1,800円以上の注文で送料無料

父と子 の商品レビュー

4

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    12

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

この本を読むまでは、…

この本を読むまでは、永六輔に対して、時々NHKに出ていた早口の放送作家としてしか認識がなかったが、かなりの反骨精神をもった人であり、表面(マスコミ等)に出てこない人や事物の代弁者であったことも理解できた。父と子の文通による対話形式を取っているのも良い。

文庫OFF

2023/08/04

知識と使命の両方を備え、対極であるパーヴェル伯父との戦いを通して鋭さを浮き彫りにするニヒリスト・バザーロフ。貴族階級のアルカージイに信奉されつつも、出会う女性に抱く恋心をみとめて葛藤したり、老いた両親からの無償の愛を煩わしく思いながらも、チフスで死ぬ最期の時には物質的でないものの...

知識と使命の両方を備え、対極であるパーヴェル伯父との戦いを通して鋭さを浮き彫りにするニヒリスト・バザーロフ。貴族階級のアルカージイに信奉されつつも、出会う女性に抱く恋心をみとめて葛藤したり、老いた両親からの無償の愛を煩わしく思いながらも、チフスで死ぬ最期の時には物質的でないものの美しさ・尊さを口にするあざとさ、全てがずるいキャラクター。医者であり有能でありながら、雑階級であることも手伝ってどこか諦観があり、ニヒリズムの徒として周りを睨みながら生きている。貴族のアルカージイも、自尊心の高いパーヴェルも、自分の信念と少しの矛盾や嘆きを内包して生きていた。自分で信じることに全てを捧げて身も心も染まれなくてもいい。素晴らしいものとは、どんな心情の前でもかたく素晴らしいのだ。

Posted byブクログ

2023/06/29

登場人物が多くて、その上に名前がコロコロ変わるから最初の方はこいつ誰だ!?ってなった。 バザーロフがオジンツォーワに初めて会う時、そわそわしてるシーンがお気に入り。ニヒリストでデータしか信用しないぞ僕は!ってキャラなのに、美人なオジンツォーアに会うとソワソワしちゃう。 最初はな...

登場人物が多くて、その上に名前がコロコロ変わるから最初の方はこいつ誰だ!?ってなった。 バザーロフがオジンツォーワに初めて会う時、そわそわしてるシーンがお気に入り。ニヒリストでデータしか信用しないぞ僕は!ってキャラなのに、美人なオジンツォーアに会うとソワソワしちゃう。 最初はなんか微妙な登場人物だなって思ってたけど、この辺りからバザーロフが好きになった。 バーヴェルペトローウィチが嫌な奴じゃなくて、イケメンで礼儀正しいって設定なのが良いね。 作者のあとがき曰く、ツルネーゲフは登場人物一人一人に敬意を払ってたらしい。決闘で死ななくて良かった。 最後バザーロフが呆気なく死ぬのはどう言った意味が込められてるのだろうか?アルカージイと別れてしみじみとした感じで終わるんだなと思ってたら、更に悲しい展開があった。 ワシーリイイワーノウィチが悲しむの見てると、こっちまで気持ちが伝わってきて悲しくなる。 個人的にはオジンツォーワと再開した所で終わりみたいな展開にして欲しかった。悲しい( ´・ω・` )

Posted byブクログ

2022/05/10

あっさりしていて、意外と世代間の違いとかあまり印象に残らなかった。バサーロフの親はひたすら不憫...

Posted byブクログ

2021/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

同作者の「はつ恋」にも似たタイプの女性が出てくるあたり実在のモデルがいるのか、はたまたツルゲーネフの理想の女性像か。どちらの女性も完璧主義者、プライドが高く高貴なイメージ。どちらも想いをよせる主人公には振り向かない。

Posted byブクログ

2021/05/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アルカージイ、バザーロフの子世代と、その親世代のすれ違い。一切を否定しようとするバザーロフたちも恋に落ちればロマンチストになってしまう。バザーロフに愛の告白を誘導しておいて拒否するオジンツォーワが謎。結局アルカージイはカーチャへの愛を選んでバザーロフトは決別し、バザーロフはオジンツォーワに愛されることなく戻った郷里で病死する。ニヒリストの挫折。

Posted byブクログ

2021/02/01

 kazzu008さんのレビューを見て、読んでみようと思った。  書かれた時代は1862年、ロシアの農奴解放の年である。「子」の一人はアルカーシャ。ロシアの田舎の大地主の息子で、貴族階級。もう一人の「子」はアルカーシャが尊敬する親友のバザーロフ。バザーロフは雑階級で医者の卵で何事...

 kazzu008さんのレビューを見て、読んでみようと思った。  書かれた時代は1862年、ロシアの農奴解放の年である。「子」の一人はアルカーシャ。ロシアの田舎の大地主の息子で、貴族階級。もう一人の「子」はアルカーシャが尊敬する親友のバザーロフ。バザーロフは雑階級で医者の卵で何事も信じない「ニヒリスト」で、その新しい考え方がアルカーシャを魅了している。二人が大学を卒業して三年ぶりに帰省する際、アルカーシャは自分の家にバザーロフを連れてくる。貴族階級の古い頭の父親とその兄(伯父)には、バザーロフと彼に賛同するアルカーシャのことが理解出来ない。まだ、父親のほうは、最近の本などを読んで、一生懸命若者の考えを理解しようと努めるのだが、かつての貴族の栄光にしがみついて生きる伯父のほうは、バザーロフとは敵になってしまった。  アルカーシャとバザーロフは、ある貴婦人を巡って三角関係になり、その頃から友情関係が怪しくなり、バザーロフの明晰さも狂いだす。  バザーロフは雑階級だが、そうはいっても使用人に身の回りのことは何でもさせる家の出身だし、どちらも結局お坊っちゃんなので、二人が粋がって言っていることが机上の空論のように思えた。  物語が急展開を見せたのは中盤を過ぎてから。「父」の世代は何もしない、格好ばかりの貴族だと思っていたが、実はロシア人ってすごく根深くて、重たい感情を持っているのだ。こういう根深さがロシア文学に重みを出しているのか。  結局、幸せになるのは……。ロシア革命の半世紀くらい前の話。まだロシア社会は実際には大きくは変われなかったということだろう。  ロシア文学は重厚で長大だが、ロシアは長く「指図するように出来ている地主とそれに従うように出来ている農民」に分かれていた国。ツルゲーネフも社会の動向をよく観察していた作家だが、大地主の息子だった。「従う」立場にあった人により書かれた文学があれば読みたいと思った。

Posted byブクログ

2021/01/21

GW中に読みきることができた。本作はアレクサンドル2世の農奴解放令のときの作品である。本書を読んでいて、てっきり主人公はアルカージイかと思っていたのだが、若きインテリゲンチャたるバザーロフが主人公のようである。父世代の古き貴族的文化と新しい民主的文化の相克がモチーフであるが、この...

GW中に読みきることができた。本作はアレクサンドル2世の農奴解放令のときの作品である。本書を読んでいて、てっきり主人公はアルカージイかと思っていたのだが、若きインテリゲンチャたるバザーロフが主人公のようである。父世代の古き貴族的文化と新しい民主的文化の相克がモチーフであるが、この主題はグリボエードフの知恵の悲しみを彷彿とさせた。解説にはバザーロフのような若きインテリゲンチャのエネルギーの重要性を説いてるとあったが、バザーロフのロマンチズムへの揺らぎと最期を見ると、果たして本当にそれだけなのか疑問に思った。

Posted byブクログ

2020/01/19

(01) ロシアに過ごされるひと夏の物語(*02)である.人物たちや彼女ら彼らの関係は様々ではあるにせよ,基本的には,二人組という単位があって,どのようなペアが組まれるのか,あるいはそのペアと別のペアが接近し,また3人組や5人組へと変奏されることもある.約30章からなる物語で,中...

(01) ロシアに過ごされるひと夏の物語(*02)である.人物たちや彼女ら彼らの関係は様々ではあるにせよ,基本的には,二人組という単位があって,どのようなペアが組まれるのか,あるいはそのペアと別のペアが接近し,また3人組や5人組へと変奏されることもある.約30章からなる物語で,中盤の第14章の舞踏会のシーンにおいて人物たちは最もざわめいてはいるが,前後の章では,親子(父と子,母と子),兄弟姉妹,恋人未満たち,友人たち,夫婦たちという単位に還元される.そのなかでは,バザーロフとパーヴェル・ペトローウィチとがとりもつ関係は,遠い関係ともいえるが,社会的対立の様相は,この二人の関係に極まっている. (02) 白樺を透かした木漏れ日が美しく,ここに現れるロシア人たちは,夏を焦がれ惜しむように,やたらと野外へと繰り出し,歩みをはじめる.朝食前,就寝前にも散歩をする.ニヒリストである前に,ナチュラリストでもあるバザーロフも歩みをとめないし,彼の勉強は,野外活動とともにある. 主要な人物たちは,庭というにしては大きな地所を有しており,農地として耕作者と関係を結び,地所の経営を行ってもいる.廃墟のような園亭もあり,決闘ができる森もある.長距離を移動するための馬車にも使用される馬が繋がれ,家主により菜園が営まれることもある. 都市での生活や屋敷の屋内での生活がある一方で,冬はともかくも夏場には,このように大地にまずは立ち,その上を歩く姿が19世紀(*03)のロシアにあったことを映し出している.農夫や使用人たちの点景も本書の魅力であるが,彼女ら彼らほど土地や屋敷に縛り付けられてないにしても,中流上流を動きまわる人物たちにも大地を踏みしめる足が(まだ)あったことは,物語の背景と相俟って,強く印象される. (03) 世代間の対立と和解が本書の主題のひとつではある.世代とは何か.同じような時代に同じような土地で同じような生活を営む集団として描かれる.と同時に世代は回転し循環するような「無限の生活」の仕組みもみえている. 父の世代と子の世代は,結局は,同じような年齢で,同じような決意をして,同じような失敗を繰り返すのではないのだろうか. すったもんだはありつつも,アルカージイもバザーロフも,そしてアンナも一度ならず,父や夫の地に腰を据えようとしている.あっちの父とこっちの地とあちこちへの往復運動は,主題の輻輳でもあり,近代の教養にあった移動性の表現でもある わたしたちはひとところにとどまっていてはならない,という近代の要請を受け,家族や伝統的倫理は引き裂かれる.そのまさに引き裂かれようとする瞬間を描き,引き裂くことで,逆に伝統の結合のありようをも解剖的に記述した本書には,普遍的なものと特殊的なものとが見事に結実もしている. アルカージイのアルカディア性,バザーロフのバザール性という,田園と市場の対比を持ち込んでも,またひとつの読み方が可能になるだろう.

Posted byブクログ

2015/08/27

めまぐるしくストーリー展開するわりに、長編ではなく、読みやすい。そのぶん重厚感はないが。物語の進み行きとともに、変化していくそれぞれの心情・思想。大変、良作。

Posted byブクログ