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響きと怒り の商品レビュー

4.1

13件のお客様レビュー

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あまりのド迫力に、息…

あまりのド迫力に、息切れしそうになります。そのためフォークナー初体験の方にはオススメできません。書物と格闘し、その肉弾戦のA~Zまでを味わえる1冊です。

文庫OFF

フォークナー三大作品…

フォークナー三大作品の一つ。(元)名家の家庭崩壊を複数の視点で描く。 人物の「意識の流れ」を紙とペンで完璧に表現した前半の二章はスゴイの一言。後半はなんか普通の小説っぽい

文庫OFF

互いを愛しながら、愛…

互いを愛しながら、愛される事のなかった不幸な家族の物語です。ストーリー展開の斬新な手法にも注目すべきでしょうが、いがみ合う家族の様子が哀しく描かれています。

文庫OFF

2024/06/26

第2章のクェンティンの章で、一気に面白く読みはじめた。1章のベンの章を読んでから、響きと怒りの論文を調べて《意識の流れ》というキーワードを取り込めたことが大きい。この小説の揺らぎ、または支離滅裂さを手掴むことができた。 クェンティンがある女の子と会ってその子の家まで連れてゆこうと...

第2章のクェンティンの章で、一気に面白く読みはじめた。1章のベンの章を読んでから、響きと怒りの論文を調べて《意識の流れ》というキーワードを取り込めたことが大きい。この小説の揺らぎ、または支離滅裂さを手掴むことができた。 クェンティンがある女の子と会ってその子の家まで連れてゆこうとする。だが上手くいかず、女の子の兄に不審者呼ばわりされることとなる。この辺りからだ。読みやすくなっていった。 南部の名門一家の没落してゆく姿としては読まず、白痴のベンの心の動き、純粋が故にすべてをありのままに映すメタファとなるところや、クェンティンやキャディが1人の人間としてどう生きる(死ぬ)ことを選んだかをあますことなく受け取った。2024の読書を振り返るとき、「この年は『響きと怒り』を読んでね」と言うだろう。

Posted byブクログ

2021/05/03

四章構成で、それぞれの章が異なる視点から書かれている 最初の章は白痴である三十三歳のベンジャミンが視点人物で、ここでまず混乱させられる。読み進んでいくとどうやら記憶と現実が混同しているようだとわかる。白痴である彼にとっては記憶は現実そのものとして体験されるので、記憶の中の出来事が...

四章構成で、それぞれの章が異なる視点から書かれている 最初の章は白痴である三十三歳のベンジャミンが視点人物で、ここでまず混乱させられる。読み進んでいくとどうやら記憶と現実が混同しているようだとわかる。白痴である彼にとっては記憶は現実そのものとして体験されるので、記憶の中の出来事がそのまま地の文として描かれる。しかも彼の記憶は過去のさまざまな出来事を行ったり来たりするので、時系列がむちゃくちゃな断片的なエピソードを、読者自身が白痴になったかのように追体験させられることになる。しかしこれらの出来事の意味がほんとうに分かるのは、最後までこの小説を読み終えてから、ということになるので、読者は最後の章まで読み終えた後で、この章を読み返すことになる。 次の章は、クェンティンが視点人物で、彼は空想的詩人であり、コンプソン家の他の人々同様、破滅型の人間であり、破滅することを望んでおり、「妹と近親相姦を犯したその罪のために自殺する」という空想(実際にはそのような罪は犯していない)を抱いており、自殺することを計画している。 コンプソン家のなかで唯一の正気の人として描かれているジェイソンは実務的人物で、彼の母が評しているように、コンプソン家というより母方の家の血を継いでおり、コンプソン家のなかではむしろ孤立した青少年時代を過ごしたが、いまでは没落するコンプソン家を経済的に支える屋台骨となっている。彼は母以外の人を愛していないようで、実際に母が死んだ後には、白痴であるベンジャミンを精神病院に送り、コンプソン家の最後の領地を売り払い、彼がいなければとっくに没落していたはずのコンプソン家は没落し、彼自身は長年苦しめられていた重荷から解放され自由になる。 ややフリーメイソン臭いことを除けば、面白い小説だった。難解なのは最初の章だけ、ここを乗り越えればあとは楽

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2021/03/06

第一章は知的障害者、第二章は精神障害者、そして第三章は(いわゆる)健常者が主人公。知的に世界を捉えることが難しい故の混沌さ、世界を統合して捉えあげる心的機能の弱体化ゆえの混沌さ、そして、世界の混沌さそのものをそれぞれの章で描き出していくフォークナーの筆の力にただただ感服。ベンジー...

第一章は知的障害者、第二章は精神障害者、そして第三章は(いわゆる)健常者が主人公。知的に世界を捉えることが難しい故の混沌さ、世界を統合して捉えあげる心的機能の弱体化ゆえの混沌さ、そして、世界の混沌さそのものをそれぞれの章で描き出していくフォークナーの筆の力にただただ感服。ベンジーは、何も見ておらず、何も聞いていないと思われていたけど、実は、コンプソン家の中で誰よりも的確に家族の心情を嗅ぎ取り、そして一人で泣いていた。

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2016/10/08

共感できる登場人物がいるわけでもなく、話が面白いわけでもないんだけど、読み出すとはまってしまうフォークナーの世界。響きはベンで怒りはジェイソンとコンプソン夫人かなあ。

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2014/05/31

 1929年発表、アメリカの小説家フォークナー著。アメリカ南部の町で、名門コンプソン家が没落していく。一部では障害者であるベンジャミン、二部ではハーバード大学に通う長男クエンティン、三部では物欲的な次男ジェイソンがそれぞれ中心になり、四部は神の視点で語られる。一部と二部ではいわゆ...

 1929年発表、アメリカの小説家フォークナー著。アメリカ南部の町で、名門コンプソン家が没落していく。一部では障害者であるベンジャミン、二部ではハーバード大学に通う長男クエンティン、三部では物欲的な次男ジェイソンがそれぞれ中心になり、四部は神の視点で語られる。一部と二部ではいわゆる「意識の流れ」が大胆に取り入れられており、頻繁に過去の場面がフラッシュバックする。  晦渋と言われているだけはあった。以前読んだ、同じ著者の「八月の光」より格段に読みづらい。  原因はやはり一部と二部の「意識の流れ」だろう。特に一部。障害者の思考を再現しているために、ものすごいことになっている。途中にフラッシュバックを挟む小説はあまたあれど、そこから現実に戻った時に、段落を開けずに平然と時系列がずれていることは、まず他の小説ではあり得ないだろう。しかもベンジャミンが言葉を発さないので、より一層、状況が分かりづらい。何だか読んでいると、本当に自分が言葉を発せられなくなったような、勝手に周りに押し流されているような気分に陥る。  二部まで読み進めると、一部でフラッシュバックに慣れているせいか、案外スラスラと読めた。この部の、クエンティンと女の子が一緒に歩く場面が、個人的には本小説で一番好きだ。女の子のいじらしさと後味の悪い結末により、切ない余韻が残る。  三部と四部はほとんどジェイソンの話といっていいだろう。コンプソン家が具体的にどうなってしまったかが、ここで大方分かることになる。  全体を通して見ると、本小説は、正直さほどストーリーが面白いわけではない。ラストシーンはあっさりしているし、目を引くようなグロテスクなシーンは間接的にしか語られない。これといったテーマも見当たらない(「八月の光」以上に、そう感じた)。ただ、それが故に、前衛的な手法と相まって、読み終えた後のスケール感が強調されている気がする。それは地理的なスケールというより、特にベンジャミンとクエンティンにおける、閉じた人間の心に降り積もった物語の重みに関するものだ。

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2018/12/30

これを解説なしで読める人がいるのか。 第一章は知的障害の人物の、第二章は鬱で自殺寸前の人物の、第三章はそれなりにまともな人物の意識の内面を描いている。 最初のベンジーの章では誰が誰だかまったく分からない。しかも知的障害のベンジーがゴルフの「キャディ」と姉の「キャディ」を混同してい...

これを解説なしで読める人がいるのか。 第一章は知的障害の人物の、第二章は鬱で自殺寸前の人物の、第三章はそれなりにまともな人物の意識の内面を描いている。 最初のベンジーの章では誰が誰だかまったく分からない。しかも知的障害のベンジーがゴルフの「キャディ」と姉の「キャディ」を混同しているという余計混乱させる仕掛け付き。ちょっとしたきっかけで意識が過去へ現在へと行き来するので、状況を理解するのも大変。 次の長男クエンティンの章でも鬱状態にあるため混乱した意識を読まなければならない。 第三章のジェイソンは傲慢ながらも意識は正常なため、比較的読みやすい。ここまで読めば解説なしで読んでも概ね理解できるのかもしれないが、そのためには第一章からもう一度読み直さなくてはならない。そんな気力は残っていないでしょう。 コンプソン家の没落を描いたらしいが、クエンティンたちの父であるジェイソン3世かその前ぐらいから成功した家のようなので、2、3代で没落したことになる。あっという間ですね。 物語や登場人物の感情という点ではそれほど心を動かされるものでもなく、評価が高いのもどうやら技術的な面に重点が置かれているためのようです。

Posted byブクログ

2012/06/16

この小説の構成たるやさすが。今まで読んだフォークナーの中で、一番の凄みを感じた。 しかし、方言を表すのになんで「さあいくべ」とか訳すんだろ?そろそろ最新の翻訳にして読み直したいと思うんだけど。岩波版といろいろ見比べて、この講談社版にしたんだけど、どちらも今ではコントでしか聞けない...

この小説の構成たるやさすが。今まで読んだフォークナーの中で、一番の凄みを感じた。 しかし、方言を表すのになんで「さあいくべ」とか訳すんだろ?そろそろ最新の翻訳にして読み直したいと思うんだけど。岩波版といろいろ見比べて、この講談社版にしたんだけど、どちらも今ではコントでしか聞けないような「~ですだ」「~ですかい」といった言葉群にはちょっと参った。その点、「八月の光」はすばらしいと思う。

Posted byブクログ