「自分」と「他人」をどうみるか の商品レビュー
デカルト・カント的独我論を否定し、ヘーゲルの承認論を媒介としてフッサールの間主観性からメルロポンティへの身体論(受肉せる主観)へと展開する事により、他我論を肯定するという論旨展開。著者がメルロポンティの研究者という事もありこういうオチになるのは仕方のない事であるし、説得力もある。...
デカルト・カント的独我論を否定し、ヘーゲルの承認論を媒介としてフッサールの間主観性からメルロポンティへの身体論(受肉せる主観)へと展開する事により、他我論を肯定するという論旨展開。著者がメルロポンティの研究者という事もありこういうオチになるのは仕方のない事であるし、説得力もある。 結局のところ理性と倫理の関係性の問題であるように思えるのだが、哲学的に面白いのはやはり独我論であるように思える(そこに分析哲学であるウィトゲンシュタイン等がどう絡んでくるのかの整理は必要だが)。ただし、現実的には他我論も必要なので社会哲学や政治哲学や公共哲学の領域での探究は必要に思う。これも大衆社会の到来故だろうが、本書は30年前の出版であり、昨今のネット社会の到来により承認論や他我論の再構築も必要に思える。
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