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帝国軍人の反戦 の商品レビュー

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2017/01/16
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1993年刊。日露戦時から軍の宣伝部長的な役割を負ってきた水野広徳(海軍大佐)と桜井忠温(陸軍少将)。しかし、軍・政府批判を強め、さらには著作は発禁処分、憲兵隊にも監視されるに至った水野と、終戦までは軍人作家として名声をほしいままにしたが、戦後公職追放・軍人恩給の停止により辛酸を舐めた桜井。対照的な2人の生き様を書簡・論考の引用等から明らかにする。解説の豊田穣氏も指摘するよう、水野の生き様は興味深い。また、大正14年頃に寄稿した論考で、真珠湾攻撃以外の日米戦争の推移を予見した水野の慧眼には恐れ入る。 気骨あふれる水野氏の論考(特に「軍人心理」や「『戦争』一家言」、あるいはWW1後の独事情を記述した彼の自伝)は読んでみたい(が、かなり高額)。また、水野氏の論考だけでなく、発禁処分になったあらゆる書籍を要約した本があれば、当時、社会から隠蔽された事実や主張が具体的に明瞭化され、戦前の政治的意図を浮き彫りにできるような気がするが…。なお、本論と全く無関係だが、古本屋巡りをすれば、自分が全く知らないのに実は興味深い人物(つまり水野氏のような人物)や出来事に遭遇できる。だから古本屋巡りは止められない。

Posted byブクログ