっという間に全ての事件を解き明かしちゃう火村先生、流...

初っ端から火村先生&アリスに挑戦状を叩きつけるような事件。 そんな始まりのわりに事件は地味だなぁと思っていたら、思ってたよりも大胆な犯人だった。 流石に過去の事件は解決するにも手がかりが…な状態から、突然の閃きと推理。 最後はあっという間に全ての事件を解き明かしちゃう火村先生、流石でした! 今回はアリスの推理小説に対する考え。 それに『海のある奈良の死す』での火村先生が見る悪夢の内容を知ることが出来たので、ミステリだけでなくキャラクターへの興味も満たせて良かった。

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2022/04/20
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めちゃくちゃ読むの時間かかった~。 夕日の真っ赤に燃える描写がとても鮮烈。 二段階構えの謎解き、面白かった…。 これドラマで見たことあったからエレベーターのトリックは覚えていたけど、 犯人とか別荘のトリックとかは全部忘れていたので新鮮に驚いた。 犯人の動機はよくわからないと思ったけど、納得している人もいて、そういう衝動に駆られることもあるのだなと新鮮に驚いた。 風景描写がとても好き。 「夕日」をこれでもかと出してくるのに、毎回違った表現で表してくるから脱帽。

Posted byブクログ

2022/03/27
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夕焼けを題材にしたストーリー。最新作もだけど、有栖川さんは夕焼け空が好きなのかな。 今回は、作中でアリスがミステリーを書く意味だとか、火村のフィールドワークの理由なんかが描写されてて、派手さはないんだけど満足度の高い一作だった。 この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです。 この辺りの台詞が特に好き。 好きなひとがいるのに、他の女のひとの魅力に傾いてしまった自分が許せなくて他の女のひとを手にかけるって…動機の面は全く意味がわからなかったな…有栖川さんの作品は割と動機がよくわからない。たぶんこのひとの価値観が自分と違うんだろうな…

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2022/03/24

一章から火村さんもアリスもずっと一緒。そんな始まりが好みだった。夕焼け、極楽浄土、風景、、火村さんとアリスの掛け合いがとても良かった。

Posted byブクログ

2022/03/08
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派手さはないが、完成度が高い、とても有栖さんらしい作品。 車の陰という小さな手がかりから犯人を導く手腕もさすがだが、どちらかというと動機に重点が置かれているのだろうか。 想い続けている人がいる中で、他の女性を好きになってしまう。 朱色に染まった、なんとも物悲しい物語だ。 飛鳥部勝則さんの解説も面白かった。

Posted byブクログ