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媽祖と中国の民間信仰 の商品レビュー

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2024/08/14

中華圏にて広く崇められる女神・媽祖の信仰の歴史と発展を論じた書。一地方の小島の巫女信仰がどのようにして各地へ伝播したのか、また如何にして国家的祭神にまで成長したのかを、数多くの文献資料を渉猟し丁寧に読み解くことで解説する。 本書は、今日なお中国南部や台湾・世界各地の華僑地域にて盛...

中華圏にて広く崇められる女神・媽祖の信仰の歴史と発展を論じた書。一地方の小島の巫女信仰がどのようにして各地へ伝播したのか、また如何にして国家的祭神にまで成長したのかを、数多くの文献資料を渉猟し丁寧に読み解くことで解説する。 本書は、今日なお中国南部や台湾・世界各地の華僑地域にて盛んな媽祖信仰の歴史を解説したものである。中国宋代の官吏・林氏の娘(林黙娘)を神格化したとされる女神・媽祖に対する信仰は、時代に応じて様々な発展を遂げてきた。本書では宋代から清代までの様々な文献・資料を引き、媽祖信仰の時代的変遷及びその背景にある社会的事情について考察を加えている。即ち、媽祖信仰は湄州島における実在の巫女への地方的信仰に端を発し、そこから宋代末期までには中国南部沿海地域の海上保安神として成立してきた。後、元代には海路漕運の守護神として、明代には外洋航海と海上治安の守護神として、清代には中国南部沿海地域の鎮護神として国家的祭祀の対象となったことで信仰圏の拡大を得ると共に、その神格や性格も変容していったのである。 本書では近現代の媽祖信仰の状況についても報告しており、前世紀末までの媽祖信仰の姿を(それこそ「本家争い」や「お家騒動」といった生々しい事例を含めて)一望することが出来る。また本書は保生大帝・天公・王爺信仰についても論じており、中国南部・台湾の信仰世界の歴史に触れることが出来る一冊となっている。

Posted byブクログ