ネロの都の物語(下) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書は、陰謀うずまく宮廷、酒池肉林の饗宴、戦車競争と剣闘技試合、大火災といったネロの都ローマのお馴染みの大スペクタクルだけでなく、貧民街の袋小路に捨てられた赤ん坊の泣き声、その脇に置かれた屎尿であふれた汚物壷の発する悪臭、朝の商店が扉を開け商品を並べる音、居酒屋の棚に並ぶ野菜、獣肉、魚汁、ブドウ酒の、様々な音と色と匂いと味を、聞いたり、嗅いだり、味わったりしながら、神学や死生観のシニカルでユーモラスな形而上学的議論を楽しめる歴史小説である。
Posted by
- 1