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幾世の橋 の商品レビュー

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2010/11/04

主人公、重松が庭師として奉公し、一人前になっていく。 両親、自分を庭師へと導いてくれた兄弟子の銕蔵、そして自らの哀しい運命、幼馴染で刀剣研ぎの職人として奉公する八十吉など、周囲を取り囲む登場人物たちの話にも引き込まれた。 江戸時代の市井もので、京都が舞台のものを初めて読んだ。こ...

主人公、重松が庭師として奉公し、一人前になっていく。 両親、自分を庭師へと導いてくれた兄弟子の銕蔵、そして自らの哀しい運命、幼馴染で刀剣研ぎの職人として奉公する八十吉など、周囲を取り囲む登場人物たちの話にも引き込まれた。 江戸時代の市井もので、京都が舞台のものを初めて読んだ。この時代って職業の選択なんてできないものだと思っていたけれど、重松や八十吉のように、自分の身分の範囲内で色々考え、悩み夢を持つことも出来たのだと知った。 また、庭師が主人公なので、庭についても詳しく書かれている。 日本の庭は、中世、人々から不当な差別をうけてきた社会の最下層、貧しく蔑まれた人々の手でつくられたものが日本人の精神文化を形づくるものにまでなっている。銕蔵が語る慈照寺の庭の話には驚いたけれど、庭も自然の一部であり、自然の移ろいと共に刻々と変化していくものなのだと改めて気づかされた。

Posted byブクログ