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女には向かない職業 の商品レビュー

3.7

52件のお客様レビュー

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2022/12/07

主人公は師を亡くしたばかりの若き探偵コーデリア・グレイ。推理小説ではあるが文学作品としても味わい深かった。師であるバーニイの名誉を守るため、ひたむきに調査を進めるコーデリアの姿が胸を打つ。強い師弟愛を感じる物語。 作者は捜査の過程を丁寧に綴る。ひとつひとつの情景に愛を込めて。な...

主人公は師を亡くしたばかりの若き探偵コーデリア・グレイ。推理小説ではあるが文学作品としても味わい深かった。師であるバーニイの名誉を守るため、ひたむきに調査を進めるコーデリアの姿が胸を打つ。強い師弟愛を感じる物語。 作者は捜査の過程を丁寧に綴る。ひとつひとつの情景に愛を込めて。なぜならこの捜査はコーデリアにとって師への弔いであり、彼の名誉を守る行為でもあるからだ。淡く愁傷を帯び、エンタメ性も備えた上品な作品です。 ちなみに本作の主人公、コーデリア・グレイは『名探偵コナン』灰原哀の名前の由来になっています。

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2022/08/12

読み初めはなかなかページが進まなかったが、途中から徐々に引き込まれていった。昭和49年(1974年)の翻訳であるため、読みにくさは多少あるものの、逆にこの淡々とした冷静な筆致が心地よくなってくる。 主人公は探偵として経験も資格もない22歳の女性コーデリア・グレイ。癌を苦に自殺し...

読み初めはなかなかページが進まなかったが、途中から徐々に引き込まれていった。昭和49年(1974年)の翻訳であるため、読みにくさは多少あるものの、逆にこの淡々とした冷静な筆致が心地よくなってくる。 主人公は探偵として経験も資格もない22歳の女性コーデリア・グレイ。癌を苦に自殺したパートナーのバーニイ・プライドから探偵事務所を引き継ぎ、その最初の依頼がある科学者の息子の自殺の原因を調べて欲しいという調査。そこからコーデリアによる素人なりの一直線の捜査が進むにつれて様々な人と繋がっていき、いつのまにか本人も狙われ巻き込まれていく。そこが面白い。 コーデリアはパートナーだったバーニイが尊敬していたダルグリッシュ警視の捜査法を伝え聞いたままに用いていくが、その実直な捜査の過程が面白い。そしてラストも秀逸。ポケミスにて読了。

Posted byブクログ

2022/07/17

22歳のコーデリアはパートナーが突然自殺し探偵事務所を引き継ぐこととなる。 ミステリーとしてはありきたりな内容だが、これが30年以上前に書かれた作品と思うと感慨深い。

Posted byブクログ

2021/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。 本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。 ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易に展開の面白さを追求しているというよりも、落ち着いた文学的な教養のある小説の要素も強いように感じた。 おそらく一般的に、本書はミステリーとしての評価もさることながら、コーデリア・グレイという若い女性がたった一人で探偵としての最初の仕事をひたむきにこなしていく姿を描いていることに、より着目されて語られることが多いのではないか。 そして確かに、率直に言って、コーデリアが悲運な状況にもめげずに、探偵という仕事を一人でこなそうと立ち向かっていく様子に好感を持った。一種の仕事小説のようにも読める。青山先生の灰原哀のイメージももしかしたらまさにコーデリアから取られている面もあるのではないかとも思った。 ただ、コーデリアの魅力だけではなく、謎が明らかになる過程や、密かに持った銃で犯人側と渡り合ったり、何とか窮地を脱出したりする場面など、細部も含めてスリリングで飽きさせない作品であると思った。 また、意外であったのは、一応の真相がすべてわかってから、コーデリアが亡きパートナーの仇とも言える警視と相対するまでの物語にも割と紙面が割かれていたこと。 こんなに魅力的な女性の探偵はなかなか出会えないように思った。ただ、残念に思ったのは、コーデリア・グレイのシリーズはたった2作しかないことである。そして第2長編も購入したので、いつか必ず読んでみたいと思う。

Posted byブクログ

2021/11/06

文章が読みにくいので途中で放置してしまうかと思ったのですが、時間をかけて味わいました。 同じくらいの厚さの場合、大体一冊読むのに3、4日くらいかけているのですが1週間かかってしまいました。 読み切らせる力のある本だなと、これが作者・翻訳者の実力ということなのでしょうか。 派手なア...

文章が読みにくいので途中で放置してしまうかと思ったのですが、時間をかけて味わいました。 同じくらいの厚さの場合、大体一冊読むのに3、4日くらいかけているのですが1週間かかってしまいました。 読み切らせる力のある本だなと、これが作者・翻訳者の実力ということなのでしょうか。 派手なアクションがあるわけでもなく、じっくりとコーデリアの調査内容や見たものを描いています。 コーデリアの目線に立ち私も調査している気持ちに。 最初の方は文章の問題もあり、時間がかかっていましたが後半にかけてストーリーが加速すると最後は一気に読み切りました。 最後については正直、想定してなかった着地。 その理由については、解説まで読んで納得でした。 https://jinseilog.com/anunsuitablejobforawoman/

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2021/09/10

学生の頃に自分で作ったランキングの上位にあるが内容を覚えてない本が意外と多い。これもその一冊だがまったくの初読のように楽しめた。まだ女性私立探偵が女性らしく描かれなかった時代に書かれた男社会の中で抗う22歳の私立探偵コーデリア。自殺した息子の動機を調べてくれと依頼される。この話は...

学生の頃に自分で作ったランキングの上位にあるが内容を覚えてない本が意外と多い。これもその一冊だがまったくの初読のように楽しめた。まだ女性私立探偵が女性らしく描かれなかった時代に書かれた男社会の中で抗う22歳の私立探偵コーデリア。自殺した息子の動機を調べてくれと依頼される。この話は二重構造になっていて、事件を解決するコーデリアの推理譚の一方で、自殺した元パートナーの元上司でラスト数ページで現れたダルグリッシュ警視が倒叙ミステリのようにコーデリアの秘密を追い詰めていく。だが決して敵対的ではない。ダルグリッシュはコーデリアに目を細める。若いコーデリアの成長と今後を期待させる、PDジェイムスらしからぬ面白さの傑作

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2020/11/30

ピーター・ロビンスンを読んだら女性作家の推理小説を読みたくなって読んでみた。「女には向かない職業」というのにも興味がわいた。 22歳のコーデリア、雇い主の探偵が自殺し事務所はコーデリアに譲るとの遺言。そこに21歳の息子の自殺の真相を知りたいとのその父よりの依頼。 文体が修飾が...

ピーター・ロビンスンを読んだら女性作家の推理小説を読みたくなって読んでみた。「女には向かない職業」というのにも興味がわいた。 22歳のコーデリア、雇い主の探偵が自殺し事務所はコーデリアに譲るとの遺言。そこに21歳の息子の自殺の真相を知りたいとのその父よりの依頼。 文体が修飾が多くてしばしば読み止まってしまう。が向こう見ずともいえるコーデリアの行動に目が離せない。 真相がこういうのありかなあとちょっと疑問。 瀬戸川猛資氏の解説がおもしろい。 どうして探偵が「女には向かない職業」で、小説でも女性探偵が少ないのか、という状況が生まれてしまう背景として、名探偵を主人公に据えたミステリが男性原理にのっとった小説だから、だとしている。男性ながらわかっている。 小説中、謎を追求すると危ない場所、汚い場面にでくわし、切ったり撃ったり、そういう行動をとらせるのは男性主人公こそがふさわしく、あえて女性主人公にやらせても、それは無理強いというものであり、”Unsuitable"不釣り合いな感じしか受けない。  男性主人公=ヒーロー=力のイメージ  女性主人公=ヒロイン=美のイメージ という物語の法則をひっくり返したところで、一部には受けるが広くは受け入れられない、という。 このコーデリアに関しては、ダルグリッシュ警視は事件の真相を知っていて、コーデリアの隠蔽をも見破っている、そして「(かつて部下だったコーデリアの雇い主の)葬式にもこなかったじゃないの」と、ここでヒーローのダルグリッシュの登場で、今までヒーロー役を演じてきたコーデリアが、可憐なヒロインへと変貌する、一種の心理的ドンデン返しがある、という。 1972発表 1987.9.15初版 1999.12.15第18刷

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2020/06/17

主人公は22歳の女探偵コーデリア。 ある日突然大学を辞め自殺した青年の父親からの依頼が舞い込んだ。 息子が自殺した理由を調べて欲しい、と。 ひたむきで健気、だけど時折見せる激しさが年相応で人格者じゃない未熟さが良い。 事件の謎を追いつつ、コーデリアの魅力に惹かれながら読む一冊。 ...

主人公は22歳の女探偵コーデリア。 ある日突然大学を辞め自殺した青年の父親からの依頼が舞い込んだ。 息子が自殺した理由を調べて欲しい、と。 ひたむきで健気、だけど時折見せる激しさが年相応で人格者じゃない未熟さが良い。 事件の謎を追いつつ、コーデリアの魅力に惹かれながら読む一冊。 あと、この結末は意外だった。

Posted byブクログ

2020/02/23

どんなに頑張っても報われないことがある。「負ける」ことはインナーチャイルドを癒していくためにすごく大事なこと。コテンパンに負ける小説を読んで、負けを認める疑似体験を。

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2019/01/25

探偵事務所の主を自殺という形で失った女探偵コーデリア。 新米探偵が依頼を受けた、ある青年の自殺の理由。 今は居ないバーニイの教えを胸に刻みながら ひたむきに事件の真相を暴いていく。 コーデリアが危険な目に合いながらも冷静に切り抜ける姿に頑張れ!って言いたくなる。 後半は、そ...

探偵事務所の主を自殺という形で失った女探偵コーデリア。 新米探偵が依頼を受けた、ある青年の自殺の理由。 今は居ないバーニイの教えを胸に刻みながら ひたむきに事件の真相を暴いていく。 コーデリアが危険な目に合いながらも冷静に切り抜ける姿に頑張れ!って言いたくなる。 後半は、そっちに行くか~って感じの事件解決だったけど 探偵として頑張るコーデリアを応援したくなりました。

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