修身 教授録 の商品レビュー
哲学者・森信三先生の授業風景
本書は、旧師範学校教師で、哲学者としても著名な森信三先生の授業風景を物した書。解説によれば、授業風景を記録していた生徒の手記から起稿した書という。 総ページ数500超の大部の本になるので、繙くのにかなりの勇気がいることだろう。 しかしながら、忘れ難い風韻を抱かせる名著である。
聖熟女☆ミ
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
第1部 7志学 人生の意義とは、たとえて申せば、ここに一本のローソクがあるとして、そのローソクを燃やし尽くすこと 半分を燃やしただけで、残りの燃えさしをそのままにしておいたんでは、ローソクを作った意味に叶わない すべてローソクを燃やし尽くすことによって、初めてその作られた意味も果たせる 9読書 読書は心の「食物」 偉大な先人たちの歩んだ足跡をたどって、その苦心の跡を探ってみること以外に、その道のないこと 「一日読まざれば一日衰える」 18人を植える道 教育とは、結局人間を植えることであり、この現実の大野に、一人びとりの人間を植え込んでいく大行 33ペスタロッチー断片 「ねえ賢いよい子になろうとは思わないかね」 ペスタロッチーという人から離れない間は、諸君らの教育に対する情熱は失われないと言ってよい 第2部 3敬について バケツに汚い水を入れたままでは、決して新しい水は入らない 古い水を捨て去って、初めてそこに新たな水を満たすことができる 尊敬の念を持たないという人は、小さな貧弱な自分を、現状のままに化石化する人間 敬の一念を起こすに至って、初めてその生命は進展の一歩を踏み出すと言ってよい 36一日の意味 一日の予定を完了しないで、明日に残して寝るということは、畢竟人生の最後においても、多くの思いを残して死ぬということ そういうことを一生続けていたんでは、真の大往生はできない 学んだことを実行してこそ人間的な成長が得られる。
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心構えの本であった。 一つ一つの所作が大切。 黒板をきれいにする階段をシャント登る 1人の人間の魂を目覚めさせると言う事は、実に至難中の至難ごと 単に受け身の状態で生じた感激と言うものは、決して長続きしないもの 人を知る標準としては、いかなる人を師匠としているか、いかなるこ...
心構えの本であった。 一つ一つの所作が大切。 黒板をきれいにする階段をシャント登る 1人の人間の魂を目覚めさせると言う事は、実に至難中の至難ごと 単に受け身の状態で生じた感激と言うものは、決して長続きしないもの 人を知る標準としては、いかなる人を師匠としているか、いかなること思って自分の一生の目標としているか 第三には今日までいかなることをしてきたか、第4には愛読書第五が友人 実際、我々の人間生活といっても、それを体感する時、結局は話す事と行うことと言う2つの事以外は何一つないと言っても良い そもそも、人間と言うものは、情熱を失わない間だけが、心に生きていると言って良いのです 人間の性格上の問題としては、自分の欠点を反省して、これを覗くという努力が、実はそのまま長所を伸ばすと言うことになるわけです
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読みながらまるで板書してくれた学生と一緒に授業を受けているような感覚になる。 言葉はわかりやすく解説してくれているうえに、内容はおそろしく人生を生きる上で 大切なこと、つまずきやすいところ、気をつけなければいけないことを示してくれている。 自分自身が指摘されているようで身につ...
読みながらまるで板書してくれた学生と一緒に授業を受けているような感覚になる。 言葉はわかりやすく解説してくれているうえに、内容はおそろしく人生を生きる上で 大切なこと、つまずきやすいところ、気をつけなければいけないことを示してくれている。 自分自身が指摘されているようで身につまされることもしばしばある。 いかに日々、良い種を蒔き続けられるか、良い花か、悪い花かはすべて自分次第であってそれが分かり始めるのが40をすぎたころからおぼろげに気づき始めた。 この本を40後半で出会えて本当に良かった、アンダーラインを引いた箇所だけ書き出してみたがそこだけ読んだだけで身が引き締まる思いです。 一講座は10分程度で読めるし、項目がわかりやすいので気になった箇所だけ読み返すのが良いと思う。 全体を読むにはなかなか大変ですがそれだけの価値は十二分にある (2年分の中身の濃い授業を受けるのと同義)
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戦前に大阪天王寺師範学校で教鞭を執り「国民教育の師父」と謳われた哲学者・森信三氏の講義録。氏の後継者育成に賭ける覚悟、端的に本質を突く金言の数々、志に生きるとは何たるかを時代と空間を超えて学ぶことができる。本書の内容は若人より中年になったほうが身につまされる思いで響くであろう。む...
戦前に大阪天王寺師範学校で教鞭を執り「国民教育の師父」と謳われた哲学者・森信三氏の講義録。氏の後継者育成に賭ける覚悟、端的に本質を突く金言の数々、志に生きるとは何たるかを時代と空間を超えて学ぶことができる。本書の内容は若人より中年になったほうが身につまされる思いで響くであろう。むしろ若人は残念ながら氏の言葉の思いや価値に気付くことは難しいかもしれない。しかし、ほんの一握りの琴線を響かせた若者が国を引っ張る傑出たる豪傑になるのかもしれない。これほど優れた思想家が旧満州の建国大学に召集され、国家としては太平洋戦争に突入していったことは誠に遺憾。まさに老若男女問わない教育の大切さを痛感する。
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ずっと手元にあったものの、500ページを超えるボリュームのため、途中で中断を繰り返してきた。正月休みも利用して、このたび一気に読了。 80年以上前の話にもかかわらず、今にも十分通用する内容ばかり。普遍の真理とは、こういうことを言うのだろう。 しかも、高尚・抽象的な表現ではなく、平...
ずっと手元にあったものの、500ページを超えるボリュームのため、途中で中断を繰り返してきた。正月休みも利用して、このたび一気に読了。 80年以上前の話にもかかわらず、今にも十分通用する内容ばかり。普遍の真理とは、こういうことを言うのだろう。 しかも、高尚・抽象的な表現ではなく、平易なことばで、すっと入ってくる。 中には耳が痛いような内容もあり、自身の生き方や意識を猛省させられる。 今更ではあるが、せめて学生時代〜20代前半に出会いたかった本。 本書の続編も出版されたので、そちらも続けて読んでみたい。
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2022.08.21 コロナに罹患した自宅療養期間にずっと積読していた本書を手に取る。 本書は2年間の授業の記録が書かれている。1年目は、著者の授業に慣れるのに精一杯であまり頭に残らない部分も多いのだが、2年目の授業を読むと、スラスラと頭に入る、入る。2年間の授業を収めた理由が...
2022.08.21 コロナに罹患した自宅療養期間にずっと積読していた本書を手に取る。 本書は2年間の授業の記録が書かれている。1年目は、著者の授業に慣れるのに精一杯であまり頭に残らない部分も多いのだが、2年目の授業を読むと、スラスラと頭に入る、入る。2年間の授業を収めた理由がよく分かった。
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少しずつ読み進め、一次試験が終わったので一気に読み切りました。 教壇に立つ前にこの本に出合えてよかったと思いました。 教師として、人間としてその身を修めるために人や書物に触れることがいかに大切かと言うことを改めて実感しました。 多くのページに線を引きながら読みましたが、特に印...
少しずつ読み進め、一次試験が終わったので一気に読み切りました。 教壇に立つ前にこの本に出合えてよかったと思いました。 教師として、人間としてその身を修めるために人や書物に触れることがいかに大切かと言うことを改めて実感しました。 多くのページに線を引きながら読みましたが、特に印象に残っている言葉としては、 「真の教育者は、少なくとも二十年、三十年先の国家のことを、常に眼中に思い浮かべていなくてはならぬとも言えます。」 「明治維新以降国民教育の制度が完備するに至って以来、かえって私たちは国民教育者として、身をもって道を切り開いた一人の巨人あるをしらないのであります。」 戦前、大阪の師範学校で修身を担当した著者ですが、目からうろこ、これまで身をもって感じていたことが「言葉」となってスッと入ってきました。 優れた人間はたくさんいますが、明治以降、全ての人が「あの先生は素晴らしい、ぜひ教わりたい」という人は確かにいないと思いました。 私の目標が1つ加わりました。それに向けて本を読み、人と会い、経験をし、子どもを育てられる。近い将来に対する高揚感が今からとまりません。
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1 学年始めの挨拶:天命、好悪の感情を交えない 2 人間と生まれて:真の意義の自覚、人生に感謝 3 生をこの国土にうけて 4 生を教育に求めて 5 教育者の道:教師自身が学び続ける 6 人生の始終:40までは修業時代 7 志学 8 学問・修養の目標 9 読書:心の食物 10 尚友...
1 学年始めの挨拶:天命、好悪の感情を交えない 2 人間と生まれて:真の意義の自覚、人生に感謝 3 生をこの国土にうけて 4 生を教育に求めて 5 教育者の道:教師自身が学び続ける 6 人生の始終:40までは修業時代 7 志学 8 学問・修養の目標 9 読書:心の食物 10 尚友:人を知る標準 11 人と禽獣と異なるゆえん 12 捨欲即大欲:天下の人々の欲を思いやる 13 使命の道 14 真実の生活 15 諸君らの将来 16 一道をひらく者(Ⅰ) 17 一道をひらく者(Ⅱ) 18 人を植える道 19 松陰先生の片鱗:真の偉人は叱ったりせず、自ら 服する 20 雑話 21 血・育ち・教え 22 鍛錬道(Ⅰ) 23 鍛錬道(Ⅱ) 24 性欲の問題 25 質問 26 仕事の処理:自分の修養の第一義 とにかく手をつける、一気呵成にやる 27 成形の功徳 28 一人一研究 29 対話について:なるべく聞き役に回る 30 謙遜と卑屈:人は自ら信ずるところがあってこそ、初めて真に謙遜になる 31 上位者に対する心得 32 目下の人に対する心得 33 ペスタロッチー断片 34 国民教育の眼目 35 為政への関心 36 誠 37 死生の問題 38 小学教師の理想 39 教育の窮極 40 わかれの言葉 1 挨拶:人生の真の出発は、志を立てることによって始まる 2 立志 3 人生二度なし 4 生命の愛惜 5 一つの目標 6 意地と凝り性 7 大志を抱け 8 気品:慎独 9 情熱 10 三十年 11 長所と短所 知識と技能→長所を伸ばす、内面的な問題→欠点を矯正 12 偉人のいろいろ 13 伝記を読む時期:35~40前後 14 人生の深さ 15 一時一事:自分が現在なさなければならぬ事以外のことは、すべてこれを振り捨てる 16 良寛戒語 17 質問 18 忍耐 19 自修の人 20 老木の実 21 故人に尽くす一つの途 22 下坐行:自分を人よりも一段と低い位置に身を置く 23 卒業後の指導 24 出処進退 25 最善観 26 二種の苦労人 27 世の中は正直 28 平常心是道:なるべく寒いと言わない 高僧と凡僧の別は、座禅を解いてからの言動でわかる 29 人生は妙味津々 30 試験について 31 真面目:真の面目 32 教育と礼 33 敬について 34 ねばり:仕事を完成させるための秘訣 35 批評的態度というもの 36 一日の意味:人間は毎日逆境に処する際の心構えをしなくてはいけない もしその日の予定がその日のうちに果たせなかったら、「自分の一生もまたかくの如し」と思うべき。 37 ペスタロッチー 38 置土産 39 わかれの言葉
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教育者のみならず現代のビジネスマンやマネージャーにも通づる名著。 ・人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬ。 ・結局最後は「世のため人のために」という所がなくては、真の意味で志とは言いがたい。 ・教場以外の生活は読書と実行と言ってよい。そのうち実行はとくに大事です。 ...
教育者のみならず現代のビジネスマンやマネージャーにも通づる名著。 ・人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬ。 ・結局最後は「世のため人のために」という所がなくては、真の意味で志とは言いがたい。 ・教場以外の生活は読書と実行と言ってよい。そのうち実行はとくに大事です。 日々良書の読書と実行を重ね、森先生の言わんとすることを噛みしめながらいつかまた読みたい。
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