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日輪の遺産 の商品レビュー

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209件のお客様レビュー

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2018/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

帝国陸軍がマッカーサーから奪い、終戦直前に隠した財宝。その財宝に関わった人々とこれから関わろうとする人達の話です。てっきり宝探し系の話かと思いきや…、いい意味で予想を裏切られました。 競馬場で出会った老人から手帳を遺された丹羽は不動産会社の経営がうまくいっておらず、その老人真柴の話を疑いつつ、一縷の望みに賭けたい気持ちもあり、同じように真柴から手帳を託されていた地域のボランティアをしている海老沢と共に財宝について調べようとします。 真柴が住んでいた家の大家、金原も財宝について知っているようで、宝探しは三つ巴の様相。 真柴の手帳には財宝を隠した経緯が記されていました。財宝を隠す作業をしていた戦時中、そして財宝探しに色めき立つ現代、話が交互に展開していくにつれ、読者に次第に事情が明かされていきます。あっと驚く繋がりが分かった時、静かな感動がありました。 人々が宝に振り回されたというよりは戦争に人生を狂わされた気がして、理不尽だなぁと思いました。そして戦争にはきっと私の知らない側面があり、それについて私たちは知らないといけないのではないかと思いました。 宝を隠す作業をし、口封じに殺される筈だった女学生達は終戦と共に自ら命を絶ち、宝を隠す実行部隊の指揮をとっていた真柴は戦後もその秘密を抱えて生きていかねばなりませんでした。真柴と同じ秘密を知る小泉中尉は戦後の国民が飢えないように、マッカーサーと取引をしようとします。マッカーサーはその取引に応じず自力で自分の財宝を取り戻そうとしますが、宝があった場所には他のものもあって…。  うまく纏められないのですが、それぞれの生き様が強烈で(きっとそれは浅田氏の描き方によるのでしょうが)壮大で面白かったです。

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2017/10/18

終戦直前、軍の命を受けた3人の男が秘密の財宝を隠すことになった。 使役として集められたのは35人の年端も行かぬ少女達とその担当教師。 無事に任務を全うした後に待っていたことは… どこまでが事実で、どこからがフィクションなのかを思い悩むほど、ありえそうな話。 現代と50年前を交互...

終戦直前、軍の命を受けた3人の男が秘密の財宝を隠すことになった。 使役として集められたのは35人の年端も行かぬ少女達とその担当教師。 無事に任務を全うした後に待っていたことは… どこまでが事実で、どこからがフィクションなのかを思い悩むほど、ありえそうな話。 現代と50年前を交互に書くことで、その謎に迫る手法に、ページをめくる手を休めることが出来なかった。 戦争によって、多くのものを背負わされた人達の葛藤、実際にも沢山あったことだろうと思った。

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2017/07/16

浅田次郎の初期の作品。あとがきで本人も述べている通り、文章やストーリー展開に拙い部分もあるが、それでも読み始めると一気に読ませる娯楽小説としての面白さはさすが。 蒼穹の昴もそうだが、史実を上手く織り交ぜながら歴史ものの壮大なフィクションをを描くのが非常に上手だと思う。

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2016/09/19

全てが史実だとは思わないが、それでも圧倒的な歴史の積み重ねに身が引き締まる思いがした。 今後、どんな偶然が重なって誰かがこの封印を解こうとしたとしても、少女たちの純粋な死を前にすれば、こうべを下げるしかないだろうと思った。壮大な歴史ロマンだ。 2016/09

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2016/06/22

20160621 読み応えのある大作だと思います。当然フィクションなんですが、実際にあれば夢あるねーって感じです。最後は悲しいけど。やっぱり戦争は悲しい結末しかないよね。 マッカーサーが日本人の真髄はスゲーみたいな事言うけど、著者の想いが強すぎてマッカーサーの口から出てしまった...

20160621 読み応えのある大作だと思います。当然フィクションなんですが、実際にあれば夢あるねーって感じです。最後は悲しいけど。やっぱり戦争は悲しい結末しかないよね。 マッカーサーが日本人の真髄はスゲーみたいな事言うけど、著者の想いが強すぎてマッカーサーの口から出てしまった感がある。まぁスゲーけどな。

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2016/06/12

最良の読後感! 「真柴」のストイックな生き方と、「金原」の好対照、しかし、根元の意志は同じ。奥も深い。楽しませていただきました。

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2016/04/10

浅田次郎らしい、一癖も二癖もある登場人物の数々に、重厚で骨太な物語構成。数ページもめくればすっかり虜になってしまう、強い引きがある。

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2016/03/28

 ラストは『壬生義士伝』を思わせる泣かせの終章は狙いすぎな気もする。導入部分の真柴老人と丹羽の出会いから、真柴老人の突然死を経て、病院の霊安室で出会うことになる地域福祉活動をしている海老沢と、老人の大家、金原の偶然の巡り合わせに端を発して物語ははじまる。真柴老人が死に際に手渡した...

 ラストは『壬生義士伝』を思わせる泣かせの終章は狙いすぎな気もする。導入部分の真柴老人と丹羽の出会いから、真柴老人の突然死を経て、病院の霊安室で出会うことになる地域福祉活動をしている海老沢と、老人の大家、金原の偶然の巡り合わせに端を発して物語ははじまる。真柴老人が死に際に手渡した古びた手帳には驚くべきことが書かれていた。マッカーサーの財宝の行方とは…この話は史実に基づくものなのだろうか…ネットで調べるとM資金と同じく架空のお話しらしい、勤労女子たちの死は別にして、夢のあるはなしであった。

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2016/03/06

太平洋戦争終了間際の軍部の作戦を軸に、様々な人の人生が描かれた作品。 昔の人の考え方、一本筋の通った生き方に感銘を受けた。

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2016/02/18

2016年2月11日読了。戦時中、日本軍と大蔵省が奪い隠した、フィリピン独立のためのマッカーサーの黄金に関わった人々の思いとは。久しぶりに読んだ次郎本、著者自身も「若書き」と言っているように、「日本人スゴイ」「日本美しい」推しの書きっぷりがすごい・・・今の時代に出てもおかしくない...

2016年2月11日読了。戦時中、日本軍と大蔵省が奪い隠した、フィリピン独立のためのマッカーサーの黄金に関わった人々の思いとは。久しぶりに読んだ次郎本、著者自身も「若書き」と言っているように、「日本人スゴイ」「日本美しい」推しの書きっぷりがすごい・・・今の時代に出てもおかしくない本かも。その分、「泣き」の要素は強くなく感じる、後半明らかにされるエピソードの出し方のタイミングがイマイチなのではなかろうか・・・。数十年前の人々の「思い」が今も場所に宿っていて、それを記憶している人がいて、それが時代とともに忘れ去られているのではなく場所を通して現代の人にも受け継がれていて、というのは悪いことではないな。

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