甘い蜜の部屋 の商品レビュー
ずっっっっと読みたかった本!!きめの細かい表現が本当に秀逸。夢中になって読み進めちゃうけど、ふと冷静になって離れてこの本を見てみると、登場人物全員があまりにも他人の機微に敏感で、それがまた面白い。 たぶん実際に声に出してる会話ってかなり少ないのに、読者という視点の特権で、彼らの中...
ずっっっっと読みたかった本!!きめの細かい表現が本当に秀逸。夢中になって読み進めちゃうけど、ふと冷静になって離れてこの本を見てみると、登場人物全員があまりにも他人の機微に敏感で、それがまた面白い。 たぶん実際に声に出してる会話ってかなり少ないのに、読者という視点の特権で、彼らの中で移ろう季節や心を余すことなく堪能できてしまう…すごい……
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モイラはどうして不幸なんだろう。 昔だったら自発的に行動しないから、で一蹴するところですが、今だったら自分の思想や信条に興味を持って関わろうとしてくれる人がいるかいないかの違いだと言うかな。 どんなにたくましく生きようと決めたって、上辺じゃなく本心の言葉を聞いてくれようとする存在...
モイラはどうして不幸なんだろう。 昔だったら自発的に行動しないから、で一蹴するところですが、今だったら自分の思想や信条に興味を持って関わろうとしてくれる人がいるかいないかの違いだと言うかな。 どんなにたくましく生きようと決めたって、上辺じゃなく本心の言葉を聞いてくれようとする存在がいないと、少しずつ自信を失い、視点が狭くなり、生きるのが苦しくなる。 相手をもの扱いするような相手との恋愛みたいにどことなく不幸でそれでも中毒性のあるがために気づかない。 一目惚れを否定しないけど、そのあとでもわかりあおうとする努力のほうが美しいと思うな、私は。 この本の真逆にあるのが、リリーフランキーのスナックラジオですね。 でも10代20代の時には、特別に美しくないと愛されない、歳をとって美しさを失えば外見も中身も醜くなり嫉妬に狂って生ていかなくてはならない、と半ば本気で思ってました。ばかですね。文学の世界の話なのに。世界は広いとわかってからが自由で楽しいのに。 森茉莉の小説はこれが初めてですが、20代前半に好んでいたフランス文学を彷彿させる、というかそもそもがとても久しぶりの文学でした。ミステリでも歴史物でもない。 なんか大人になると小説読まなくなるってわかってきた。今も読みたいって思えるのはサリンジャーくらいかなあ。あと、池澤夏樹の全集は読みたいかな。
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「モイラという名の、肉で創られた花は、周囲の状態がどうあろうと、何が起きようと、すべてを自分の養分にして生育を遂げようとするらしく、その暗鬱な家の中で、いよいよ艶と香気を帯びて、花開いて行くように見える。」(本文より) 今更拙い感動を語るまでもありません。森茉莉のライフワークに...
「モイラという名の、肉で創られた花は、周囲の状態がどうあろうと、何が起きようと、すべてを自分の養分にして生育を遂げようとするらしく、その暗鬱な家の中で、いよいよ艶と香気を帯びて、花開いて行くように見える。」(本文より) 今更拙い感動を語るまでもありません。森茉莉のライフワークにして官能的傑作、『甘い蜜の部屋』でございます。 本作は「父と娘の愛情」と、「モイラという、ものすごく魅力のある少女を書く」ことがテーマになっています。私の場合は圧倒的後者で、モイラちゃんのふてぶてしい、(どうでもいい)と思っているような投げやりな感じ。天使であり悪魔。曇った硝子越しに見えるような、ぼんやりとした、白痴のような、恍惚とした美貌。感情を表立って見せることがなく、話す言葉も極端に少ない。大きく見開いた魔のような瞳で以て、ただ凝と、凝と相手を観察する。「パァパが一番いい」と口にするいじらしさ……と、その圧倒的魅力に酔いしれてしまいました……。ほんとに好きです。天上にトドメをさすとことか、鳥肌立ちましたもん。 蜜を舐めるように本書を読んだ記憶、モイラに翻弄された記憶、忘れずに私の中に閉まっておくことにしましょう。甘い、甘い、蜜の部屋に……
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牟礼藻羅(モイラ)という美少女と、彼女の魅力に振りまわされる男たちをえがいた作品です。 モイラは、父親の牟礼林作に溺愛されてそだちます。彼女の魅力は、馬丁の常吉(ドゥミトゥリイ)を心服させ、ピアノ教師のアレキサンドゥルのサディスティックな欲望をかき立てます。そして林作は、男たち...
牟礼藻羅(モイラ)という美少女と、彼女の魅力に振りまわされる男たちをえがいた作品です。 モイラは、父親の牟礼林作に溺愛されてそだちます。彼女の魅力は、馬丁の常吉(ドゥミトゥリイ)を心服させ、ピアノ教師のアレキサンドゥルのサディスティックな欲望をかき立てます。そして林作は、男たちが娘の魅力によって狂騒するすがたを見て、歓びをおぼえます。 15歳になったモイラは、海辺の別荘でピータア・オルロフという青年に出会い、自分が彼の心をどれだけ深く捕らえたのかをたしかめたいという思いから、彼のもとへ赴きます。さらに16歳になったモイラは、天上守安(マリウス)という男のもとに嫁ぎますが、彼女の天性の魔性は結婚生活によって押しとどめられることなく、ピータアと再会してふたたび彼の恋心に火をともし、守安を苦しめます。林作は、そうした娘のようすを見ながら、ひそかな満足をおぼえます。 モイラの魔性とともに、『源氏物語』の「蛍」の巻を思わせる、林作の娘に対する倒錯的な愛情が強く印象にのこっています。
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読む前のイメージではパッパがリアル森鴎外だったのが、風と木の詩のオーギュの様な異世界のオーガナイザーだった…という驚き!茉莉さんとモイラさんもどんどんズレて行き「あぁ小説だったのだ!」と楽しませてもらいました。
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三島由紀夫に「官能的傑作」と賞賛されたというが たしかにエロティックな文学である 森茉莉さんがこの膨大なロマネスク物語を 還暦を過ぎてから書かれたということにわたしは興味を覚えた モイラという変わった名前の美少女がヒロイン 媚態と香気が天性のもので悪魔的な美貌 なんていう女...
三島由紀夫に「官能的傑作」と賞賛されたというが たしかにエロティックな文学である 森茉莉さんがこの膨大なロマネスク物語を 還暦を過ぎてから書かれたということにわたしは興味を覚えた モイラという変わった名前の美少女がヒロイン 媚態と香気が天性のもので悪魔的な美貌 なんていう女性がいるかどうかはわからないが 少女が女性になってもわがままで、こどもっぽい 自己中心的に生きていてもそれが通ってしまうなんて そんなこと不可能である現実を知っていれば それを描ききってしまう森茉莉さんのふてぶてしさがおもしろい
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一言で言うと、どうしようもない官能小説。 ただかなり耽美的で、徹底された言い回しと入り組んだ洞察が森茉莉を思わせる。女の匂いとは如何程か。少し考えたくなる。 果たして私はこの年齢で「甘い蜜の部屋」を読んで良かったのだろうか。 言語化された複雑な洞察は少なからず私に影響する。こ...
一言で言うと、どうしようもない官能小説。 ただかなり耽美的で、徹底された言い回しと入り組んだ洞察が森茉莉を思わせる。女の匂いとは如何程か。少し考えたくなる。 果たして私はこの年齢で「甘い蜜の部屋」を読んで良かったのだろうか。 言語化された複雑な洞察は少なからず私に影響する。この疑問だけは残ったまま消えなかった。 それくらい、日常に潜む無限の「無意識」が鏤められてる。これほど緻密に再現して描くってただものじゃない。 私は鴎外よりも森茉莉の方が断然好みだということを、この分厚い本から実感させられた。
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いや〜〜〜すっごいものを読んだ!最高ッ!文句なしの満点!今年ナンバーワンかな?! モイラの生活を描くにはあまりにも長いが、この長さこそがめちゃくちゃ大事。構造としての「自烈ったさ」。 核となる林作との関係はどこか抽象的だが、それがラストの、あの微笑みで、急速に悪魔的な権威として...
いや〜〜〜すっごいものを読んだ!最高ッ!文句なしの満点!今年ナンバーワンかな?! モイラの生活を描くにはあまりにも長いが、この長さこそがめちゃくちゃ大事。構造としての「自烈ったさ」。 核となる林作との関係はどこか抽象的だが、それがラストの、あの微笑みで、急速に悪魔的な権威として現前する。天上との生活の長い長い描写の末の、唐突な死、モイラの衝撃、そして死を眼前にした林作の快哉、これほど長さに必然性をもたせ、林作という男を印象的に描きだす手腕はさすがである。 卒論やらその他諸々のタスクにやられてものすごい時間がかかってしまったが、とにかく最高だった、卒論やらその他諸々のタスクはまだ片付いていない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校生のころ読んだのを再読。上原多香子の件を彷彿とさせるラスト。モイラの生活が、自分の望みを叶えてしまったところが、ちょっと羨ましい気がした。
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いやー、重い!!笑 ねっとりしている! もーほぼほぼ意地で読んだ! でも嫌いじゃないぞ!(u_u) モイラがどんな女の子か 思い描こうとしたけど、 なかなか難しい、、 玉城ティナとか?? 守安の最期は少しドキッとした。 「ピータアって知ってる?」 て、短いけど、なんて残酷...
いやー、重い!!笑 ねっとりしている! もーほぼほぼ意地で読んだ! でも嫌いじゃないぞ!(u_u) モイラがどんな女の子か 思い描こうとしたけど、 なかなか難しい、、 玉城ティナとか?? 守安の最期は少しドキッとした。 「ピータアって知ってる?」 て、短いけど、なんて残酷な一言やろか、、 林作甘やかしすぎや!笑笑
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