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甘い蜜の部屋 の商品レビュー

4

64件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2016/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

唯一絶対の神がないところでは、それに抗する悪も存在しえない。規律のないところに罪はなく、文化によって、悪とされるものが違うように……などと述べてみたが、心にめぐらすこれらの論理もこの物語に納得を連れてくることはない。終始、息もできないほどの濃密な文章にからめとられるがままである。またモイラという娘の、彼女自身は意識しているのかも曖昧ながら(いやもしかしたらそれゆえに?)、捉えようによっては悪逆極まる残酷性さえ、塗りこめられた蜜の中にあって、さらにその蜜は父親と共有されるものである。だが、かといって父娘の間に性関係があらわれることはない。飽きることなく愛情を貪る「肉食獣」であるモイラは、父親林作の愛情を「いちばんいい」と表現し貪ろうとするが、そこに肉欲は挟まれない。犠牲者を死に至らせ、甘い蜜の部屋へ帰っていくことを予想させるラストは、どことなく、宗教や道徳などによる偽りの安らぎを厭っている雰囲気を醸し出しもしているが、それ以上のものである。モイラを怖れながら、自分も「肉食獣」を己の内部に飼っている気がして胸が妖しく鳴った。まぁ、モイラのように美女ではないのだけれど。少々胃がもたれる、まるで牛肉のシチューのような読書だった。

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2016/08/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今まで読んだどんな本よりも最も児童ポルノ。裸はないけど官能すぎる。こんな500ページ分ずっとドン引きしてる小説って今までにない。 主人公の幼女の回りの人が全員幼女に恋をして、いろんな気持ちを沸き起こしている逆ハーレム物。 ナボコフの「ロリータ」を読んで、「こいつ何で手出してんねん!」と憤りを感じた方に強くオススメできる作品です。 文体はさすが森茉莉で、確実。美の説明が緻密。

Posted byブクログ

2016/02/09
  • ネタバレ

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森茉莉ワールド全開の一冊。無意識の悪魔・朦朧美少女モイラと、その父親にして飼い主の林作の関係を中心軸に、モイラがあらゆる愛を食い物にするのを林作と一緒ににやにや眺める長編。もったりした文章が内容によく合っている。食べ物描写が楽しい。

Posted byブクログ

2015/09/12

見た目の美しさと振る舞いだけで、次々と男を虜にしていくって設定は、女の特有の自己愛に埋もれ切ったナルシスティックなものを感じずにはいられなかったし、なによりモイラがあまりにも自己中すぎて感情注入できなかった‥まぁ、緻密な心理描写や濃厚で美しい文章は読んでて楽しめた

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2015/03/31

この人は苦手、というのが読み始めから最後まで一貫した感想。魔性の女モイラが父をはじめ、周りの男(女も?)を魅了して不幸にしていく。 まず、多くの人が引っかかるであろう点としては、読点(、)の絨毯爆撃であろう。分かち書きのごとく、すべての単語に打たれた読点によって、文章は流れず、...

この人は苦手、というのが読み始めから最後まで一貫した感想。魔性の女モイラが父をはじめ、周りの男(女も?)を魅了して不幸にしていく。 まず、多くの人が引っかかるであろう点としては、読点(、)の絨毯爆撃であろう。分かち書きのごとく、すべての単語に打たれた読点によって、文章は流れず、理解するために脳内に取り込むことを拒否する。 次に、短いわけではないこの作品の7割方の文章は、情景や状態を記録しているだけである。つまり、ほとんどの文章は形容詞でしかないということ。例えば「モイラは塀の外のピータアを見た」というだけの文が、2~5行にわたってコテコテと塗り固められていくのだ。 こういう文章は、系統は違えど梨木香歩にも通じる。つまり、「現代文の問題のような文章」である。これが苦痛でない人がいたらお目にかかりたい。おそらく、情景を描写する詩をつなぎあわせて、小説という形にしたのではないかと思う。詩が苦手なんだよワタシは。 したがって、何かが起こるという点でのストーリーはごくシンプルであって、そのストーリーの間の情緒を楽しめる人には、これ以上美しい文はないのだろう。ワタクシとしては苦手である。 余談。父が林作でドイツ生まれって、私小説なんでしょうか?

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2015/01/25

エリカ様・・・・だな。 書く方もしんどかったらしいけど、読む方はもっとしんどい。 苦行に近い。 物語に顛末はない。 要するに・・・・いつ終わるともしれぬ高級官能小説。

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2014/08/16

ラム酒漬けブランデーのような濃厚でむせそうな文 一回で読みきるのには胃もたれするけれど、とて繊細で耽美。もいらは筆者で、林作は鴎外がモデルでは?と思った。

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2014/02/25

美しい少女の内面に住む獣に弄ばれる物語。 心の動きを執拗に描いた独特のリズムの文章には、まるで暗い森の中にいるような心細さを感じながらも、進まずにはいられない不思議な魔力があります。 父娘の愛情の形がイノセントで官能的で、まるで蜜のように、物語とその読み手を包む、そんな感覚を覚え...

美しい少女の内面に住む獣に弄ばれる物語。 心の動きを執拗に描いた独特のリズムの文章には、まるで暗い森の中にいるような心細さを感じながらも、進まずにはいられない不思議な魔力があります。 父娘の愛情の形がイノセントで官能的で、まるで蜜のように、物語とその読み手を包む、そんな感覚を覚える作品でした。

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2013/07/18
  • ネタバレ

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なかなか面白く読めた理由のひとつに、モイラという名前の奇抜さがあると思う。緩慢に楽しめるんだけど、しかしあれだけ長かった割には、夫が自殺するなんていう極めて凡庸な出来事が締めくくり的に使われてしまっていて、一冊の本としては大したことがなかったような。

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2013/06/25

読んでいるかぎり全く魅力的に思えないけど(狼少女のイメージで読んでた)、すっごく綺麗なんだろうなあ。 母親が生きていようと死んでいようと二人の関係は変わらなかっただろうし、なんていうか生きてたら母親はかわいそうなことになってた気がする…。 天上さんはどうすればよかったのか。壊れれ...

読んでいるかぎり全く魅力的に思えないけど(狼少女のイメージで読んでた)、すっごく綺麗なんだろうなあ。 母親が生きていようと死んでいようと二人の関係は変わらなかっただろうし、なんていうか生きてたら母親はかわいそうなことになってた気がする…。 天上さんはどうすればよかったのか。壊れればよかったんじゃないかなあ。すぐに飽きられはするけど、道徳的なものから離れることができたらよかったのにね。

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