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裁判官の戦後史 の商品レビュー

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2021/01/16

裁判官として長年要職を務められた著者ですが、権威やプライドの高さを感じさせない親しみやすい文章で、読む方も力を抜いて読めます。失敗談や言いにくいことも、包み隠さずありのままを語ってくださっているように思います。 法曹関係者でないと付いていくのが難しいかもしれませんが、法曹関係者...

裁判官として長年要職を務められた著者ですが、権威やプライドの高さを感じさせない親しみやすい文章で、読む方も力を抜いて読めます。失敗談や言いにくいことも、包み隠さずありのままを語ってくださっているように思います。 法曹関係者でないと付いていくのが難しいかもしれませんが、法曹関係者であれば、自分の経験と比べたりしてかなり楽しめると思います。 特に修習生パートについては、自分が経験した修習の頃と比べながら読むとすごく興味深いと思います。70年ほど前の話なので、全然違うかと思いきや、今の修習でも見られる光景や悩みがあったりしてとても面白いです。 それにしても、何十年も昔のことを昨日のことのように語られるその記憶力には驚かされます。

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2014/06/02

「なにか疚しい気持をもつ法律家こそが良い法律家なのだ」法服を脱いだ司法界の異才が、素顔の裁判官たちを、人間味あふれる筆致で活写する、私的法曹史。(1987年刊) ・はしがき Ⅰ司法部へ辿りつくまで  1 我妻先生宅訪問  2 鉄道隊時代  3 法律相談所時代  4 国会図書館時...

「なにか疚しい気持をもつ法律家こそが良い法律家なのだ」法服を脱いだ司法界の異才が、素顔の裁判官たちを、人間味あふれる筆致で活写する、私的法曹史。(1987年刊) ・はしがき Ⅰ司法部へ辿りつくまで  1 我妻先生宅訪問  2 鉄道隊時代  3 法律相談所時代  4 国会図書館時代 Ⅱ司法修習生として  5 司研三期生  6 教官群像  7 判例研究会  8 列車試乗  9 教養科目 10 特別講演 11 刑事裁判修習 12 検察修習 13 弁護士会修習 14 民事裁判修習 15 2回試験 16 裁判官志望 17 任官まで 18 修習生生活補遺 Ⅲ 東京地裁判事補として 19 東京家裁での経験 20 民事六部に入る 21 近藤裁判長 22 和田さん 23 本の話など 24 西久保所長のこと 25 判事補生活 26 その頃の地裁民事部 27 友人・研究会 28 修習生指導官補佐 29 判事補という存在 30 判事保研修 31 父の臥床と転居 32 三鷹の官舎 33 民事六部後期 34 荒川さん、仁分さんの思い出 35 保全部に移る 36 思い出の事件 37 転任 著者は、東京帝国大学卒。学徒動員で出征した経験もある。戦後、復学し卒業後、国会図書館職員、司法修習を経て、裁判官に任官、32年余の法曹生活をおくる。本書では、学生時代から長野家地裁飯田支部へ転勤するまでを振り返っている。 戦中戦後という時代の雰囲気を感じることが出来るのが良い。著者は軍隊生活において初めて世間を知ったという。この件を読んでエリート層と庶民の断絶を感じた。(戦後生まれにはわからない部分であろう) 復学後の記事に、光クラブの社長が出てくるのにも驚く。学校の先輩方を訪ねるのも時代であろうか。 裁判官任官後のエピソードも赤裸々に書かれている。内幕ものというと往々にして自分の古巣を過剰に批判するものが多いが、本書では苦言を呈しつつも理性的な記述を行っている。各エピソードでは、職人の世界の知性を感じられて良かった。読みやすいとは言えないが、興味深い内容でした。

Posted byブクログ