法律(上) の商品レビュー
「国家」と並びプラト…
「国家」と並びプラトンの主作とされるのが本書です。対話形式ですが、今回はソクラテスは残念ながら登場しません。「アテナイからの客人」ら三人が国制と法律について論じるます。本書では「現実にあるべき国家」の具体的な法律・制度全般について自由で大胆な提案を行います。「国家」では理想論が語...
「国家」と並びプラトンの主作とされるのが本書です。対話形式ですが、今回はソクラテスは残念ながら登場しません。「アテナイからの客人」ら三人が国制と法律について論じるます。本書では「現実にあるべき国家」の具体的な法律・制度全般について自由で大胆な提案を行います。「国家」では理想論が語られ、本書では現実論が語られます。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ついにソクラテスが出てこなくなった、プラトンの最期の作品。クレテ島で出会った3人(それぞれアテネ・スパルタ・クレテ出身)が「言葉の上で国家を建設する」ために議論をするという内容。 「国家」を思わせるあらすじだが、3人のうち一人が実際に植民市の建設にかかわる予定だということで、「国家」より現実的な話になっている(あくまで比較して、という程度だが)。哲人王独裁の勧めは語られず、次善であったはずの法律順守の政治が語られたりする。シチリア島の政治への介入が失敗したことで、プラトンも考えるところがあったということだろうか。ただ、市民の生活の監視や強制の激しさ、財産のみならず妻や子供の共有などはまだあきらめていないらしいどころか、よりこじらせているような気はするが。市場制度や共同の食事など、あちこちアテナイやスパルタ等の制度をつぎはぎしているらしくて、そのあたりは歴史的に面白いと思った。
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すっごい不思議な構成をとっている。 序論にあたる第3巻までのグネグネまがった道行は、ちょっと読んでてしんどい。 (レジメ作るのたいへんそうです) ただ完全に後期とみなされているこの作品ですら、 「魂の世話をしてより善く生きていく」という、 おそらくソクラテスから受け取ったであろ...
すっごい不思議な構成をとっている。 序論にあたる第3巻までのグネグネまがった道行は、ちょっと読んでてしんどい。 (レジメ作るのたいへんそうです) ただ完全に後期とみなされているこの作品ですら、 「魂の世話をしてより善く生きていく」という、 おそらくソクラテスから受け取ったであろう考え方が生きていて、 この「善く生きる」を、社会・国家構想のなかで考える、という課題がプラトンにはあったんだなあと思うと、 なみなみならないプラトンのエネルギーを感じる。
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