1,800円以上の注文で送料無料

猫町 他十七篇 の商品レビュー

3.9

46件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2009/10/04

黒猫がツンと澄ましていた。 数匹が日なたで井戸端会議を開いていた。 シッポを逆撫で威嚇された。 猫は、日常だった。 物をあべこべに捕らえられれば、 きっと世界はもっと面白いに違いない。 ぼくは正常でまっとうなのに、世界はあべこべ。 人は猫男爵。影に潜む猫の陰謀。 なぁんて、ふっ...

黒猫がツンと澄ましていた。 数匹が日なたで井戸端会議を開いていた。 シッポを逆撫で威嚇された。 猫は、日常だった。 物をあべこべに捕らえられれば、 きっと世界はもっと面白いに違いない。 ぼくは正常でまっとうなのに、世界はあべこべ。 人は猫男爵。影に潜む猫の陰謀。 なぁんて、ふっと、ふらっと迷い込む世界。 例えば旅の途中、知らないはずの町のデジャヴは、 猫町と同じ趣のある、日常的な非日常。 幻想を抱いた素敵な心地よさがそこにある。 なんだか、やっぱり旅に出たくなった。

Posted byブクログ

2009/10/07

猫は可愛くないっていうか怪奇的な象徴の猫ですがそれでも引き込まれる怪しい猫と、その街並み。ショートフィルムを見たように映像が浮んでくる話です。「この手に限るよ」が結構好き。

Posted byブクログ

2009/10/04

有名な猫町は詩的で静かかつ華やかな描写にうっとり。凄く短い話なのにひきつけられます。ウォーソン夫人の黒猫も面白い。ふとした日常の狭間に潜む狂気の魅せ方が、さすが。

Posted byブクログ

2009/10/07

猫町、吸い込まれました。 この人が、同じくらい、今の私は西洋に浪漫を感じていると感じずにはいられなかった。 「この手に限るよ」がつぼだった。

Posted byブクログ

2009/10/04

萩原朔太郎が小説を書いてゐるとは知らなかつた。 朔太郎の小説は3篇あり、いづれも短篇だが、その全てがこの本にをさめられてゐる。 朔太郎は猫好きださうである。 「青猫」と云ふ詩集を出してゐるばかりではなく、表題作の「猫町」の他「ウオーソン夫人の黒猫」と云ふ短篇もある。 また、散文...

萩原朔太郎が小説を書いてゐるとは知らなかつた。 朔太郎の小説は3篇あり、いづれも短篇だが、その全てがこの本にをさめられてゐる。 朔太郎は猫好きださうである。 「青猫」と云ふ詩集を出してゐるばかりではなく、表題作の「猫町」の他「ウオーソン夫人の黒猫」と云ふ短篇もある。 また、散文詩「Omegaの瞳」のラストには「人が猫のやうに見える。」と云ふ一節もある。 讀んでゐて、梶井基次郎を思ひだした。梶井の小説もいづれも短篇であり、「得體の知れない不吉な塊」が通奏低音の如く作品の基調をなしてゐる。朔太郎の小説では「何事かわからない、或る漠然とした一つの豫感」「得體のわからぬ一つの豫感」が底流をなしてゐる。 散文詩「大井町」から私の氣に入つた表現を一つあげておく。 「長屋の硝子窓に蠅がとまつて、いつでもぶむぶむとうなつてゐる。」 どうです、この「ぶむぶむ」がいかにも朔太郎らしいではないか! 編者および解説は清岡卓行で、解説はなんと40ページにわたつている。この解説で朔太郎の當時の生活を知ることができる。 岩波にひとつ苦言を呈す。 なぜ、わざわざ小説を新假名・略字體表記にするのか!散文詩は歴史的假名遣ひ・正字體表記なのに。 朔太郎の小説と散文詩をいかに區別しているのか、教へてもらひたいものである。 2003年4月17日讀了

Posted byブクログ

2009/10/04

萩原朔太郎の散文集。朔太郎の感性が光っている。方向感覚喪失と猫の町、鉄筋コンクリートに虫、という絶妙の組み合わせ。郷愁あふれたトランジットの空間の郵便局、独特の欲望に満ちた都会の群集など、社会学的な鋭さにも満ちている。

Posted byブクログ