お化けだぞう の商品レビュー
大好きな村田さんですが、これはちょっと。 『お化けだぞう』というタイトルですがオドロオドロしさは希薄です。そもそも「お化け」ではなく草木の話だし。それも多くは「一風変わった(というより単に有り得ない)植物」というレベルで、ゾワッとするような話は11編中2-3編です。 登場人物もさ...
大好きな村田さんですが、これはちょっと。 『お化けだぞう』というタイトルですがオドロオドロしさは希薄です。そもそも「お化け」ではなく草木の話だし。それも多くは「一風変わった(というより単に有り得ない)植物」というレベルで、ゾワッとするような話は11編中2-3編です。 登場人物もさほど魅力的ともいえず、だた奥さんのタキだけは村田さんらしく仕立てられています。
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江戸、呉服商の主人藤兵衛は本草学に憑かれ草木の不思議を求めて各地を旅をする。妻タキとお供たちをつれての珍道中がおもしろい。街道、宿場町の様子、各地の名産。江戸時代の旅の様子が伝わってくる。 遭遇する摩訶不思議な草木に気持ちを奪われた。本の中で旅しながらも、実際に共に旅したい、草...
江戸、呉服商の主人藤兵衛は本草学に憑かれ草木の不思議を求めて各地を旅をする。妻タキとお供たちをつれての珍道中がおもしろい。街道、宿場町の様子、各地の名産。江戸時代の旅の様子が伝わってくる。 遭遇する摩訶不思議な草木に気持ちを奪われた。本の中で旅しながらも、実際に共に旅したい、草木の不思議を味わいたいと(物語と現実の境も越えて)切望するほど魅力的だ。 「天と地の持つ漲る力が樹木にもおよび、そこに働く力用こそを不思議といい奇妙と呼ぶのだ」とある。草木の中に天と地の漲るエネルギーを感じたい。 妻タキは旅先にありながら装いに手抜かりはなく、季節ごとの着物の意匠の描写も興味深い。そのタキ、没落した武家の深窓の佳人であるが、旅を重ねるにつれ魅力を増し、解放されていく。その様子が興味深く、最後はまさかの……改めて最終章の題に得心。村田喜代子さん、やはり女性の描き方が素晴らしい。 「本草の心は、道を訪ねて憧れ歩くことから始まる。」とあった。草木に憧れて旅にでたい。江戸時代の旅人のような旅がしたい。 それにしてもこの本のタイトル、もったいない。物語の魅力を全く伝えてないと思うのだが…
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所謂「お化け」は出てこない。何故にこの題名?もしかして「ぞう」は「草」に掛けているのだろうか。歩く松、女の髪のような草、ころころと放浪する草。草木をめぐる摩訶不思議な物語。本草学が趣味の江戸の大店の主人が、耳にした世にも珍しい草木の話を確かめに妻達を伴い各地へと赴く。道中、旅先の...
所謂「お化け」は出てこない。何故にこの題名?もしかして「ぞう」は「草」に掛けているのだろうか。歩く松、女の髪のような草、ころころと放浪する草。草木をめぐる摩訶不思議な物語。本草学が趣味の江戸の大店の主人が、耳にした世にも珍しい草木の話を確かめに妻達を伴い各地へと赴く。道中、旅先の景観の描写に風情を感じた。「本草の心は、道を訪ねて憧れ歩くことから始まる。」一つには本草学の師匠が語るこんな気持ちを、村田さんは作品に表したかったのではないだろうか。山野の情景、草木の様子を綴る文章に作者の愛着が滲んで感じられた。
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