きみが住む星 の商品レビュー
旅立ちからはじまり、旅先を想像させる美しい景色の写真に合わせて、遠く離れた場所から愛しい人に手紙を送る。詩のようにもエッセイのようにも読める。言明されているわけではないが、どことなく実体験にフィクションを交えたような印象を受けた。綺麗な写真と言葉に触れて、心の疲れがとれてゆく。と...
旅立ちからはじまり、旅先を想像させる美しい景色の写真に合わせて、遠く離れた場所から愛しい人に手紙を送る。詩のようにもエッセイのようにも読める。言明されているわけではないが、どことなく実体験にフィクションを交えたような印象を受けた。綺麗な写真と言葉に触れて、心の疲れがとれてゆく。とくに「心のガラス窓」がじんわりと胸に響いた。旅へ出たきりにならず、ちゃんと待つ人のもとへ帰ろうとしているところも好き。
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世界中を旅する主人公が愛おしい人へ宛てた手紙が写真と共に綴られている。文章は全て心に残るものばかり。写真はそれぞれの手紙の内容を具現化するものになっていて、想像しながら写真を見るのも面白い。
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世界を旅している恋人から、こんな素敵な手紙が届いたら…ため息 「行く先々でぼくは景色や人々の中にきみのおもかげを見るだろう。きみはぼくの経由した自画像をたくさん受けとるだろう。旅をしているのが自分であり、見られている景色が自分であり、この星全体が自分なのだと知るだろう」 旅に出...
世界を旅している恋人から、こんな素敵な手紙が届いたら…ため息 「行く先々でぼくは景色や人々の中にきみのおもかげを見るだろう。きみはぼくの経由した自画像をたくさん受けとるだろう。旅をしているのが自分であり、見られている景色が自分であり、この星全体が自分なのだと知るだろう」 旅に出たくなる。 旅先から誰かを思って手紙を書きたくなる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜこの本が「読みたい」に登録されていたのかよく覚えていないのですが、とにかく読みました。 エルンスト・ハースという方の写真に池澤夏樹が短い文章を添えています。 文章の体は旅に出ることになった「ぼく」が「きみ」へ世界各地から送る手紙、というものです。 写真と文章はふんわりリンクしています。 写真のことはよくわからないので、本当は素晴らしいのかもしれませんが、わたしは素敵!とは思わず。 文章もクサいというかサムいというか、好き嫌いがわかれそうです。(わたしはちょっと苦手) 和光が発行している冊子に掲載されていたものを集めたもののようです。それを知ってちょっとおしゃれかも、と思いました。
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旅先から恋人へ送る絵はがきという設定で エルンスト・ハースの写真に池澤夏樹が文をつけたもの。 最初の手紙からキュンときます。 そこで見たものや出会ったものを「きみ」に伝えながら、 「きみ」を想う気持ちがあふれてる。 『ゆっくりと飛ぶ鳥』『心のガラス窓』が好き。 でもやっぱり…...
旅先から恋人へ送る絵はがきという設定で エルンスト・ハースの写真に池澤夏樹が文をつけたもの。 最初の手紙からキュンときます。 そこで見たものや出会ったものを「きみ」に伝えながら、 「きみ」を想う気持ちがあふれてる。 『ゆっくりと飛ぶ鳥』『心のガラス窓』が好き。 でもやっぱり……全部好きです。
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池澤夏樹による書簡形式の旅の寓話。 旅先の彼氏から彼女へと送られるそれは一つのラブレター。 簡素で美しい文体から紡がれる旅の情景。 それは私たち一人一人の心に優しく寄り添ってくれるよう。 今だったらメールになるかもしれません。 でもやっぱり手紙っていいもの、久しぶりに書いてみ...
池澤夏樹による書簡形式の旅の寓話。 旅先の彼氏から彼女へと送られるそれは一つのラブレター。 簡素で美しい文体から紡がれる旅の情景。 それは私たち一人一人の心に優しく寄り添ってくれるよう。 今だったらメールになるかもしれません。 でもやっぱり手紙っていいもの、久しぶりに書いてみようか。
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(2012.04.06読了)(拝借) 東日本大震災関連の本を次々と読んでいて、ちょっと息抜きに文章の少ない本を選んでみました。 ものすごく精密に描かれた絵のようなエルンスト・ハースの写真に池澤夏樹がその写真から思い浮かべた物語を旅先から恋人に宛てた手紙という形式で添えている。 2...
(2012.04.06読了)(拝借) 東日本大震災関連の本を次々と読んでいて、ちょっと息抜きに文章の少ない本を選んでみました。 ものすごく精密に描かれた絵のようなエルンスト・ハースの写真に池澤夏樹がその写真から思い浮かべた物語を旅先から恋人に宛てた手紙という形式で添えている。 2頁の見開きのカラー写真があり、次の見開き2頁に池澤夏樹の物語が続く。 辻邦生にも似た作品がある。辻さんの場合は、写真じゃなくて、絵画だったけど。 この本を読んでいて、地球上には、こんな風景もあるんだと嬉しくなりました。どこの風景なのかはわかりませんが、実際行ってみることができなくても、写真で十分豊かな気になれそうです。 【目次】 最初の手紙 朝焼けコレクター 花を踏まない馬 風景を洗う 向こう側へ行く人たち 魔法使いの家 考えが走る ゆっくりと飛ぶ鳥 蛍の木 夜間飛行 フラミンゴたち 心のガラス窓 パピルス 宝を探す人々 海から逃げる光 大事なものは空に 丘の上の家に住む日 あふれ出した鳥 最後の馬車 長い長い物語 雪迎え 神様の本当の名 ワンピースの化石 ●花を踏まない馬 花があまり綺麗だから、馬はそれを踏むのが嫌で、足を地面につけないように歩いている。そんなことができる馬のことをぼくはすごく尊敬した。 ●風景を洗う 降った雨が川になって、滝になって、風景全体を洗う。みずみずしい木々の緑が日の光を受けてキラキラ輝くように埃を洗い流す。そのおかげで地球は太陽系でいちばん清潔な星でいられるんだから、雨の日を嫌ってはいけない。 ●宝を探す人々 金かとか宝石とか、そういう宝じゃないんだ。昔々の予言者の呪文を書いた文書で、その言葉をとなえると誰でもすぐに幸福になれるって言うんだけど、信じられるかい? ●最後の馬車 ぼくは出発する方だったから、残される側にいたきみの気持はわからない。なるべき早く帰るからときみに言って旅立った。それだって、辛かった。見送るのはもっと辛いよね。丘の向こうへ行ってしまう馬車を見送っているって、世界でいちばん寂しいことだ。 ●神様の本当の名 彼らは、人間が幸福でないのは、神様の本当の名を知らないからだと信じている。それさえわかれば、世界全体がすっかり幸福になるんだって。 ☆池澤夏樹の本(既読) 「タマリンドの木」池澤夏樹著、文芸春秋、1991.09.25 「メランコリア」池澤夏樹著・阿部真理子絵、光琳社出版、1998.12.10 「イラクの小さな橋を渡って」池澤夏樹著・本橋成一写真、光文社、2003.01.25 「春を恨んだりはしない」池澤夏樹著、中央公論新社、2011.09.11 (2012年4月6日・記)
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海外のどこかから、写真と情景と、彼からの彼女へ、絵はがきを送ってる感じ。彼女のこと、好きなんだなぁと、やんわり感じる。
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旅先からの手紙とエルンスト・ハースの写真。 とてもシンプルな言葉なのにすごく暖かい。 何度も読んでボロボロになってしまったけど色褪せません・・・。 こんな風に旅先で誰かのことを想えたらなんて素敵なこと♪
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「心のガラス窓」と「丘の上の家に住む日」が印象に残る。 連日の報道に心が疲れてしまって。 これじゃダメだと思って文庫版ではなく、ハード版を購入。 この選択、間違っていなかったと思う。
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