ブッダ+法然 幸せの智慧

浄土宗総合研究所(編者)

• 販売会社／発売会社: 大法輪閣
• 発売年月日: 2025/04/28
• JAN: 9784804614557

商品レビュー

2025/05/20

ブッダの教えの始まりと煩悩への向き合い方
本書は、ブッダと法然という二人の智慧を軸に、幸福に生きるための道筋を示します。苦しみの原因である煩悩を理解し、全てをなくすのではなく「小欲知足」の境地を目指すことの重要性を説きます。持っていないものを数えるのではなく、今あるものに感謝することで、多少の欲があっても心穏やかに過ごせることを示唆します。

煩悩とその影響：心の曇り、怒り、輪廻
貪りや怒りといった煩悩は、心を曇らせ正しい判断力を奪い、私たちを不自由にします。世の中の無常を理解せず永遠なるものを求める「俗なる求め」は苦しみを生み、特に他者を懲らしめようとする怒りは輪廻の原因となります。

心の整え方と他者への思いやり：智慧と知識
心が乱れた時には深呼吸や音楽で心を落ち着かせ、大切な人に会う前には心を整えることが大切です。仏教における智慧は知識の多さではなく、物事を正確に判断する心の働きであり、正しい生き方へと導く鍵となります。

人間関係と言葉遣い：慈悲の心と家族
他人の過ちを見る前に自身の欠点を見つめ直し、他者への非難よりも自己との対峙が重要です。ネットでの暴言を戒め、智慧ある人は心を正し言葉を慎むことができると説きます。最も身近な家族を大切にすること、そして生きとし生けるものすべてに母親が子を守るような無量の慈悲の心を向けることの重要性を強調します。

慢心と自己省察：愚者の自覚
仏教では慢心を根本的な煩悩と捉え、慢心に打ち勝つためにはまず自分自身を見つめ直し、心の中の煩悩を自覚する必要があります。法然は、阿弥陀仏の本願による救いを受け入れるためには、まず自分が愚者であるという自覚を深めることが必要だと教えます。

布施と功徳：実践と継続の重要性
布施は仏道修行の基本であり、功徳を積むことで現世でも来世でも喜びが得られます。悟りを得るための特別な生活を送ることは難しくても、穏やかな生活の中で規則正しい生活や思いやりある行動をすることで、心の安定や智慧の境地へ繋がります。法然は、誰でも救われる専修念仏の道を説き、お念仏を唱え続けることの重要性を強調します。

死との向き合い方と新たな始まり：人生の勝利者
私たちは死に至る存在であることを自覚し、死に対する恐怖や不安から目を背けずに向き合うことが重要です。法然は、死後への不安に駆られる私たちに念仏を勧め、極楽浄土への往生を目指すことを示します。人生の勝利者とは、自己の執着や迷いに打ち勝ち、自分自身の心の平安を得た道を歩む者です。常に自己を奮い立たせ、日々を新鮮な気持ちで迎えることの大切さを説きます。