お父さん、戦争のとき何していたの の商品レビュー
元ナチスの家庭に生まれ育った子どもたちにインタビューした本。子どもたちといっても、彼らもはや中年にさしかかる世代なのだが。 そういう人ばかりを選んだのか、実際そうなのかははっきりしないが、自分が元ナチスだったことを悔い、子どもたちに自分の誤りを教えた親はひとりも出てこない。沈黙す...
元ナチスの家庭に生まれ育った子どもたちにインタビューした本。子どもたちといっても、彼らもはや中年にさしかかる世代なのだが。 そういう人ばかりを選んだのか、実際そうなのかははっきりしないが、自分が元ナチスだったことを悔い、子どもたちに自分の誤りを教えた親はひとりも出てこない。沈黙するのでなければ、むしろ当時を懐かしんだり、家庭で暴君として振る舞ったり。子どもたちはそんな親を見て、親の味方をするか、対立するか、どちらかしか選べない。「せめて一言でも、自分の過ちから学べと言ってくれたら許せたのに」という子供の一言が悲しい。 ただ、ちょっと納得行かないのは書き手のスタンス。著者は同年代のユダヤ人で、結果として「犯罪者の子供に被害者の子供がインタビューする」という図式になっている。親は選べない。ナチス時代に生まれてもいなかった子どもたちに罪はない。著者本人にそういう意図はなかったのかもしれないが、これはちょっとひどいし、ユダヤ人を差別したドイツ人と本質的には変らないのではないかとも思った。
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