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母権制(上巻) の商品レビュー

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2014/01/30

バハオーフェンさんは古代に女性が支配した歴史的事実があったと主張しているのだけれども、もちろんそんなことは証明できないわけである。バハオーフェンさんご本人もそう書かれている。ただ、その卓越した洞察力で、母権制と名付けられた女性が支配する原理というものを考えだして、古代のヨーロッパ...

バハオーフェンさんは古代に女性が支配した歴史的事実があったと主張しているのだけれども、もちろんそんなことは証明できないわけである。バハオーフェンさんご本人もそう書かれている。ただ、その卓越した洞察力で、母権制と名付けられた女性が支配する原理というものを考えだして、古代のヨーロッパ社会を理解するための理論が提出されたのには間違いない。確かにこの理論に従えば、意味がよくわからなかった様々な神話が次々に説明できてつながっていくのである。 科学の理論とは違うので反証可能性というものはないのだけれど、バハオーフェンさんの理論を頭から否定しちゃ、やっぱりいけないような気がする。たしかに読んでいて「こじつけ」っぽいところがあるような気はそこここにするのではあるが、わたしには根拠をあげて吟味することのできるような教養がないのでそのまま保留して読み進むしかない。そうこうしているうちになんだかいろいろつながっていくのである。まぁ…無知だから騙されているのかもしれないが、悩ましい男女関係がそれなりに整理されていく。ただし、けっこう心の奥底を抉るような展開なので身体には堪える。 人は何かを信じなければ生きられない。昔の人は昔の人が信じたいように何かを信じていたに違いない。今だって人それぞれ好き勝手にいろんなものを信じている。人々の行動は信じるものによって変わる。そういう意味で歴史的事実はその時代の宗教を理解しないと再構築できないという主張は正当だと思うし、よく根気強く成し遂げられたと思う。尊敬する。 Mahalo

Posted byブクログ