光る源氏の物語(上) の商品レビュー
とってもイイ(⁎˃ᴗ˂⁎) 全巻について原文抜粋・小説家訳→国語学者と二人であれこれ議論、感想交換。 若紫は絶対読め、匂宮~竹河はこの本の要約で充分、式部はこの辺で十二指腸潰瘍になったはずだ、理由は…と自由な発言が楽しい。 「かかやく日の宮」があるはずだがカットされ散逸した、谷崎...
とってもイイ(⁎˃ᴗ˂⁎) 全巻について原文抜粋・小説家訳→国語学者と二人であれこれ議論、感想交換。 若紫は絶対読め、匂宮~竹河はこの本の要約で充分、式部はこの辺で十二指腸潰瘍になったはずだ、理由は…と自由な発言が楽しい。 「かかやく日の宮」があるはずだがカットされ散逸した、谷崎源氏も不敬罪だとカットされた時期があったように。 後人の補作で散逸したものがあるが、匂宮など三巻は残ったそれで式部作ではない、いや本人の気持ちの変化の跡で本人作だ云々。 単語や助詞の質や数の分析も。研究・考察とはこうやるのだと手本になった。
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源氏物語を読んでいる時より、むしろこの博識の達人二人の対談を読んでいるときの方が楽しいかも!答え合わせの様な楽しさ。
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文学者丸谷才一と日本語学者大野晋という博学な二人が興に任せて「源氏物語」を語り尽くす対談。1989年に刊行されてすぐに高校の図書室でこの本にであったのは、今思えばわたしにとってこのうえなく運のいいことだった。教科書と「あさきゆめみし」でざっと大枠を理解したばかりの高校生にとって、...
文学者丸谷才一と日本語学者大野晋という博学な二人が興に任せて「源氏物語」を語り尽くす対談。1989年に刊行されてすぐに高校の図書室でこの本にであったのは、今思えばわたしにとってこのうえなく運のいいことだった。教科書と「あさきゆめみし」でざっと大枠を理解したばかりの高校生にとって、a系とb系、うしなわれた「かかやく日の宮」の巻といった物語の構成を分析する話も、助詞や敬語の使い方など文法から内容を詳しく精査する方法もなにかと勉強になったし、丸谷才一はこれ以前に「桜もさよならも日本語」のような評論でお近づきになっていたけれど、この対談をきっかけに、大野晋の本も読むようになったのだった。 文庫になったとき買ったつもりでいたけれど、再読しようとして(角田源氏が出たり「文藝」で特集が組まれたりで思い出した)どこをどうさがしても出てこないので、改めて手配して入手。そこらに置いといたら、古典好きに育った高校生の長女が休校のつれづれに読み終えた(実事ありやなしやを追求していくハイレベル対談、おもしろかったらしい)というので、彼女にとってもよいであいになってくれたのだといいなと願っている。 **** 2024年8月、角田光代✕山本淳子の対談「いま読む『源氏物語』」を読み終えて、ひさびさにこちらを開いてみている。思えばこの対談が雑誌に載っていたのが80年代の終りで、90年代になって女性研究者なども増えてきて研究が進んだ一端にはこの本の貢献もまあまああるのではないかと思った。
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最高!最高の本だよー!知性の塊二人が、源氏物語を、オタクのように語り尽くす本だよ!面白くないわけないじゃん?!あと小説書きたいなーとか今書いてる人には、古典的だけど千年変わらない、物語を面白くするギミックが、この本で理解できるから、すごくいいと思う!わたしもこのギミック使ってなん...
最高!最高の本だよー!知性の塊二人が、源氏物語を、オタクのように語り尽くす本だよ!面白くないわけないじゃん?!あと小説書きたいなーとか今書いてる人には、古典的だけど千年変わらない、物語を面白くするギミックが、この本で理解できるから、すごくいいと思う!わたしもこのギミック使ってなんか書きたくなっちゃったよ。
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高校とかで国語とか教えている若い人は、今や過去の人ではあるけれど、こういう、ものすごい人がいたことは知っておいた方がいいと思う。 優しそうに語り合っている二人の頭の中なのかどこなのか、膨大な集積があって、だから優しくて、わかりやすいということは、大野の日本語論、もちろん素人向...
高校とかで国語とか教えている若い人は、今や過去の人ではあるけれど、こういう、ものすごい人がいたことは知っておいた方がいいと思う。 優しそうに語り合っている二人の頭の中なのかどこなのか、膨大な集積があって、だから優しくて、わかりやすいということは、大野の日本語論、もちろん素人向け、丸谷の文学論、もちろん一般読者向け、を一、二冊手に取ればすぐわかるし、その方面に関心がある人はもちろんだが、ない人でもきっと病みつきになる。 そういう本の集大成みたいな対談なんですよね、これって。社会的歴史的背景の解説はもちろんですが、二人の「読み」の面白さがでたらめじゃないことがすごい。実事なんて言い回しで、男女の関係の深さを、いけしゃあしゃあと解説する大学者、笑っちゃいますよホント。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1994(底本89)年刊。国語学者と作家、碩学2名の源氏物語鼎談。源氏論でも指折りの面白い書。何より丸谷氏が、小説のプロット作り、構造分析から源氏物語を解読する様は圧巻(①一見退屈な「雨世の品定め」をドラマティック・アイロニーで読み解く、つまり源氏が藤壺との密会を経ている中で聞かされる男女論は源氏の無言の凄みを感じさせる、②藤壺密会のタブーは父帝妻の寝取りのタブーでなく、物忌のタブー)。一方、大野氏の文法・古語の確かな知識による読解も素晴しい(情、艶、「よしとゆゑ」の差、秋好中宮はアンチ清少納言の象徴)。
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国語学者の大野晋と作家の丸谷才一の対談で進む「源氏物語」の解題。精妙な言葉の使い分けに反応して、ここまでわかっている2人が交わすやりとりは、羨ましくも呆然とするばかりでした。紫式部は極めて微かにしか男女の夜の事を記さないので、実事ありや?と互いに確認しあっているのが面白い。林望訳...
国語学者の大野晋と作家の丸谷才一の対談で進む「源氏物語」の解題。精妙な言葉の使い分けに反応して、ここまでわかっている2人が交わすやりとりは、羨ましくも呆然とするばかりでした。紫式部は極めて微かにしか男女の夜の事を記さないので、実事ありや?と互いに確認しあっているのが面白い。林望訳では、そこを書いていませんが、物語を知る上では、実は重要事項ですよね。下巻に続く。
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・紫式部ってすごい人だったんだなあ。知識もあるし、それから、構成力?の高さ。「11世紀なのにこんなの書いててすごい」というロジックには素直に頷けないところもあるが、でもきっとすごいことなんだろうなあ。 ・メインのa系(母の面影を求めて藤壺、紫の上他)、失敗談個別エピソード的なb系...
・紫式部ってすごい人だったんだなあ。知識もあるし、それから、構成力?の高さ。「11世紀なのにこんなの書いててすごい」というロジックには素直に頷けないところもあるが、でもきっとすごいことなんだろうなあ。 ・メインのa系(母の面影を求めて藤壺、紫の上他)、失敗談個別エピソード的なb系(空蝉、末摘花他)、両者統合後のc系(女三の宮のあたり)、次世代のd系(宇治十帖)に分けて考えるという説に納得。 ・それから、槿の君や六条御息所の初登場、そして藤壺との初実事が含まれる「かかやく日の宮」という章が存在していたはずだが削除された、という説も知らなかった。しかも削除された理由が、「帝の妃を寝とったことがタブーだから」ではなく(それは削除されてない章にもばっちり書かれているしね)、「物忌みの日に出掛けていって情事に耽ったことがタブーだから」なのではないか、という説も、興味深かった。 ・色々と「へえ」ポイントがあったけれども忘れてしまった。覚えているうちのひとつ→「情けをかける」という日本語には「表面を取り繕う」というニュアンスがある。だから正妻には「情けをかけ」ない。取り繕う必要がないから。正妻であり姫君の育ての母である紫の上と、姫君の生みの母である明石との間で「情けを交わし」ているのは、そもそもがギクシャクして当然の関係であることをも表している。
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上巻かなり読みやすく、ところどころで「あさきゆめみし」を開きながら(谷崎訳を開かないところがまた悲しい)面白く読めました。須磨の源氏が朱雀帝に生霊となってたたったが為、源氏は都に呼び戻された。言われるとすんなりなるほどと思えたのに、六条御息所は生霊と言って源氏をそう呼ぶのははばか...
上巻かなり読みやすく、ところどころで「あさきゆめみし」を開きながら(谷崎訳を開かないところがまた悲しい)面白く読めました。須磨の源氏が朱雀帝に生霊となってたたったが為、源氏は都に呼び戻された。言われるとすんなりなるほどと思えたのに、六条御息所は生霊と言って源氏をそう呼ぶのははばかる無意識が驚きでした。全面的に私はこの本を鵜呑みにしてしまった。
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