反射 の商品レビュー
事故死した競馬写真家…
事故死した競馬写真家の家に強盗が押し入った。目的はなんなのか?アマチュア写真家のノアは自らの知識を駆使して事件の解明に挑む。競馬シリーズです。
文庫OFF
久しぶりに読んで驚いたのだけど、なかなかの名作である。前作「利腕」があまりにも有名なので、その影に隠れていたきらいがある。 主人公のフィリップ・ノアはプロの騎手であり、アマチュアのカメラマンである。友人の父親でプロのカメラマンが車で立木に激突して命を落とし、そのことに関わり合う...
久しぶりに読んで驚いたのだけど、なかなかの名作である。前作「利腕」があまりにも有名なので、その影に隠れていたきらいがある。 主人公のフィリップ・ノアはプロの騎手であり、アマチュアのカメラマンである。友人の父親でプロのカメラマンが車で立木に激突して命を落とし、そのことに関わり合う中で、奇妙な出来事に巻き込まれていく、という物語と、母親から半ば見捨てられて孤独に育った彼が、敵対している祖母の依頼でまだ見ぬ妹を捜すという物語が、平行して進行する。 家族環境とでたらめとしか思えない母親のおかげで、他人の間を転々としながら成長した主人公が、波風を立てぬように、他人と敵対しないように人の顔色ばかりをうかがいながら生きてきた感じがしみてくる。そして、そういう彼が新しい人生観を見つける姿は感動的だ。また、騎手という職業に関する、特に、自分が好きな仕事を続けられなくなるとき、人はどうしていくのかという問いかけは、胸に迫ってきた。 結局のところ、彼自身に才能があるわけで、その辺はフランシスの小説らしいところであるのだが。 ミステリとしては、謎解きの要素もあるものの、それほど重きを置かれている感じがしない。それどころか、結末に至るまで読んでいくと、もしかしたらかなりの異色作なのではないかという感じがする。「デス・ノート」ばりの、私的な正義と読めなくもないのだ。ただし、そのこと自体が、主人公の人生の在り方を大きく関わり合っていくので、後味は悪くない。 主人公の恋人役、僕はかなり好きな女性像である。
Posted by
この本も「読み返す本」「捨てられない1冊」。心から打ち解ける関係を必要とせず、求めもしなかったノアが、自分に妹がいると知らされ 天涯孤独だと思っていたのに 急遽親族の存在が出てくる。Dフランシスの小説は、裏表紙の説明や 紹介文を読んでも良さは伝わってきません。文と文の隙間にあふれ...
この本も「読み返す本」「捨てられない1冊」。心から打ち解ける関係を必要とせず、求めもしなかったノアが、自分に妹がいると知らされ 天涯孤独だと思っていたのに 急遽親族の存在が出てくる。Dフランシスの小説は、裏表紙の説明や 紹介文を読んでも良さは伝わってきません。文と文の隙間にあふれる言葉のやり取りや 主人公の心の変化 周りを取り囲む人たち 推理への引導 駆け引きが面白いのです。でも「XX」という漢字二文字のタイトルは 読んだか読んでいないか 覚えられない私です
Posted by
競馬シリーズ第19作。競馬写真家のジョージが交通事故で世を去った。騎手にとって屈辱的なシーンばかりを撮り続けた彼の死を悼む者は、少ない…そのジョージの家に2日連続で正体不明の男たちが押し入り、室内を物色していく。果して彼らの目的は?ひょんな事からジョージの隠し持っていた一見失敗作...
競馬シリーズ第19作。競馬写真家のジョージが交通事故で世を去った。騎手にとって屈辱的なシーンばかりを撮り続けた彼の死を悼む者は、少ない…そのジョージの家に2日連続で正体不明の男たちが押し入り、室内を物色していく。果して彼らの目的は?ひょんな事からジョージの隠し持っていた一見失敗作に見える大量のフィルムを手にした騎手のノアは、自らの趣味である写真の知識を駆使し、そこに隠された秘密の解明を試みる。試行錯誤のはてに複雑なパズルを突破したノアの眼前に浮かび上がったのは、競馬界を揺るがす衝撃の画像だった!白熱の傑作サスペンス。 競馬についてと同様に、写真の専門用語はちんぷんかんぷんでしたが、それでも楽しめました。主人公が騎手のもつ経験を生かして、窮地に陥っても自分の身体の状態を分析するところはさすがです。
Posted by
中期の傑作。 母の友達に次々に預けられて点々としながら育ち、出自もよくわからなかった天涯孤独な主人公。 淡々と生きてきた彼が祖母が生きていることを弁護士に知らされて次第に家族のいきさつを知り、幼い日の記憶の意味も知り、才能を生かして生きる道を見つけていきます。 好感度の高い作品で...
中期の傑作。 母の友達に次々に預けられて点々としながら育ち、出自もよくわからなかった天涯孤独な主人公。 淡々と生きてきた彼が祖母が生きていることを弁護士に知らされて次第に家族のいきさつを知り、幼い日の記憶の意味も知り、才能を生かして生きる道を見つけていきます。 好感度の高い作品です。
Posted by
5/16読了。 あらすじ:競馬写真家ジョージ・ミレスが死んだ。彼は騎手としては屈辱的な落馬の写真などを撮っていた、そして死後に2日続けて強盗にはいられた、、、。自らが競馬のアマチュアカメラマンである騎手のフィリップ・ノアはジョージの息子が同じ騎手であることから謎に巻き込まれ...
5/16読了。 あらすじ:競馬写真家ジョージ・ミレスが死んだ。彼は騎手としては屈辱的な落馬の写真などを撮っていた、そして死後に2日続けて強盗にはいられた、、、。自らが競馬のアマチュアカメラマンである騎手のフィリップ・ノアはジョージの息子が同じ騎手であることから謎に巻き込まれていく、、、。 残された写真が分かり始めてからの展開はテンポ良かった♪ だが、騎手はこんなにも丈夫なのか、身体が、、、。
Posted by
19 シリーズ中最愛の作品。 母親に捨てられ、父親は不明で、あちこちの家を転々として育ち、成り行きで騎手になった主人公の独白。 「長い年月、自分にとって生存とは、与えられたものを甘んじて受け、なにかの役に立つこと、物静かで好感を与え、問題を起こさないこと、抑圧的、内向的...
19 シリーズ中最愛の作品。 母親に捨てられ、父親は不明で、あちこちの家を転々として育ち、成り行きで騎手になった主人公の独白。 「長い年月、自分にとって生存とは、与えられたものを甘んじて受け、なにかの役に立つこと、物静かで好感を与え、問題を起こさないこと、抑圧的、内向的で自制すること、であった……差し出されないものは望まないよう長い間しつけてきたので、今では欲しいものはほとんどない……自分がこのような人間である理由は承知している。自分が流れのままに漂っている理由もわかっている。自分があくまで受動的で、状況を変え、肩を怒らせて歩き回り、自分の運命の支配者になる、といった要求を全く感じない理由もわかっている。」 不正騎乗を要求され、断ることの出来なかった主人公が徐々に変貌していきます。 ラスト間際、雇い主が言います。 「わたしは見て取った」彼が話を続けた、「もはやお前は不正騎乗をやらないことを。お前は大人になった。意志が強くなった。お前がわしのために乗り続けるのであれば、わしは二度と不正騎乗を要求しない」 ラスト間際の主人公の独白。 「未来は自分の内にあって、認められるのを待っている。間もないある日、自分はその未来に入り込んでいく。」
Posted by
- 1