時間を哲学する の商品レビュー
ハイデガーやフッサールを現在中心主義者,未来本物主義者と位置づけ,彼らの議論を退け,時間を哲学的に捉えるには過去中心主義であるべきと著者は主張する。時間を空間として捉える「時間の空間化」についても,著者は,ベルクソンの論を例に挙げ,「本当の時間」と「本当でない時間」を区別するのは...
ハイデガーやフッサールを現在中心主義者,未来本物主義者と位置づけ,彼らの議論を退け,時間を哲学的に捉えるには過去中心主義であるべきと著者は主張する。時間を空間として捉える「時間の空間化」についても,著者は,ベルクソンの論を例に挙げ,「本当の時間」と「本当でない時間」を区別するのは「空間」ではなく,「心身問題のモデル」としての「想起」であると議論している。つまり,「時間=空間・場所」ではないのだ。時間の空間化を論じる個所では,半ば強引な形でフロイトとユングの「自我」や「超自我」が登場するなど,著者の議論は一貫してはいるものの,脱線が多い。しかし,著者の議論,そして根底にある主張は,繰り返すが首尾一貫しているので思惟のプロセスを辿るのは非常に興味深い体験だった。特に,「不在の態度」を通してのみ実在を直観するという主張,時間の感覚とは「客観的時間」と「印象時間」の間にある「ずれ」を認識するということ,それがひいては「過去時間を了解すること」に繋がることなど示唆に富む議論がみられる。時間を了解することとは,著者曰く,物理的事象を了解することではなく,意味的事象を了解すること。そこに至るまでの思考プロセスが巧妙で面白いのだが,更に肉付けする,つまり過去の哲学的思惟を行った他者の論考を数多く引用・解説するなどの試みが欲しいところだ。
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読んだキッカケ: 時間について考えてみたくなった。時間は、どうして無尽蔵にあるように感じてしまうのか。人生は短いんだよということを手に取るように実感できる方法はないものか?と本書では答えば見つからずに今も模索している。
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[ 内容 ] 過去は消え去り、未来は到来する。 過去―現在―未来という時間の常識的理解からは見えてこない「過去と未来の正体」を考究する。 [ 目次 ] 1 夢と人生 2 人生の短さについて 3 時間の速さとは何か 4 過去はどこへ行ったのか 5 過去はどこへも行かない 6 「死...
[ 内容 ] 過去は消え去り、未来は到来する。 過去―現在―未来という時間の常識的理解からは見えてこない「過去と未来の正体」を考究する。 [ 目次 ] 1 夢と人生 2 人生の短さについて 3 時間の速さとは何か 4 過去はどこへ行ったのか 5 過去はどこへも行かない 6 「死ぬ」時としての未来 7 現在という謎 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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過去を考えるときは「今」であり、未来を考えるときは「今」である。結局ヒントは今にあると思う。過去や未来は幻想なのかもしれないと思った。過去、未来はクオリアなのかもね。
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第78回:振り返ってみた一年がとても短くて 1「夢と人生」〜...(07.12.27)
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