月の森に、カミよ眠れ の商品レビュー
むかしむかし、カミを畏れ敬いながらともに生きてきた人々が、「カミ殺し」にいたるまでのおはなし。 文章構成が洗練されているとは言えないけれど、深いテーマを、しっかりと描いていて、とても面白いし、素晴しい内容と思う。 カミを殺すに至るムラ人たちの姿に、自分を重ねたとき、きっとそれ...
むかしむかし、カミを畏れ敬いながらともに生きてきた人々が、「カミ殺し」にいたるまでのおはなし。 文章構成が洗練されているとは言えないけれど、深いテーマを、しっかりと描いていて、とても面白いし、素晴しい内容と思う。 カミを殺すに至るムラ人たちの姿に、自分を重ねたとき、きっとそれ以外の選択肢はなく、カミを殺したことが責められるべきことなのかどうかもわからない。 カミを殺したことによって、確かに「失われたもの」があるけれど、では、それは何なのか?、それによってヒトは不幸になったのか?という問いに答えられる人はいないのだろうと思う。 上橋さんの作品は、ご自身の寄ってたつところが学術分野としての専門であるだけに、作品世界の土台がとてもしっかりしているところが好きです。
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「精霊の守り人」の上橋菜穂子の古代日本を舞台にした(?)ファンタジー。 この世のものでないものと人間の女の間に生まれた男二人が、女をめぐって争う話と、要約してしまうと情緒もへったくれもないんだが、ま、そういうこと。 うん、上橋菜穂子の物語は、案外簡単要約できる。 いわば...
「精霊の守り人」の上橋菜穂子の古代日本を舞台にした(?)ファンタジー。 この世のものでないものと人間の女の間に生まれた男二人が、女をめぐって争う話と、要約してしまうと情緒もへったくれもないんだが、ま、そういうこと。 うん、上橋菜穂子の物語は、案外簡単要約できる。 いわば、素麺の旨さみたいなものか。 このシンプルさが快感である場合もあるが、不思議と読み足りないという気持ちにはならない。ってことは、そのへんにテクニックがあるのか?? ステレオな部分だって結構あるのに、読みながらステレオだなと思うのに、それが嫌じゃない。むしろ快感であるのも、テクニックなんだろうなぁ。 上橋菜穂子はまだまだ謎の作家なのだ。
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『獣の奏者』『精霊の守り人』シリーズの作者が1991年に手がけた物語です。 あとがきによると、九州祖母山に伝わる『あかぎれ多弥太伝説』に惹かれ、オーストラリア先住民アボリジニと暮らしたことに影響を受けたそうです。 しきたりなどの描写がリアルで、まるで実話のように感じました。 大き...
『獣の奏者』『精霊の守り人』シリーズの作者が1991年に手がけた物語です。 あとがきによると、九州祖母山に伝わる『あかぎれ多弥太伝説』に惹かれ、オーストラリア先住民アボリジニと暮らしたことに影響を受けたそうです。 しきたりなどの描写がリアルで、まるで実話のように感じました。 大きな勢力が少数派の価値観を飲み込んでいくような事は現代日本でも日常的に続いおり、これは日本という狭い土地、湿り気を帯びた日本人が持つ性質なのだろうかと思い至り、少し怖くなりました。 それでも逞しく生きていく人々の姿に心を動かされます。
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神話そのもの! 神話って、どこの国のものも読後はちょっぴり寂しい感じがしてしまうのですが、そういう雰囲気がたっぷり味わえました。何か切ないよ~。 とはいえ、私は人間と自然は相容れないと思ってますので、自然は破壊し尽くして当然という考え方です。「当然」と言ったって罪悪感は持ってます...
神話そのもの! 神話って、どこの国のものも読後はちょっぴり寂しい感じがしてしまうのですが、そういう雰囲気がたっぷり味わえました。何か切ないよ~。 とはいえ、私は人間と自然は相容れないと思ってますので、自然は破壊し尽くして当然という考え方です。「当然」と言ったって罪悪感は持ってますけど…どうやったって共生は無理だと思います。ちょっぴり山深いとことか海の綺麗なとことか行って「空気がきれーい!自然っていいな!」などとは恥ずかしくてとても口にできませんよ。 そんな小賢しいことはよう言わん、と思ってはいますが…やっぱりこういう話を読むと気持ちは揺らぎますね。 揺らぐ分だけまだ救いがあるのかな、などと自分で思ってみたりもします(笑)。でも人間って本当に非自然的なものですのでねえ…やっぱり無理かなあ…? とりあえず、昨今これさえ口にすればご大層な大義名分を背負った気になれるらしい「地球に優しく」というスローガンは大嫌い、と再認識しました(笑)。
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・昔読んだ ・確か、神様の血を引く子と村の女の子の話? ・怖い、けどすごく惹かれる ・暗示的 ・色々考えさせる ・なんか切ない ・最後が、すごくいい
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著者の初期の作品ということで、正直それほど期待せずに読んだら…驚きました。 神の世から人の世へと替わろうとする村。神と、そしてその挟間で揺れる人の物語。神と人の原始の姿、暗く深い、水と土が混じりあった沼の匂いがします。 神の力と怖さ、人の弱さと心、変わりゆく時の流れ。作品としては...
著者の初期の作品ということで、正直それほど期待せずに読んだら…驚きました。 神の世から人の世へと替わろうとする村。神と、そしてその挟間で揺れる人の物語。神と人の原始の姿、暗く深い、水と土が混じりあった沼の匂いがします。 神の力と怖さ、人の弱さと心、変わりゆく時の流れ。作品としては荒削りだけど、渦巻き、圧倒されるような力強さを感じました。
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狩猟・採集を中心とした、自然の一部としてカミと人がネゴシエーションする時代から、農耕・栽培の導入ーーカミを排除して人間自らが自然を支配ないしコントロールする時代へと移行する時期におけるカミ殺しの物語。筆者のアボリジニー調査の経験の影響か、登場人物の「語り」が物語をつむいでゆく手法...
狩猟・採集を中心とした、自然の一部としてカミと人がネゴシエーションする時代から、農耕・栽培の導入ーーカミを排除して人間自らが自然を支配ないしコントロールする時代へと移行する時期におけるカミ殺しの物語。筆者のアボリジニー調査の経験の影響か、登場人物の「語り」が物語をつむいでゆく手法として、またテーマとして重要な役割を果たしている。その後の作品を読んでいるせいか、若干生硬な印象を受けるが、雰囲気はよく出ていて好感をもてる。この人の作品はこのくらいのボリュームにまとめられた方が落ち着きがいいと個人的には思う。
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日本人が農耕民族にうつる前の縄文時代を舞台にしたはなし。 神と人が交わっていた時代。神に魅入られた娘と租をおさめるために神を切り離そうとするムラ。 山を守ることで人を守っている神。 そのムラに招かれた神と人の子の苦しみ。 それぞれの思いがやるせない結末を迎えます。
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「精霊の守り人」で人気の上橋さんの作品。 文化人類学を研究した人で、物語の世界観に定評があるにはある人。だけど、これくらいのことは、ちょっと勉強している作家には書けると思うんだよね。そしてこの人はあんまり文章やら、構成やらが上手くない。 世界観は面白いんだけど、なんか話が分かりに...
「精霊の守り人」で人気の上橋さんの作品。 文化人類学を研究した人で、物語の世界観に定評があるにはある人。だけど、これくらいのことは、ちょっと勉強している作家には書けると思うんだよね。そしてこの人はあんまり文章やら、構成やらが上手くない。 世界観は面白いんだけど、なんか話が分かりにくいし。 それに、いまいち登場人物に共感できないんだよなー。 この人は<この世とあの世の間>って概念が好きみたい(狐笛でも出てきた)なんだけど、それもイマイチわかんない。間って何?現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)では駄目なの? 人が生きるために(イネを作るために)、掟を破ってカミの沼を侵すっていう、人か神かの選択で迷うというテーマは面白いとは思うけど。 それに、オニの概念が出てくるのは、もうちょっと後の時代からではないの? なんだかなー。たつみや章さんや銀金にはかなわない。
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まあまあ、かな。 起・承・転まではうまいこといってたんだけど、 肝心の結の部分が薄いような印象を受けた。 ファンタジーとしての作りこみの部分は詳細で、 生き生きとしているだけに、 ストーリー構成をもうちょっと深めてほしかった。
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