ちんどん菊乃家の人びと の商品レビュー

大山真人(著者)

2020/07/30

今、この国で
どのくらいの人が
「生」のチンドン屋さんに
出遭ったことがあるのだろう

TVがまだ夢の機械であったころ、
映画がまだまだ娯楽の王様であったころ、
そうですねぇ
御年で言えば70以上であらねば
かなわぬころでしょうか…

生身の人間が
送り出す
生身の音
生身の声
そんな「音」が町から消えて
久しくなってしまった

今風に言えば
ストリート・パフォーマー
なんだろうけれど
その言葉に
入りきらない
情緒と風情があった
下町の一風景があった

わたしたちの芸能が
確かにありました

その時の「匂い」と「風」が
本書から伝わってきます
1995年の刊行
それから25年
「菊乃屋の人びと」は
どうされておられるのだろう…