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大地の子(3) の商品レビュー

4.3

76件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

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2025/10/03

一心を取り巻く人間関係と、製鉄所建設の話とが入り混じり物語が進むにつれ引き込まれていく。 国策としての開拓団、そして国が起こした戦争の被害者となった多くの孤児達の話は読むだけでも胸が苦しくなる。 一巻の一心の時も辛かったけど、妹の話になるとさらに辛い。引き取られた養父母によっても...

一心を取り巻く人間関係と、製鉄所建設の話とが入り混じり物語が進むにつれ引き込まれていく。 国策としての開拓団、そして国が起こした戦争の被害者となった多くの孤児達の話は読むだけでも胸が苦しくなる。 一巻の一心の時も辛かったけど、妹の話になるとさらに辛い。引き取られた養父母によっても境遇は大きく異なる。 今、こうして小説として読んでいるけれど、たくさんの人が同じ思いをしていた歴史があったことを思うと辛すぎる。 製鉄所建設の話も、これだけ考えの異なる国同士で一つのことを行うのは大変だろうと思わざるをえない。おそらく今日に至っても変わってないのだろう。 一心と妹がこの先どうなるのか、日本の親に会うことができるのか、次巻が楽しみ。 実際読者は一心が松本と会っていることはわかっていて、知らぬは本人達だけという状況になっているのが、山崎豊子さんの上手いなと思うとところ。

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2025/09/29

 中国の脅威的な経済発展の礎となるのが日本の経済援助と技術指導なのであるが、中国との取引には多くの煮湯を飲まされている日本企業の姿がよく描けている。たぶん中国人にしてみれば、これだけ祖国を侵略した悪人日本人に対してはどんなことをやっても当然なのだという意識があるのだろうと思う。そ...

 中国の脅威的な経済発展の礎となるのが日本の経済援助と技術指導なのであるが、中国との取引には多くの煮湯を飲まされている日本企業の姿がよく描けている。たぶん中国人にしてみれば、これだけ祖国を侵略した悪人日本人に対してはどんなことをやっても当然なのだという意識があるのだろうと思う。そして、もともと中華思想に凝り固まった国なので、日本人を利用することは屁とも思わない国民性もあるのだと思う。現在では、鉄鋼どころか電化製品も情報機器も多くの分野で日本は中国に及びもつかない状況に追い込まれているのだ。  国際競争というのは、生き馬の目を抜くような競争なのだという現実を知らなければならないのだが、いつかこんなことではなく、親切にされたことを忘れないような世界になるといいですね。

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2025/02/16

戦争が引き裂いだ兄妹の絆と国策に翻弄される主人公ら残留孤児の物語に胸が締め付けられる。たとえそれが一方からは負の歴史であったとしても、歴史を知ることは必要であり、そのためにも意義のある小説を読んでいると感じている。

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2024/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1.2.3と読んでいますがだんだん話が理解できて読み進めるペースが上がります、 まだ3まできても、こんなに顔を合わせてる松本父とルーさんが親子だと気付かないのが、2人が会うたびハラハラしてしまいます。 とはいえ、あつこと再会ができ、その再会をきっかけに犬の名前や母の名前が思い出せたこと、次の父探しのきっかけになったようで良かったです。 何よりこれが事実に基づく話だということに戦争の歴史と惨さを感じます。

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2024/08/11

改めて戦争が残した残虐な歴史を感じさせられる。 陸一心とその家族がどのような結末を迎えるのか次巻が楽しみ。

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2024/04/07

本作では松本耕次、陸一心それぞれが肉親探しを行いついにあつ子との再会を果たす。 次巻が最終巻、山崎豊子さんらしい印象的な結末を期待。

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2024/03/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日中合作の製鉄所建設に携わる主人公。 3巻では、中国の政変で事業が一時中止にまで追い込まれる経緯、中国の杜撰な管理体制、首都北京と農村の格差などが丁寧に描かれている。 本作では、ようやく主人公と妹が再会を果たすが、妹の運命は予想していたより過酷なものだった。一巻で、貧しい女性が法の合間を掻い潜って売春をしているエピソードがあったから、てっきり妹の伏線かと予想していたが、妹が歩んだ人生はむしろそれよりも過酷であった。 やっと巡り会えた2人だが、あまりの運命の違いから妹は主人公の負担になりつつある。 ようやく入党を果たしたのに、妹のことが原因でとんでもない問題になるのではないかと予想。 そして、とっくに父と再会できているのにお互いにその状態に気付けていないのは、読んでいてとても焦ったい。 せめて妹が亡くなる前に父と再会して欲しいと願う。

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2024/01/30

涙、涙。事実に基づく、色々な取材から、丁寧に何十年とかけて作られた作品と巻末にあったが、リアルさや感動が他の小説と違う。

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2023/09/30

山崎豊子『大地の子』文春文庫 読了。中国残留孤児の半生を描く大河小説。国共内戦や文革の嵐を背景にその出自に翻弄される。養父はじめ思い溢れた周囲に恵まれ、中日共同の製鉄所建設プロジェクトに携わり、実父との運命的な再会を果たす。戦争孤児として生き別れた妹の境遇が衝撃的。まさに戦禍だ。

Posted byブクログ

2023/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

陸一心はようやく妹との再会を果たすが精神的にも身体的にもやつれ果てたあつ子の姿は読んでいてつらいものがある。日本人でありながら、中国語でしか通じ合えない兄弟。なかなか父子であることに気づかない二人。あつ子は父と巡り合うことができるのか。最終章に続く。

Posted byブクログ