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ねじまき鳥クロニクル(第1部) の商品レビュー

3.9

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    2

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2012/10/13

 村上春樹が9月28日の朝日新聞に国境を越える文化圏=魂の行き来する道筋=の維持を訴えた文を寄稿していて、その中でノモハン事件を取り上げたこの本に触れていたので、読まずにはいられなかった。 霊能力者の本田さんと、かつてノモハンで行動を共にした間宮中尉の話でノモハン事件がじっくり語...

 村上春樹が9月28日の朝日新聞に国境を越える文化圏=魂の行き来する道筋=の維持を訴えた文を寄稿していて、その中でノモハン事件を取り上げたこの本に触れていたので、読まずにはいられなかった。 霊能力者の本田さんと、かつてノモハンで行動を共にした間宮中尉の話でノモハン事件がじっくり語られている。まるで体験者が話すようだ。戦時下の残酷極まりない殺し方、蒙古人が山本を生きたまま皮を剥ぐシーンがあるが、今回ノーベル文学賞を受賞した莫言原作の映画「赤いコウリャン」では日本軍の残虐な行動として中国人の皮を剥ぐシーンがある。農耕民族の日本人が遊牧民のようなこのような方法を取るとは思えないが、漢民族として、最も残虐さを表わす象徴のように使われたと思う。  いっぱい横道にそれてしまったが、闇、水、ねじまき鳥、井戸、出口、ワタヤとまたパズルが始まっている。「ひとりの人間が、他のひとりの人間について全十に理解することは可能か」と言う、この僕の問いに私もつき合って第2部予言する鳥編へ進みます。

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2012/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

しばらくは世界観に浸れなかったけど、間宮中尉の満州の話からは一気に引き込まれて、盛り上がってきたところで、一巻終了。二巻が楽しみだ( ´ ▽ ` )ノオススメ

Posted byブクログ

2012/08/30

間宮中尉は一瞬の光に射たれ、井戸の底から肉体の生還をはたす。 同時に井戸の底での光の衝撃、その感覚は彼に死を与える。 「その井戸での出来事で自らの生は終わった」と。 村上春樹自身、個性を超えた普遍性を求めて穴を掘っている。 その作業は間宮中尉が体験した深い井戸でひとり死を待つよ...

間宮中尉は一瞬の光に射たれ、井戸の底から肉体の生還をはたす。 同時に井戸の底での光の衝撃、その感覚は彼に死を与える。 「その井戸での出来事で自らの生は終わった」と。 村上春樹自身、個性を超えた普遍性を求めて穴を掘っている。 その作業は間宮中尉が体験した深い井戸でひとり死を待つような苦しみであり、同時にその達成は、一個人の消滅にも似た激しい感覚であるのだろう。 ぶっちゃけすごいよね。 ロシア人少佐の話・鳥をみた少年の話、どちらも”伏線”としては尻切れとんぼだ。 でもテーマという根が張り巡らされてるのをイメージすればいい。(カフカを読んだときにはできなかった) その末端は末端としてちゃんと太い根とつながってる。 読み手としてはいつか”自身の経験”という養分を与えればどこかの末端が反応してちゃんと息づく。 伏線の回収・オチの為に1000pも読むのはもったいない。二回読めないじゃん。何度も読みたい小説は何度読んでも味が違うはず。 そういったようにテーマをどこまでも追求し、作り込まれたストーリーとキャラクターをないがしろにできる作家を実際のところ他にまだ知らない(どっちつかずの”アンニュイな感じ”を好しとして目的とする物を別にして) (村上春樹には無条件に噛み付くのが読書家として正しい姿勢だと今でも思っているけど) 「ねじまき鳥クロニクル」には悔しいけど星8個はつけたくなった。

Posted byブクログ

2012/07/12

ここまでの作品で手に入るものはほとんど読んでから「いざ!」と とりかかりました。厚さの割には思った以上に読みやすかった。まだまだ1巻では予想もつかない・・・2巻へGO!

Posted byブクログ

2012/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学時代に購入、読んだものを改めて読み直しているところ。 飼っていた猫が行方不明になったことをきっかけに、僕の周りに奇妙なことが起こり始める、3部作の第1作目。 この作品に限らず、村上作品によく言われるのは、主人公の周りに都合よく女性が現れ、すぐに寝るということと、ストーリーが平坦できれいすぎて、何も残らない、という批判です。 確かにその通りではあるとは思うけど、そういったものを通じて、作者は人間の心理の深い部分の、説明の困難な部分を探り出していこうという試みをしていると思います。 そういった傾向は、ダンス・ダンス。ダンスあたりから見られ始めていると思います。 今作はそういった姿勢を明確にだし、死や喪失感というものを描きながら、さらに周りの世界といかにコミットしていくのかを主人公の行動を通じて探られていきます。 ねじまき鳥というのは主人公「僕」の住む家のどこかで「ぎいいっ」と音をたてる鳥のこと。僕はその鳥が世界が動き続けるためにねじを巻いている、と言います。 僕の妻「クミコ」の失踪、妻の兄「綿谷ノボル」との確執、猫を探すために雇われた占い師の加納マルタ、その妹の加納クレタ。さらに妻の家族を通じて知り合った本田という老人、その戦友の間宮中尉を通じて、ノモンハン事件へまで話は広がっていきます。 暴力とは何かという事についても積極的に描かれており、今までにない、探求していく姿勢にあふれたストーリー展開です。 間宮中尉の長い告白で本は幕を閉じ、次の第2部「予言する鳥編」へと続きます。 この本と併せて、「村上春樹、川合隼雄に会いに行く」を読むとより理解が深まるのでお勧めです。

Posted byブクログ

2012/02/26

失業中の本田亨は、いなくなった猫を探したり妻の為に料理をしたりする日々を過ごすうち、猫の行方を占う加納マルタという女性や足の不自由な少女笠原メイと知り合う。  話は冗長でなかなか入り込めない。後半の間宮老人の話で引き込まれた。先はどうなるのやら。

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2012/02/16

1Q84的かな 村上春樹の長編はとにかく序盤から中盤が面白い。 結末は自分で見つける、それが俺的村上春樹の読み方。 第二部も楽しみに読み進めよう。

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2011/12/13

ものすごい一気に読んでしまった。久しぶりに夢中になった。それは作品が良いだけじゃなくて、この小説が多くの謎を孕んでいてミステリー的な要素があるからでもあると思う。ふわふわを楽しむ。 読み終わって、それで結局あれはなんだったんだ、という箇所はたくさんある。でもそういうのは全てメタ...

ものすごい一気に読んでしまった。久しぶりに夢中になった。それは作品が良いだけじゃなくて、この小説が多くの謎を孕んでいてミステリー的な要素があるからでもあると思う。ふわふわを楽しむ。 読み終わって、それで結局あれはなんだったんだ、という箇所はたくさんある。でもそういうのは全てメタファーであって、物理的な答えはいらないんだと思う、たぶん。 読んでいてとても面白かったけど、好きな場面を思い出そうとしても、あまり浮かばない。ノルウェイや羊をめぐるのなかには好きな場面がいくつもあったのに。でも全体的にパラレルワールドを強く感じる好きな内容だった。ふわふわ。 あと装丁が良かった。表紙の鳥のイラスト、 本のずしっとくる厚みと重み、クロニクルっていう題名にぴったり。トレーシングがおしゃれ。花布も二色で良い。1部から3部までそれぞれにあった色の太い栞もいい。抱えるだけで幸せな本。 そしてやはり題名が天才的に良い。

Posted byブクログ

2011/11/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スーツを脱いで主夫になって数ヶ月の岡田亨がいなくなった猫を探す話。 猫はなかなか見つからず、近所の少女や謎の電話、加納マルタ・クレタ姉妹等非日常的で、現実味のない人が岡田亨に次々に関わる。 昔の知人である本田が亡くなり、形見分けをしている間宮から、間宮と本田の出会いの話を聞く。それは戦時中の満州での壮絶な体験だった。 村上春樹氏の小説は好きじゃない。 でも、タイトルで手にとってしまった。 ジャケ買いならぬジャケ借り。 そして、割に短時間で読みきった。 非日常な事が現実味のないまま淡々と過ぎていく印象。 岡田亨のキャラクターがそうだからかもしれないが、以前海辺のカフカを読んだ時にも似た印象を持ったので、そういう作風なのだろう。 終盤の、間宮の満州の話は壮絶すぎて言葉が出ない。 まったく関係ないが、第1部の感想に第2部以降のことを書くのはやめて欲しい。

Posted byブクログ

2011/10/22

村上春樹氏の本をはじめて読んだ。 失業中の主人公が奇妙な電話を受けるところから始まる。 それがこの後の話しにどう関わってくるか一部を読み終えてまだ分からないが、飼い猫の行方不明を起点に物語が大きく揺さぶられて行く。 終盤は戦時中のノンモンハンでの体験を滔々と語るシーンがあり、生々...

村上春樹氏の本をはじめて読んだ。 失業中の主人公が奇妙な電話を受けるところから始まる。 それがこの後の話しにどう関わってくるか一部を読み終えてまだ分からないが、飼い猫の行方不明を起点に物語が大きく揺さぶられて行く。 終盤は戦時中のノンモンハンでの体験を滔々と語るシーンがあり、生々しく情景が浮かび恐怖すら感じた。 第二部も早く読みたくなった。

Posted byブクログ