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ドライブイン探訪 ちくま文庫
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ドライブイン探訪 ちくま文庫

橋本倫史(著者)

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ドライブイン探訪 ちくま文庫

990

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2022/07/11
JAN 9784480438171

ドライブイン探訪

¥990

商品レビュー

4.2

6件のお客様レビュー

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2024/05/14

ロードサイドでよく見かけるドライブイン。戦後の昭和期に花盛りとなったが、今は衰退の一途。著者は、そんなドライブインを訪ね、話を聞き集め、日本の戦後史に触れてみたいと考えた。ドライブイン巡りを始めたのは2011年、以来、200軒近い店を訪れた。そこで特に印象深かった店を再訪し、話を...

ロードサイドでよく見かけるドライブイン。戦後の昭和期に花盛りとなったが、今は衰退の一途。著者は、そんなドライブインを訪ね、話を聞き集め、日本の戦後史に触れてみたいと考えた。ドライブイン巡りを始めたのは2011年、以来、200軒近い店を訪れた。そこで特に印象深かった店を再訪し、話を聞かせてもらってまとめたのが、この「ドライブイン探訪」である。企画・取材・制作を一人で手がけただけあって、著者の熱量が伝わってくる内容となっている。 ここで取り上げられている店は北海道から沖縄までの22軒。店主からの取材で見えてきた戦後日本の歩みについて印象的なものを以下に列挙する。 ・80年代、北海道にはバイクで旅する「ミツバチ族」という若者が集まった。そのころは周遊券切符で低予算の鉄道旅をする「カニ族」は下火になりつつあった。 ・阿蘇のやまなみハイウェイは東京オリンピック開幕に合わせ、湘南道路、京葉道路、第三京浜、名神高速とともに整備された。そのころは「ハイウェイ時代」と呼ばれた。 ・四国にはドライブインと遍路宿を兼ねた店があるが、観光バスによる遍路は下火になった。 ・沖縄の「A&W」、平塚の「ペッパーズドライブイン」など、米軍基地があるところでは、今もアメリカンなドライブインがある。 ・自動販売機だけを集めたオートレストランは1960年代に始まり、群馬県の「ドライブイン七輿」は今も続いている。 ・福島の「二本松バイパスレストラン」は今も「トラック野郎」のオアシスだが、運転手同士が偶然顔を合わせ談笑する光景は消えた。 ・青函トンネル、本四架橋のきっかけになったのは、1954年の青函連絡船「洞爺丸」沈没事故1955年の宇高連絡船の衝突事故。トンネルと架橋が実現した1988年には「一本列島」という造語も生まれた。1987年に可決された総合保養地域整備法の影響もあった1990年、岡山の児島に誕生したドライブイン「ラ・レインボー」は高さ138メートルの回転式展望台タワーが目玉だったが、バブル崩壊で閉鎖された。 この他、鹿児島のユニークな「軍国酒場」から転じた資料館「戦史館」を併設した「ドライブイン薩摩隼人」など、独特のこだわりやオリジナル料理の紹介も面白かった。 巻末に示されている参考文献の数の多さといい、店主の人生にまで踏み込み、そこから歴史をあぶり出す洞察力といい、著者のドライブイン巡りは伊達や酔狂でやっているものではない。 あふれ出る熱意を抑え、店主や関係者から淡々と話を聞き取り、考察しながら時代背景を正確に浮かび上がらせる。豊かな文章力とも相まって、親しみやすい素材で昭和史探訪に読者を導く秀逸な作品だ。

Posted by ブクログ

2023/03/01

淡々と、さらあっと 自分の知らない世界に触れられた。仕事は稼ぎだけじゃないんだよねとも思えた。 久々に購入した文庫本。よかったなー。後書も含めて ドライブイン薩摩隼人の話はかなりグッと来た。違う考えを尊重する、それが民主主義。 夫婦の間でもこうしてくれんねと相談する。 いろ...

淡々と、さらあっと 自分の知らない世界に触れられた。仕事は稼ぎだけじゃないんだよねとも思えた。 久々に購入した文庫本。よかったなー。後書も含めて ドライブイン薩摩隼人の話はかなりグッと来た。違う考えを尊重する、それが民主主義。 夫婦の間でもこうしてくれんねと相談する。 いろんな人生を歩んだ人がおるわけやから、その人たちと話せば、自分が知らない世界を知れる

Posted by ブクログ

2022/11/03

高度経済成長期と共に日本の各地で開業され、21世紀に入って年々その数を減らしているドライブイン。今も営業を続ける人びとへのインタビューから、戦後日本の在りし日の姿が浮かび上がってくる。 読みはじめたら止まらず、一気に読んでしまった。ドライブインが次々開業したのは主に60年代。...

高度経済成長期と共に日本の各地で開業され、21世紀に入って年々その数を減らしているドライブイン。今も営業を続ける人びとへのインタビューから、戦後日本の在りし日の姿が浮かび上がってくる。 読みはじめたら止まらず、一気に読んでしまった。ドライブインが次々開業したのは主に60年代。自家用車の所有率が上がり、「秘境ブーム」を旅行誌が盛り上げ、来たる東京五輪に向けて国道が整備されていくなか、次はこれだ!という山っ気をだして商売を始めた人が多い。そんな話は面白いに決まっているのだ。 第Ⅱ章だけは少し毛色が違っていて、六本木と沖縄という米軍キャンプのある土地における〈米兵が通う憧れの店〉としてのドライブインが語られる。この章で取り上げられるアメリカへのファンタジーにあふれたドライブインの佇まいは、私にディズニーランドを連想させる。引用されているCoccoのインタビューによれば、A&W(ドライブイン)とブルーシールをはしごするのが「沖縄の子どもたちが喜ぶスペシャルコース」だそうだ。こんなレストランが近所にあったら楽しいよなぁ。 レトロな光景には唆られるが、店を切り盛りしてきた方々の口から語られるのは、言ってしまえばどうしようもなく〈前時代的な〉お話でもある。田舎の長男・長女問題。親の決めた相手と結婚し、夫が独断で開いた店を、夫に先立たれたあとも守り続けてきた妻。そしてエピローグに置かれた強烈なドライブイン、「軍国酒場」。しかし、最盛期から50年以上店を続けてきた人たちの言葉を読んでいると、単に「時代遅れ」と言って切り捨てることなど到底できない〈昭和の多義性〉とでも言うべきものに想いを馳せずにはいられなくなる。 インタビューを申し込むまで何年もかけ、何度も足を運んだという橋本さんの文章には押し付けがましさがない。ルポというと自分が説教をしたいがために取材対象から我田引水するようなものに当たることもあるが、本書には説教臭さも過剰な懐古趣味もない。ただ静かに時が過ぎていくという当たり前のことに感じる胸の痛みや寂しさが記されているだけである。 物心ついたときにはもうバブルがはじけていた世代としては、すべてがレトロフューチャーなファンタジー世界の話のようでもある。私は自分の車を持ったことがないし、ドライブインの名乗る施設で食事をした記憶もない。パーキングエリアや道の駅でも、正直ご飯が美味しそうに思えたことはない。でも本書には無性に食欲が唆られた。昔は沖縄でしか飲めなかった、本物のオレンジでできたバヤリース。自販機で温められたチャーシューメン。〈ドライブインつぼい〉の豚バラ焼きは、近いうち真似して作ってみるつもりだ。

Posted by ブクログ

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