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小田原ドラゴンくえすと!(2) の商品レビュー

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2024/07/31

 この本を読み終わったのが6月で、それから一か月もしないうちに登場人物の石川キンテツさんが亡くなった。キンテツさんにはお世話になっていて、コアマガジンか何かのパーティでお会いしたのが最初だっただろうか。元々雑誌『トップスピード』を読んでいて知っていて、キンテツさんも僕の漫画を読ん...

 この本を読み終わったのが6月で、それから一か月もしないうちに登場人物の石川キンテツさんが亡くなった。キンテツさんにはお世話になっていて、コアマガジンか何かのパーティでお会いしたのが最初だっただろうか。元々雑誌『トップスピード』を読んでいて知っていて、キンテツさんも僕の漫画を読んでくださっていた。お互い『投稿写真』のファンであったことで仲良くなって、サン出版の堀川編集長を紹介していただいて、随分お仕事をさせていただき、まさに恩人だ。毎年年賀状の似顔絵イラストを描かせていただいて、新宿でマッスル坂井さんに初めてお会いしたのもキンテツさんの紹介だ。よるのひるね映画研究会の初期作品にもご出演いただいた。すごく面白い演技だった。この本も石川キンテツさんにいただいたものだ。  ある時、六本木のキャバクラに連れて行っていただいたことがある。地元のスナックでも全然楽しめないので、気が進まなかったのだけどおごってくれると言うのでのこのこついて行った。すっごくきれいなお姉さんに気を使われていたたまれない気持であった。会計がわずかな時間にもかかわらず3万円以上で度肝を抜かれた。そんなにおごってもらっていいのか、しかしそんな金額を割り勘できる余裕はない。むしろ年長者なのでこっちが本来おごる立場ではないか。そんな気持ちがぐるぐると渦巻いたのだけど、結局そのまま素直におごってもらった。キンテツさんはこんな恐ろしい遊びをしているのかと、東京、六本木、怖い。完全にセレブとか社長とか上級の遊びで、貧乏なサブカルの居場所ではないと痛感した。美人には強欲さや恐ろしさを感じて、変なことを言って怒られそうな気がするしキャバクラなど美女のいる水商売は全然楽しめない。たすかった。  近年キンテツさんとは小学館の忘年会で会うだけになっていたのだけど、それもコロナ以降なくなっている。  その間に大怪我されて長い間入院されていたそうだ。東京で暮らしていたら頻繁にお茶を飲んだりしていただろうか。距離があって家族がいて、人づきあいが家族以外にはほぼない状態であるため、なんとも言えない。近しくしていたらどうだったのだろう。  年賀状の似顔絵イラストの過去作を年賀状で使ったお礼にクッキーを送っていただいて、お返しのお菓子を送って電話で話したのが最後だ。とにかくお世話になりっぱなしでお礼をしていないままになってしまった。とにかく恩人だ。  サブカルライターが中年期を迎えて廃業して、介護か農業をしている人が多いと聞いた。お元気だったらどうしていただろう。小田原ドラゴンさんが、これはこれで幸福な最期だったのではないだろうかとポストされていて、確かにそうかもしれない。自分には家族がいて本当に救われている。もしいなかったらと思うとぞっとする。未来を想像すると人生や社会、老いの厳しさに恐怖するばかりだ。  とにかく石川キンテツさん、どうもありがとうございました。お通夜があったら絶対に参列したいし、お別れ会があったら教えて欲しい。お香典を持参したい。

Posted byブクログ