六祖壇経 の商品レビュー
中国禅宗の六祖慧能の語録。 有名な「本来無一物」の偈を作り、兄弟子神秀を差しおいて師弘忍に認められるくだりは劇的である。 だけど、慧能は天性の持ち主であってあまり師の助けなく悟っているようにもみえる。 そのためかは知らないが、本書の語録は講学的・教理的な慧能の説法が多くを占める。...
中国禅宗の六祖慧能の語録。 有名な「本来無一物」の偈を作り、兄弟子神秀を差しおいて師弘忍に認められるくだりは劇的である。 だけど、慧能は天性の持ち主であってあまり師の助けなく悟っているようにもみえる。 そのためかは知らないが、本書の語録は講学的・教理的な慧能の説法が多くを占める。確かに既存の仏教語を用いて禅宗の境地を表現することには秀でているのだろう。しかし、いわゆる禅問答のスリリングで玄妙なやり取りはあまりない。 とはいえ、「三身」についての説法、つまり法身・応身・報身の説明は、釈迦の一身から出た「仏」の概念が、大乗仏教の教理の中で複雑化され、再び生身の法性という一点に収斂する壮大なダイナミズムを見せられるようで感動した。 また、「本来無一物 何れのところにか塵埃あらん」という一節は、最小限の言葉に仏教の精髄が凝縮されておりあまりに美しい。
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作品紹介 「六祖壇経」は、達磨から数えて六代目南宗禅の祖とされる恵能大師の公開説法と言行録である。 彼は体験としての見性を強調し、自由の境地を尊重した。 「悟りを開く真実の智慧は、世の人々に本来自(おのず)から具わっている。その本来の智慧を働かせて 即座に仏になりきることだ」...
作品紹介 「六祖壇経」は、達磨から数えて六代目南宗禅の祖とされる恵能大師の公開説法と言行録である。 彼は体験としての見性を強調し、自由の境地を尊重した。 「悟りを開く真実の智慧は、世の人々に本来自(おのず)から具わっている。その本来の智慧を働かせて 即座に仏になりきることだ」と、彼は説いた(本書帯より引用)。
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禅の六祖、恵能(えのう)の教えを記したもの。 著書で解説者の中川さんは、そうとう研究されているみたいで、解説はわかりやすく、現代語訳はまるで小説のように情熱的で読みやすく、素晴らしい一冊になっています。 文庫で1,165円というと高いですが、この本の場合は「安すぎる」という印象で...
禅の六祖、恵能(えのう)の教えを記したもの。 著書で解説者の中川さんは、そうとう研究されているみたいで、解説はわかりやすく、現代語訳はまるで小説のように情熱的で読みやすく、素晴らしい一冊になっています。 文庫で1,165円というと高いですが、この本の場合は「安すぎる」という印象です。 「六祖壇経」の現代語訳と訓読と原文が掲載されています。原文と現代語訳を比べてみると、直訳をしているわけではないのですが、原文の意味を損なうことなく、大胆で情熱的な描写をされています。一字一句、推敲を重ねに重ねた結果でしょうね。おかげで、のめり込んで読むことができました。 恵能はとにかく、「悟りは自己の本性の中にある」ということを懇懇と説いています。 三十六段の「三科の法門と三十六対法」が、陰陽五行に通じるところもあって、特に響きました。
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