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孤独の発明 の商品レビュー

3.9

57件のお客様レビュー

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2020/12/18

何度も再読を重ねている一冊。父の死をきっかけに、常に「見えない人間」であった父親の実像をたどる作業に著者が乗り出す「見えない人間の肖像」と、息子であり父である著者が自らの記憶の中から浮かぶ上がるフレーズたちを断章形式でつづった「記憶の書」の二作品を収録。血の繋がった父親を含む他者...

何度も再読を重ねている一冊。父の死をきっかけに、常に「見えない人間」であった父親の実像をたどる作業に著者が乗り出す「見えない人間の肖像」と、息子であり父である著者が自らの記憶の中から浮かぶ上がるフレーズたちを断章形式でつづった「記憶の書」の二作品を収録。血の繋がった父親を含む他者との間に求める絆は、記憶の積み重ねとしての生の中から生まれえるのか。過ぎていく時、失われていく記憶、遠ざかっていく世界。「孤独」とは、決して溶け合うことのできない「他者」の存在なくしては存在しない意識であり、繋がりたい、分かり合いたいという願いが生まれた瞬間に生まれるものであり。そうして、「孤独」から虚しさではなく愛しさを導き出してくれるオースターの言葉たちが、倦怠し鈍化した心をいつでも清々しく洗い清めてくれる――私にとってかけがえのない座右の書です。

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2009/10/07

第一部「見えない人間の肖像」は、著者の父親の死後、ポール・オースターその人が遺品整理をしつつ、父親の存在に肉薄するという物語。百万長者になることを生涯夢見ていた父、金に対する執念深さ、金を使う能力の欠落、あらゆる感情が飢餓した側面とは相対して、ときおりふっと顔を覗かせる寛大な側面...

第一部「見えない人間の肖像」は、著者の父親の死後、ポール・オースターその人が遺品整理をしつつ、父親の存在に肉薄するという物語。百万長者になることを生涯夢見ていた父、金に対する執念深さ、金を使う能力の欠落、あらゆる感情が飢餓した側面とは相対して、ときおりふっと顔を覗かせる寛大な側面。そんな見えない父という肖像を成文化することで、圧倒的「孤独」を表出させている。ポール・オースターは年上男性に対する郷愁的愛慕が目立つ作品が多いようだが、その原点に父親があった。感情を還元していないので、浪漫的「孤独」、一匹狼としての「孤独」とは異なる。決して恰好良い訳ではないが、人類全般の孤独をそこに見ることが出来る気がする。 ちなみに、ポール・オースターは実に穏やかでひょうきんな人物で、幸せな家庭を築いているそうです。「彼らが僕を正気に保っているのだ」―氏談

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2009/10/04

 書くことと追想の流れのずれにはまりこんだ男の物語。  記憶に生きる男の物語。  父の不在について書き尽くすことで父とともに過ごす。  他者との対話を積み重ねて孤独を作り上げる。  ポール・オースターという作家の作り出す物語の出発点。  この後にかかれる多くの作...

 書くことと追想の流れのずれにはまりこんだ男の物語。  記憶に生きる男の物語。  父の不在について書き尽くすことで父とともに過ごす。  他者との対話を積み重ねて孤独を作り上げる。  ポール・オースターという作家の作り出す物語の出発点。  この後にかかれる多くの作品の芽が、この作品に既にまかれている。  孤独と記憶、そして偶然が、陰影あい織りなす世界。迷路。

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2009/10/07

2008.11 オースター作品の中で、見知らぬ人間の肖像が一番好きかも。 想い出があふれている。

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2009/10/04

オースターの小説の中で一番好きな本。 父子の関係が悲しいけど、いろんなディテールが次々と組み合わさり、納得させられます。 言葉では説明できないような、さまざまな人がいて、そのひとつの親子の形。

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2009/10/04

内容(「BOOK」データベースより) 私の父は、52歳で離婚し、ニューアークの家で、ひとり孤独に死んでいった。父の死を伝え聞いた私は、15年ぶりに帰郷し、遺品の数々と対峙する。そこで、私は一冊のアルバムを見つけた。夥しい父の写真。私は曖昧な記憶をたどり始める。父の孤独な精神の闇。...

内容(「BOOK」データベースより) 私の父は、52歳で離婚し、ニューアークの家で、ひとり孤独に死んでいった。父の死を伝え聞いた私は、15年ぶりに帰郷し、遺品の数々と対峙する。そこで、私は一冊のアルバムを見つけた。夥しい父の写真。私は曖昧な記憶をたどり始める。父の孤独な精神の闇。父の父(祖父)をめぐる不幸な殺人事件…。見えない父の実像を求めて苦闘する私。父子関係をめぐる著者の記念碑的作品。

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2009/10/04

オースターの散文第一作。 後の小説にでてくる様々なモチーフの萌芽が見られます。実話をベースとしながらも、父と子さらに一家を巡る不思議な因果をたどっていくうちにズルズルと虚構の世界へドロップしていく感じがします。そうした、リアルと虚構の危うい境界線がスリリングでした。

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2009/10/04

これは誰が読んでもおもしろいはず。むずかしいことをよくわかっている人なら、それなりにつながってくる。単にエンターテイメントとして読もうとしても引っ張られるはず。あとあと思い出すこともあって、終わりがない。小説の構成に飽き飽きしてしまった人はどうぞ

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2010/10/18

第一部「見えない人間の肖像」と第二部「記憶の書」から成り立っている。問題なのは「記憶の書」で、亡くなった父をいろんな方面から肉付けしている。それはどの感覚より正直で、克明に記されていて父はだんだん自身になっていくのだ。

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2009/10/04

オースターの作品の中では一番好きです。偉大すぎて感想さえかけないです。 後半部分は難しいです。こういう作品はわかろうと思って読んだほうがよいのでしょうか。

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