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われらの歪んだ英雄 の商品レビュー

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2021/09/28

最近の図書館では北東アジアの作家の作品のために、前よりも多くのスペースを割くようになった気がする。でも考えてみれば、今ほどのスペースすら割いていなかったのがおかしなことにも思える。私が突然北東アジアの作家の本が並んでいることに気づいただけ? それはわからないけど、図書館でたまた...

最近の図書館では北東アジアの作家の作品のために、前よりも多くのスペースを割くようになった気がする。でも考えてみれば、今ほどのスペースすら割いていなかったのがおかしなことにも思える。私が突然北東アジアの作家の本が並んでいることに気づいただけ? それはわからないけど、図書館でたまたま目に入ったのでこの本を借りてみた。 ここ数十年の韓国の歴史をもっと知っていたら、これらの短編集をもっとよく理解できた気もする。 表題作の「われらの歪んだ英雄」は、映画化されたのも納得の出来だった。人物の描き方が表層的だけれど、その軽薄さは語り手である主人公自身を描くための表現なのかもしれない。 「あの年の冬」は海のシーンはとても良かったけれど、そこにたどり着くまでが冗長すぎるし、その後の顛末は蛇足に感じる。 「金翅鳥」は、このような生育環境で人がまともに育つわけないのに、人並みに育っている主人公が不気味で、途中で読むのをやめた。 この作家の作品をまた読みたいかはわからないけれど、韓国の小説はこれまで読んできた欧米の小説とは一味違う気がして興味をそそられる。 また別の東北アジアの作家の小説を読んでみたい。

Posted byブクログ

2009/10/07

本ではなくてビデオで。小説の映画化でもきっと上出来の方だと思う。民主化はしたものの…というダルい世相の現在(90年頃の話)から、李承晩独裁政権末期59年ごろの小学校時代を回想する。ソウルから田舎の小学校に転校をしたビョンテ少年が、脅しと策謀でクラスを取り仕切り教師も欺くソクテ少年...

本ではなくてビデオで。小説の映画化でもきっと上出来の方だと思う。民主化はしたものの…というダルい世相の現在(90年頃の話)から、李承晩独裁政権末期59年ごろの小学校時代を回想する。ソウルから田舎の小学校に転校をしたビョンテ少年が、脅しと策謀でクラスを取り仕切り教師も欺くソクテ少年に抵抗を試みるが無駄に傷つくだけに終わり、変節していくときの表情が上手。30年ぶりに担任の葬儀に集まったクラスメートが「こういう時代こそソクテみたいなのが求められているのかも」とかなんとか言っているのが印象的。両極化が著しく保守傾向が強かった民主化後の政治への不満を打開するために韓国で一人のカリスマを待望する傾向があるとは一部、危機感をもって指摘されてきたけれど、その通りだったと言えば言える。李文烈氏も優れた先見の感覚があるんじゃないのかな。小説を読んでみようと思った。ちょうど日本で言ったら団塊の世代が主人公や同窓生になっているので、韓国はこうなんだーというのも垣間見れて面白い。当時の小学生が思いつく悪事が替え玉試験とか鉛筆を取り上げるとか、トイレを覗くという程度なのも(でも本人たちには重大事件)全体的に暗い映画だけど微笑ましい。http://www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/pakchonwon%20warerano.html クラスメートの名前まで全部出てる。えらい。

Posted byブクログ