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あやちゃんのスケッチブック の商品レビュー

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2018/12/08

実際に白血病で若くして(7歳9か月)亡くなった少女をモデルに創作された物語。 小学校中・高学年用だが、大人が読んでも十分面白い。 ”生きているってことは、いっしょうけんめい生きること” 物語の中で、主人公に優しくしてくれる、同じ白血病患者の坂田さんというおばさんが言う。 生命...

実際に白血病で若くして(7歳9か月)亡くなった少女をモデルに創作された物語。 小学校中・高学年用だが、大人が読んでも十分面白い。 ”生きているってことは、いっしょうけんめい生きること” 物語の中で、主人公に優しくしてくれる、同じ白血病患者の坂田さんというおばさんが言う。 生命は長短で価値が決まるわけではない。 長命でも短命でも、生きるという行為は全く変わらない。 限りがあるからこそ、生きるということに本気で取り組める。 主人公のあやちゃんは、最後まで絵を描き続ける。 しだいに体が自由にならなくなるあやちゃんにとって、絵は自由を得られ、いつまでも希望を持ち、社会と繋がれるものだったのだと思う。 筆者が、表現することの力、価値を信じていることがひしひしと伝わる。 登場人物たちも、みな完璧な人ではなく、それぞれ引け目のようなものを持っている中で、生きている。 お姉ちゃんは、あやちゃんのことを気になっているが、あえて、自分の遊びを優先したり、病院にいくのに二の足を踏んだり。 完璧な優しいお姉ちゃんではない、けれども妹のことを良く考えている。妹の好きな子猫を無理して病院に連れて行く。 お母さん、お姉ちゃん、あやちゃん本人、そして坂田さんという登場人物が人間らしい存在感を持っているから物語が立体的に見える。 あやちゃんの限りある人生がきらきら輝いて見える。 そして病の不条理さ、無常さ。 こどもに命の大切さを知ってもらいたい、 というのも良いけれど、それだけではなく、純粋に物語としての純度が高いと思った。

Posted byブクログ