1,800円以上の注文で送料無料

茶と美 の商品レビュー

4.5

6件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

茶の道に見る美の世界…

茶の道に見る美の世界。静かな気持ちになれます。

文庫OFF

2024/10/19

民藝を推してた柳宗悦が茶の湯に批判的だったと聞いて読んでみた本。思ったのは、柳はそれほど茶の湯に取り組んだわけでもないが全く触れていなかったわけではなく、批判の対象も茶の湯というより茶人の性向のようなものに対してで、それは自分も十分に気をつけたい。 いいこともいっぱい言っていて、...

民藝を推してた柳宗悦が茶の湯に批判的だったと聞いて読んでみた本。思ったのは、柳はそれほど茶の湯に取り組んだわけでもないが全く触れていなかったわけではなく、批判の対象も茶の湯というより茶人の性向のようなものに対してで、それは自分も十分に気をつけたい。 いいこともいっぱい言っていて、無事の美が尊ばれるべきでそれが井戸と作為のある楽との差だとか、茶事が巧みにできるとそれで茶人として立派になったと思いがちで講釈を垂れたがるが、本当の茶人はそうじゃないだろという指摘とか。金がものを言う現在の茶会批判とか、知識の前に物を直に見ろとか、許状はカトリックの免罪符と一緒だとか。 遠州とか遠州流はかなり厳しい批判の対象になっていて、それは点法にわざとらしい所作があるとか道具の作為の話なんだけど。銘についても同じく批判している。ここは議論の余地はあると思う。

Posted byブクログ

2021/11/14

茶人にとって茶道具は隠すものではない。柳宗悦『茶と美』(講談社、1986年)は茶道具を秘蔵する性向を批判する。 「真に物を愛する者は必ずや悦びを人々とも分かちたいであろう。見せない態度より、見せたい態度の方が遥かに自然である。また、気持ちとしても明るい」(92頁)。 その上で...

茶人にとって茶道具は隠すものではない。柳宗悦『茶と美』(講談社、1986年)は茶道具を秘蔵する性向を批判する。 「真に物を愛する者は必ずや悦びを人々とも分かちたいであろう。見せない態度より、見せたい態度の方が遥かに自然である。また、気持ちとしても明るい」(92頁)。 その上で、「徒に秘蔵するのは茶の精神に悖る」とし、「茶人の趣味は変態であってはならぬ」と茶道具を秘蔵したがる趣味を変態と切り捨てる(93頁)。 誰が所有したかという事実も茶道具の来歴を示すものとして重要である。紛争の対象となった事実さえ、茶道具の価値を高めるものになる。墨蹟「流れ園悟」は堺の豪商の谷宗卓と伊達政宗が所有権を争い、古田織部が二分割して分けた。この事実が「流れ園悟」の価値を一層高めた。「流れ園悟」は北宋の禅僧の圜悟克勤(えんごこくごん)の墨蹟である。桐の古筒に入れられて薩摩の坊津に流れ着いたという伝承から「流れ園悟」と呼ばれる。

Posted byブクログ

2012/04/06

生涯をかけて美を追求した柳宗悦がものした美学論。 己の美意識を磨き、直接対象に触れる事が勧められている。また作為的な作品を持て囃す事を戒めている。 柳の真摯な考察を、あらゆる先入観を捨てて読むと新しい地平が開けると思う。

Posted byブクログ

2010/02/25

美学について書いてある本で一番愛し、尊敬しています。 「~実際幾度か自らを忘れる、かかる異常な出来事によって、この世の優れた作品は得られたのである。彼らは真に彼らの愛するものを作ることに自らを没したのである。吾々はそれらの作に包まれた熱情を冷ややかに見過ごしてはならぬ。愛なくし...

美学について書いてある本で一番愛し、尊敬しています。 「~実際幾度か自らを忘れる、かかる異常な出来事によって、この世の優れた作品は得られたのである。彼らは真に彼らの愛するものを作ることに自らを没したのである。吾々はそれらの作に包まれた熱情を冷ややかに見過ごしてはならぬ。愛なくしてどうして美が生まれこよう。~」 「~真によき器とは同時に美しき器との意であらねばならぬ。功利の世を越えて、愛が陶工の胸に充ちる時に、彼は優れた作を生むのである。真に美しい作は作ることをそれ自らを楽しんだ時に生れるのである。~」 ここは、陶器について書いてある部分ですが、大好きで何度も読んでいる所です。抜粋した所だけ読むと、非常に優しくロマンチックに聞こえるかもしれませんが、読んで頂くと、柳氏の美に対する愛と感性は、非常に厳しく、眼光鋭く、1点の曇りも許されないほどの真剣さをもって語られています。 とてもではないですが、私など及びもつかないような方々さえもバサバサと切っていかれるのですが、一貫して流れる確かな観察眼と美に対する愛と感性は、本当に素晴らしいと尊敬しています。 私の絵に対する迷いにいつも答えてくれる本でもあります。 自分の興味があるのが、「美術工芸」の分野ということに意識させてもらった本でもあります。 この本の中にでてくる「工藝的な絵画」を目指して、まだまだ及びもつきませんが、勉強しつづけていきたいと思っています。

Posted byブクログ

2009/10/04

良書。字は小さいし、分厚いし、とっつきにくいかな〜?と思ったけれど、意外にも読みやすく、とても興味深かった。美しいと思うこころ、ものの価値についての考えをすっきり、クリアにしてくれた。

Posted byブクログ