女には向かない職業 の商品レビュー
可憐な女探偵・コーデリアのひたむきな活躍 読了日:2007.08.11 分 類:長編 ページ:322P 価 格:560円 発行日:1987年9月発行 出版社:ハヤカワ・ミステリ文庫 評 定:★★+ ●作品データ● ---------------------------- 主...
可憐な女探偵・コーデリアのひたむきな活躍 読了日:2007.08.11 分 類:長編 ページ:322P 価 格:560円 発行日:1987年9月発行 出版社:ハヤカワ・ミステリ文庫 評 定:★★+ ●作品データ● ---------------------------- 主人公 : コーデリア・グレイ 語り口 : 3人称 ジャンル: ミステリ 対 象 : 一般向け 雰囲気 : やや古典風 結 末 : ハッピーでもバッドでもない 翻 訳 : 小泉 喜美子 解 説 : 瀬戸川 猛資 カバーデザイン:菊池 信義 --------------------------- ---【100字紹介】------------------- 探偵稼業は女には向かない。 ましてや22歳の世間知らずな娘には。 だがコーデリア・グレイの決意は固く、 自殺した共同経営者の為、一人で探偵事務所を続けることに。 可憐な女探偵へ最初の依頼、ひたむきな活躍を描く -------------------------------------- --オリジナル・データ------------------- An Unsuitable Job for a Woman by P. D. James © 1972 by P. D. James --------------------------------------- コーデリア・グレイ。女探偵と言えば?と訊かれて、菜の花が彼女を思い浮かべてしまうのは、恥ずかしながら漫画「名探偵コナン」の影響です(苦笑)。裏見返しの名探偵名鑑で出てきたんですよね、彼女。しかも主要キャラの一人・灰原哀の名前の由来のひとつでもあります。 そんなコーデリア・グレイを初読みでした。 元々、"元・首都警察犯罪捜査部所属"のバーニイ・プライドと私立探偵事務所を経営していたコーデリア。しかし、冒頭からいきなり、このバーニイが自殺。妙に冷静なコーデリアですが、彼女なりに思うところがあったらしく、バーニイが残す、と書き残したもの…、家や車、そしてこの事務所を継ぐことにするのです。周囲から、私立探偵なんて「女には向かない職業」と言われながら…。 バーニイの葬儀から戻ってきたところを早速、依頼人が。これは「過去からの贈り物」の依頼でした。依頼人は有名科学者。ケンブリッジ大学を辞め、自ら命を絶った息子の自殺の理由を調べてくれというもの。依頼人の周りには、何やら胡散臭い感じの研究助手や、秘書のような女性。更に、ケンブリッジ大学の学友たちが、これに輪をかけて怪しい。何でこんな怪しい奴しかいないんだ!くらい怪しい…。 そんな中を、怖い思いもしながら、一生懸命な捜査をするコーデリア。多くのイギリス人にとっては、「コーデリア」という名前はそもそも、シェークスピアの「リア王」の末姫が思い浮かぶそうではっきり「姫君」のイメージらしいのですが(解説より)、確かに本作でコーデリアはただひたむきに頑張ります。頑張りますが…、結構、踏んだり蹴ったりかも。尾行されているわ、仮滞在の寝床を荒らされるわ、夜中に後ろから襲われて気絶させられるわ、その上で古井戸に突き落とされて蓋までされて殺されかけるわ、それはちょっと…なことを手伝わされるわ(自ら提案したわけですが)…。「女には向かない職業…」と言われ続けつつのこの苦労。「リア王」ばりの悲劇キャラかも? 内容、展開としてはマニア向けかな。まあ、ありがちといえばありがちかもしれませんが、そこはそれ、1972年の作品ですから。この当時でこの作品は、驚きをもって迎え入れられたかも。 翻訳ものの短所として、やや文章がかたくて読みづらいのが難点。 最後のダルグリッシュ警視とのやり取りでは、ちょっとした「イメージ」のどんでん返しがあるかも。 作品の位置づけとしてはこの「ダルグリッシュ警視」のシリーズの番外編になるようです。 --------------------------------- 文章・描写 :★★ 展開・結末 :★★★ キャラクタ :★★★ 独 自 性 :★★★ 読 後 感 :★★+ --------------------------------- 菜の花の一押しキャラ…コーデリア・グレイ 「そのとき、なんと言ったのですか?」 「『さっさと行かないと、殺すわよ』」 (アダム・ダルグリッシュ、コーデリア・グレイ) …こわ!コーデリア、こわっ!
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―探偵稼業は女には向かない。ましてや、22歳の世間知らずの娘には。 この本のカバーは全体的に好きです。 コーデリアに人形のような印象を持ちました。 丁寧に描かれていたのはむしろ、バーニイだったりダルグリッシュだったと思います。 訳し直したいな、と思ってしまった、身の程知らず...
―探偵稼業は女には向かない。ましてや、22歳の世間知らずの娘には。 この本のカバーは全体的に好きです。 コーデリアに人形のような印象を持ちました。 丁寧に描かれていたのはむしろ、バーニイだったりダルグリッシュだったと思います。 訳し直したいな、と思ってしまった、身の程知らず。
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あらすじ 探偵家業は女に向かない、ましてや22歳の世間知らずの娘には。 人々は口々にそう言ったが、彼女の決意は固かった 自殺した共同経営者のために、一人で探偵事務所を決意しようとするコーデリア そんなコーデリアの元に、高名な科学者の一人息子の自殺の真相を探る依頼が舞い込む...
あらすじ 探偵家業は女に向かない、ましてや22歳の世間知らずの娘には。 人々は口々にそう言ったが、彼女の決意は固かった 自殺した共同経営者のために、一人で探偵事務所を決意しようとするコーデリア そんなコーデリアの元に、高名な科学者の一人息子の自殺の真相を探る依頼が舞い込む 早速調査に向かうコーデリアの前に浮かび上がる、意外な事実… ミステリファンの間ではとても有名な作品なのだが、私は今の今までどうも心が動かなかった 元々、女性が主人公のミステリが好きではないのが理由 特に、男勝りと言う名のでしゃばりなタイプの女性ね それに恋愛が絡むともうヘドが出るって感じ この作品の主人公であるコーデリアは、そんなタイプではないのはわかっていたのだけれど、どうしても読む気になれなかった それから子供が産まれて成人しちゃうぐらいの時が流れた今、ようやく読む気が起きました 長かったねぇ… 感想から言うと、とても面白かったです 当時の私に、早く読んどけよ馬鹿って言いたい 若く冷静で賢くでしゃばらず、それでいて勇気があって気品もあって… 瀬戸川猛資さんが、「塔の中の姫君」と絶賛するわけだよなぁ 主人公はコーデリアだけれども、確かにこれは正統なダルグリッシュシリーズで間違いない 間接的なダルグリッシュの弟子がコーデリア、読み進めるうちに納得 そしてラストの師弟(?)対決 私はミステリで胸がじんときたのは、おそらく初めてだ このラストを読んで、この作品の主人公が女性である必要性を感じた コーデリア最高 印象に残った台詞 それに、若いということはときにはおそろしいことですわ。 どんなにおそろしいことがあるか、おぼえがおありでしょう? コーデリアと同じ歳だった頃の自分だったら、おそらくこの言葉の意味を分かりはしなかっただろうから
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コーデリア・グレイは駆け出しの私立探偵。共同経営者がある朝オフィスで自殺し、持ち込まれた事件を自分一人で対処することになる。はじめての依頼は高名な微生物学者からのもので、息子の自殺の動機を調べること。亡きパートナーの教えを頼りに調査を始めたが、不審な事実が次第に明らかになり…。登場人物表の2番目に書かれている人(おそらく重要人物)が、いきなり1ページ目から亡きものとなってるところに思わずうなった。うーん、つかみが巧い。ケンブリッジを舞台とした事細かな描写…キングズ・カレッジ・チャペル、書店、ポークパイ、ケム河でのパンティング、自転車向きの田舎道…なども個人的にツボ♪主人公コーデリアは若さあふれる真面目さと冷静さを持つ、度胸の据わった22歳の女性。話し方がすっきりしていて好感が持てる(訳がいいのかも)。初めての事件は手探り状態ながらも、自分の判断と教えを信じて、着々と調査を進める姿がすがすがしい。でも、さすがに自殺した青年の住んでいたコテージ(首吊りの遺体があった部屋)に住み始めたときには、おいおいやめときな!っと突っ込みを入れたくなってしまった。すごい度胸。こんなところも「女には向かない職業」って絶妙なタイトル。暗闇に首つり枕を仕掛けられて何者かに警告を受けたり、井戸に放り込まれて傷だらけになりながらレンガを這い上ったり、車で追いかけたりというハードな探偵っぷりを発揮する側面ももちろん楽しい。だが、コーデリアがかつて進学をあきらめたケンブリッジに奇妙な巡り合わせでとうとうやってきた!という束の間の感激を現す場面や、事件後パートナーの上司だった警視に対して冷静沈着さの糸が切れ、感情のまま抗議をぶちまけた場面にこそ、心を動かされる面白さがある。(ちなみにこの警視は別シリーズの名探偵役)。いい読書時間を過ごせる傑作だ。
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女探偵コーデリア・グレイの登場する作品である。 アメリカ的なサスペンスとしては、標準的ではないだろうかと思う。 特筆すべき点は、やはり探偵が女性、それもクリスティのミス・マープルのような老婆ではなく、いかにも女性としての性質を前面に出さざるを得なくなる若い女性という点である。 ...
女探偵コーデリア・グレイの登場する作品である。 アメリカ的なサスペンスとしては、標準的ではないだろうかと思う。 特筆すべき点は、やはり探偵が女性、それもクリスティのミス・マープルのような老婆ではなく、いかにも女性としての性質を前面に出さざるを得なくなる若い女性という点である。 コーデリアの上司は冒頭で拳銃自殺を図り、その後コーデリアが事務所を引き継ぐ。自殺した上司自身はあまり優秀ではなかったために刑事を辞めたのであるが、犯罪捜査に熱心だった。そして死亡する前に、頭脳明晰なコーデリアに捜査のイロハなどを教え込んでいた。その教えられた知識や技術を元に、コーデリアは初めての依頼を調べていく・・・。 『女には向かない職業』というとおり、コーデリアは探偵という職業を明らかにするだけで違和感を持たれ、しかも劇中で、ある人物によって古井戸に放り込まれ、殺されかける目にも遭う。 女性を探偵にするということについて、著者自身どこまで女性らしさを出すのか、悩んでいたのではないかと思われるシーンが多い。ホームズを初めとする超人的な探偵像は男性的イメージだからということなのであろうが・・・今ひとつ、おすすめしきれない部分が残る作品である。 なお、コーデリア・グレイは、名探偵コナンに登場する『灰原哀』の灰という名字の由来となっている。 そしておそらくは、灰原哀=宮野志保について、容姿や性格を設定するにつき、コーデリア・グレイを参考にしたのではないかと思われる。
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前半の読みにくさ。遅々として進まないストーリー。 わざと難解にしてるとしか思えない句読点の少なさ。 それらもすべてラストの主人公の独白ですべて覆る! 最後まで、必ず最後まで読んでほしい作品。
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意外におもしろかったです。ハードボイルドではないと思ったのに、結構コーデリアは探偵に向いています。彼女の出てくる「皮膚の下の頭蓋骨」はもちろん、アダム・ダルグリッシュ警視ものも読みたくなりました。
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中学生の頃に読んで以来、何回か読み返す一冊。 トリックが斬新なわけでもなく、話の展開もやや重く、厚ぼったい。 PDジェイムズの本は慣れるまで時間がいる。 それでもこの本を何度も読んでしまうのは、探偵コーデリア=グレイの、一人で生き抜く必死な生き様が自分を奮い立たせ、かつ切なくさせ...
中学生の頃に読んで以来、何回か読み返す一冊。 トリックが斬新なわけでもなく、話の展開もやや重く、厚ぼったい。 PDジェイムズの本は慣れるまで時間がいる。 それでもこの本を何度も読んでしまうのは、探偵コーデリア=グレイの、一人で生き抜く必死な生き様が自分を奮い立たせ、かつ切なくさせるからかもしれない。 ミステリにはまるきっかけとなった一冊。
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なんだか翻訳のたどたどしさが気にかかって読み進められません。よって、ペンディング。【古060910/】
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いわゆる「本格」で「古典」で難しいんだろうと思い込んで読んでいなかったんだけど、読んでみたらば、すごくおもしろくてびっくり。べつに難しくないし、ちっとも古めかしくない! 慣れないながらもあちこち聞き込みに行ったり調べたり、あげくに死にそうな目にあったりっていう、ヴィクやキンジーと...
いわゆる「本格」で「古典」で難しいんだろうと思い込んで読んでいなかったんだけど、読んでみたらば、すごくおもしろくてびっくり。べつに難しくないし、ちっとも古めかしくない! 慣れないながらもあちこち聞き込みに行ったり調べたり、あげくに死にそうな目にあったりっていう、ヴィクやキンジーといった現代の女性探偵のまさに原型!って感じ。主人公の生い立ちや心理描写も細かくて、同じ主人公の「皮膚の下の頭蓋骨」も読みたいと思った。
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