イン ザ・ミソスープ の商品レビュー
村上龍初読。 もう十年以上前の、このなんともいえない日本の閉塞感が妙に生々しい。 フランクが怖い。 後半のシリアルキラーなフランクより、前半のまったく得体の知れないかんじの方がやたらリアリティがあって怖い。 会話が噛み合わない、ちぐはぐなコミュニケーション、なのに「こいつはやばい...
村上龍初読。 もう十年以上前の、このなんともいえない日本の閉塞感が妙に生々しい。 フランクが怖い。 後半のシリアルキラーなフランクより、前半のまったく得体の知れないかんじの方がやたらリアリティがあって怖い。 会話が噛み合わない、ちぐはぐなコミュニケーション、なのに「こいつはやばいぞ」という雰囲気がすごく伝わってきて怖い。 結局彼は何者だったのか。 そのへんについてはぼかした書き方になっているので、尻切れとんぼ気味。 それもまたフランクという怪物を際立たせる。 この時期、10代の少年たちがクローズアップされたけどそんな彼らも不況の波と戦うアラサーになってる。 何が異常で何が正常か、判断するのは難しい。 時の無常さを感じた一冊。
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すごい。フランクの不気味さをとてもリアルに想像させる作者の表現力には驚かされる。殺人を犯している最中の模写も凄まじい。フランクの不気味さは文章のみでなく、表紙にもみてとれる。内容も装丁も素晴らしい作品である。
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忘れられない一冊になってしまった本。 読売新聞夕刊に掲載されている時に読んでいた。 話が盛り上がって来た所で起こった神戸の小学生殺害事件。 事実は小説より奇なり。 よく書き終えてくれたと思う。
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タイトルに惹かれて思わず手にとっちゃいました。 怖いのについついもースピードで読んでしまった。 変だって分かっているのに、フランクに言われるとおかしいことでも信じちゃう主人公ケンジが全く分からなかった。でも、いつの間にか自分もフランク症候群に。。。 フランクは善なの悪なの...
タイトルに惹かれて思わず手にとっちゃいました。 怖いのについついもースピードで読んでしまった。 変だって分かっているのに、フランクに言われるとおかしいことでも信じちゃう主人公ケンジが全く分からなかった。でも、いつの間にか自分もフランク症候群に。。。 フランクは善なの悪なの? フランクが話すと殺人を犯すのが悪いのかそれとも悪を排除しているだけなのか?? 日本語って色んな言い方できるけど、結局どこかはっきりしないかも。 ミソスープ。これもはっきりしないなぁ~。 あんなに独特な雰囲気をもったフランクもミソスープの中に入れば混じっちゃう。どんどんよどんで何がよどみの原因なのか分からなくなっちゃうものなのかもしれない。 考えれば考えるほど、村上龍さんのメッセージ性を強く感じる作品でした。 って、気がつかなかったけど、この表紙めちゃくちゃ怖い。。。
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不気味な外国人とTOKYO NIGHT LIFEアテンド役の主人公。 サイコ・サスペンスながら、日本社会の問題点を鋭く指摘している。
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久々の村上龍だったが 全く村上龍らしかった。 村上龍は常に警告している。非難している。 日本がおかれている状況やその背景、そしてその中で暮らす『おが屑が詰め込まれたぬいぐるみ』みたいな人間たちを。 今作の日本はミソ・スープ。 いつもだが 彼の作品を読んでいると形容しがたい...
久々の村上龍だったが 全く村上龍らしかった。 村上龍は常に警告している。非難している。 日本がおかれている状況やその背景、そしてその中で暮らす『おが屑が詰め込まれたぬいぐるみ』みたいな人間たちを。 今作の日本はミソ・スープ。 いつもだが 彼の作品を読んでいると形容しがたい不快を感じる。 それは残虐や卑猥な表現で綴られる壮絶な展開からなのか、それとも作者に「お前のことだよ」とナイフを突き付けられたような感覚に陥るからなのか、わからない。 にしても、河合隼雄の解説は明瞭でよかった。 特に無差別大量殺戮を行った彼の名をつかった、ちょっとしたユーモアなんかが。
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村上龍さんの著作の中ではこれが1番好きかな。グロテスクな文体は相変わらず。でもこれはなあなあで終わらせることの多い日本人にとっては強烈な問題提起です。インザミソスープの意味、わかりますか。。?
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子どもの殺人に原因はないよ、幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ。親が目を離したから? それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つにすぎない…。 .。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.
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物語としては、「ラブ&ポップ」とか「オーディション」と本質的に同じ話のように感じられて、あまり感心しなかった。特に「ラヴ&ポップ」とは、ちょうど鏡の裏表のような感じがした。 作者はあとがきの中で、現実と小説の関係についての感慨を述べている。この小説が現実を越えたとは思わないし...
物語としては、「ラブ&ポップ」とか「オーディション」と本質的に同じ話のように感じられて、あまり感心しなかった。特に「ラヴ&ポップ」とは、ちょうど鏡の裏表のような感じがした。 作者はあとがきの中で、現実と小説の関係についての感慨を述べている。この小説が現実を越えたとは思わないし、作者としても思われても困ると思うが、まさに現実にぴったりと密着している物語である、という気がした。 有名な殺人シーン。文章の力を感じる。というのは、そこに静寂があるからだ。「5分後の世界」の頃までは、殺戮シーンには叫びとにおいが充満していたような気がする。が、「ヒュウガ・ウイルス」の戦闘シーンや「オーディション」のクライマックスでは、現実には耳が痛いほどに鳴り響いているはずの音が聞こえない。(あまりにも強烈であるために)非現実的な、というよりも話手が現実であることを拒否してしまうような、まるでガラスの扉の向こうで展開されるような現実が、正確無私な文体で切り取られているからだろう。そのような現実が展開される現在は、このような文体でなければ表現できないさまざまな事象にあふれているのだろう。
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これも10年くらい前に読んだ本。 村上龍は、九州出身の作家という事もあって出ると意外とすぐに読んでいた。 悪夢のような話だけれど、 本当にあるかもしれないって思えるリアルな描写が上手だなあ。 毎晩枕元で寝る前に読んで、悪い夢を見たりしておりました。 2005-12-1...
これも10年くらい前に読んだ本。 村上龍は、九州出身の作家という事もあって出ると意外とすぐに読んでいた。 悪夢のような話だけれど、 本当にあるかもしれないって思えるリアルな描写が上手だなあ。 毎晩枕元で寝る前に読んで、悪い夢を見たりしておりました。 2005-12-12
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