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粗にして野だが卑ではない の商品レビュー

3.7

99件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

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  3. 3つ

    28

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2018/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 三井物産に35年間在籍し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった”ヤング・ソルジャー”―明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から”卑でない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。 「朝、ミスター・イシダが来ると、全員立ち上がらんばかりのふんい気でした。ミスター・イシダは何か明らかに不満があっても、大声を出したりはしない。怒りを内に溜めていて、なぐりはしないけど、こちらはなぐられた感じがした」  石田はとにかくオープンで、ざっくりばらん。多勢の前で、 「おれの知識ではよくわからん。もっと詳しく説明してくれ」  などと大声で訊く。  クビになるかと思うほどの損を出したときでも、理由を聞いて「なるほど」とうなずき、 「取り戻せるものなら、やってみろ」  肚の中と口にすることは同じ。ストレートに物を言うし、また、そういう人を好む。分かりやすい人であった。  そして「賢明な投資」のためには、 「しじゅう頭を使って天下の形勢をみてなきゃ」  石坂自身も、経団連会長への就任を決めたとき、記者団から動機を訊かれ、菜根譚の一句を引用した。 「人と作るには一点の素心を存することを要す  人と交わるには須く三分の俠気を帯ぶべし」 「あの件は一例だが、石田さんは労使関係を超えて、職員の気持をつかんだ。国鉄総裁というより、人生の達人。そういう感じのものが、みな奮起させた。」

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2021/08/08

 三井物産に35年間在籍し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった”ヤング・ソルジャー”―明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から”卑でない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。 「朝、ミスター・イシダ...

 三井物産に35年間在籍し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった”ヤング・ソルジャー”―明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から”卑でない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。 「朝、ミスター・イシダが来ると、全員立ち上がらんばかりのふんい気でした。ミスター・イシダは何か明らかに不満があっても、大声を出したりはしない。怒りを内に溜めていて、なぐりはしないけど、こちらはなぐられた感じがした」  石田はとにかくオープンで、ざっくりばらん。多勢の前で、 「おれの知識ではよくわからん。もっと詳しく説明してくれ」  などと大声で訊く。  クビになるかと思うほどの損を出したときでも、理由を聞いて「なるほど」とうなずき、 「取り戻せるものなら、やってみろ」  肚の中と口にすることは同じ。ストレートに物を言うし、また、そういう人を好む。分かりやすい人であった。  そして「賢明な投資」のためには、 「しじゅう頭を使って天下の形勢をみてなきゃ」  石坂自身も、経団連会長への就任を決めたとき、記者団から動機を訊かれ、菜根譚の一句を引用した。 「人と作るには一点の素心を存することを要す  人と交わるには須く三分の?気を帯ぶべし」 「あの件は一例だが、石田さんは労使関係を超えて、職員の気持をつかんだ。国鉄総裁というより、人生の達人。そういう感じのものが、みな奮起させた。」

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2018/11/06

三井物産の社長、会長から、 国鉄総裁を6年勤めた石田豊助の生涯を綴った伝記。 よく言う曲がったことの大嫌いな頑固オヤジ。だが、この人は若いときから海外で過ごし、国際感覚を持って事にあたっていたので、そのぶん大きな功績を残せたのだと思う。 粗にして野だが卑ではない。 ...

三井物産の社長、会長から、 国鉄総裁を6年勤めた石田豊助の生涯を綴った伝記。 よく言う曲がったことの大嫌いな頑固オヤジ。だが、この人は若いときから海外で過ごし、国際感覚を持って事にあたっていたので、そのぶん大きな功績を残せたのだと思う。 粗にして野だが卑ではない。 あえて、粗や野になる必要はないが、 卑ではない生き方を追求する石田豊助は確かにカッコいい。

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2018/11/01

第五代国鉄総裁石田氏の生涯を辿るドキュメント。 パブリックなものに奉仕する姿勢、使命感には強く共感し、自分もそうありたいと強く思う。卑なることを嫌い、生き方に筋が通っていると感じる。 その一方で株で大損したり、孫を溺愛したりといった面もあり、その人柄も素晴らしいと思った。

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2018/10/19

元国鉄総裁の石田礼助の伝記。「卑」であることを拒否した一生。戦前の三井物産から長い海外勤務をし、欧米の価値観と倫理観を持った石田。国鉄総裁にと懇願された。誰にでも正直に言わなければならないことは言い、与党にも野党にも組合にも、もちろん国鉄職員にも慕われた総裁だったという。

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2018/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三井物産の代表取締役を経て、ファーマーを経て、国鉄総裁になった石田禮助の生涯を描く。 ワンダラーマンの姿を目標に、パブリックサービスとして国鉄総裁になり、年1本のブランデーを報酬として人のため社会のために働く。 自分もそんな姿にあこがれを抱いた。

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2017/11/17

石田総裁の着任早々に鶴見事故が発生し、強烈なショックを受けた。P149 国鉄職員、特に運転士の待遇が三公社並みなのはおかしい。P158 青函連絡船の新造。青函トンネル反対。掘れるから掘るはダメ。採算が合わない。P165 運転士2人乗務制の廃止。2つの目より4つの目のがいいの...

石田総裁の着任早々に鶴見事故が発生し、強烈なショックを受けた。P149 国鉄職員、特に運転士の待遇が三公社並みなのはおかしい。P158 青函連絡船の新造。青函トンネル反対。掘れるから掘るはダメ。採算が合わない。P165 運転士2人乗務制の廃止。2つの目より4つの目のがいいのでは?との野党の質問に対し、「6つならもっといいのか?」「4つや6つは他力本願になる。数じゃない。その裏にある精神が大事だ。」P201

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2017/08/18

元国鉄総裁の石田礼助の生涯は、普通の人の仕事人生の三回分くらいのボリュームがあった。なかなかたどり着けそうな人物像ではないが、部分的にでも吸収できればと思う。 人生の晩年をパブリックサービスに当てるべき。 粗にして野だが卑ではない、正々堂々とやる。 その職務でないと出来ないこと...

元国鉄総裁の石田礼助の生涯は、普通の人の仕事人生の三回分くらいのボリュームがあった。なかなかたどり着けそうな人物像ではないが、部分的にでも吸収できればと思う。 人生の晩年をパブリックサービスに当てるべき。 粗にして野だが卑ではない、正々堂々とやる。 その職務でないと出来ないことだけをやる。後は任せる。 リーズナブルな判断をする。 公私を明確に分ける。

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2016/09/13

城山三郎の本にしては薄くて文字も大きいし読みやすい本であった。努力家で裏表のない方であったと尊敬するが、ちょっと悲哀エッセンスが足りないというか小説として物足りない気もする。今のところ城山作品では「毎日が日曜日」が一番のお気に入り。

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2016/07/30

タイトルが全てを表しており、秀逸。仕事や家族、人生の現実の壁は誰にでもある。ただ、やはり石田禮助の仕事は、筋が通っており、爽やかだ。流行りの新書に書いてあるような、手軽なテクニックの習得で、さも人生うまく行くと踊らされる前に、人間としての芯を鍛えなければと考えさせられた。

Posted byブクログ