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名訳と誤訳 の商品レビュー

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2013/06/15

筆者は英米小説を主戦場とする翻訳家。本書に取り上げられている“名訳と誤訳”も、すべてが英和・和英の訳である。 本書は3+1章構成で、前半3章は筆者の専門である英和訳について、その心構え・名訳の森・誤訳の森、という章立てである。 心構えの部分は興味深く、名訳の森では読んでみたい...

筆者は英米小説を主戦場とする翻訳家。本書に取り上げられている“名訳と誤訳”も、すべてが英和・和英の訳である。 本書は3+1章構成で、前半3章は筆者の専門である英和訳について、その心構え・名訳の森・誤訳の森、という章立てである。 心構えの部分は興味深く、名訳の森では読んでみたい訳書が増えたので、この部分だけでも読む価値はあると思う。 しかし誤訳の森、での誤訳・悪訳の指摘において、その訳者の人格批判のような内容のあった点は少々“引いた”。 当該の指摘が的を射ているだけにこの点は悔やまれる。 最後の+1章、であるが、この部分は、従来英米人によってなされることの多かった、和英訳についての筆者の意見を中心としている。 英語による俳句(訳・創作)についても触れられているが、個人的にはこれについて、もう少し踏み込んだ論考をするか、参考文献を示して欲しかった。

Posted byブクログ