商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 臨川書店 |
発売年月日 | 2022/03/11 |
JAN | 9784653045175 |
- 書籍
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戦後日本の傷跡
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戦後日本の傷跡
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本書は、国際日本文化研究センターの共同研究会「戦後日本の傷跡」の成果としてまとめられた論文集である。その趣旨とするところを研究会立上げの呼びかけから引用すると、「本共同研究では戦後日本を<傷跡>というキーワードから再検討する。傷跡とは過ぎ去った過去の時間に生起した出来事(傷)を...
本書は、国際日本文化研究センターの共同研究会「戦後日本の傷跡」の成果としてまとめられた論文集である。その趣旨とするところを研究会立上げの呼びかけから引用すると、「本共同研究では戦後日本を<傷跡>というキーワードから再検討する。傷跡とは過ぎ去った過去の時間に生起した出来事(傷)を再確認するための記号であるばかりではない。それはいまだ終わらない、完結しない過去、癒し難く忘却することのできない経験が現在に息づく、現在進行形の語りによってしか語ることの出来ない、過去の時間と現在の時間とが交錯する場所だ。」(4頁) 現実の出来事や事件から、あるいは文学作品や映画等に表象された傷跡を素材にして、戦後の日本社会における様々な傷跡について論じられる。具体的に取り上げられるのは、戦争に翻弄された人びとや、社会から見捨てられ、底辺に追いやられた者たち、性暴力の被害者や障害を持つ者、政治運動や民衆運動の闘いに敗れ、又は挫折した等々であるが、日本が戦後復興を遂げる中で、こんなにも傷を負い、苦しんできた人たちがいたこと、そしてそれが解決し終わったものばかりではないことを知り、何とも言えない気持ちとなった。 傷痍軍人、特攻隊員の後に残された者、満洲等外地からの引揚体験、台湾先住民を日本人にさせる殖民暴力、朝鮮人たちの置かれた法的位置と移動の問題、在韓被爆者支援、第一次釜ヶ崎暴動、東大闘争、サリドマイド被害など、自分が同時代的に目にしたり、ニュース等である程度知識のあるものもあったが、諸論考を読みながらその意味合いや当事者たちの思いを、より深く考えることができたような気がする。 また、大城立裕『カクテル・パーティー』と大島渚『絞死刑』において取り上げられたレイプと男性セクシュアリティの問題、松谷みよ子の『現代民話考』と戦争体験の語り、中野重治「雨の品川駅」の自己批判の背景と共産党・朝鮮人民族解放問題、森崎和江の『まっくら』、『からゆきさん』など、文学作品に現れたテーマやその表現について、新たな視点からの読み方を教えられた。 いずれも正面から向き合うことが苦しくなるような問題であるが、忘れてしまって良いことではないし、どのようにすれば当事者たちの傷を少しでも軽くすることができるのか、考えていかなければならないのだろう。 なお、1963年にお母さんを突然の病気でなくしてしまった小学校5年生の少女古田幸が書いた詩『おかあさんのばか』がメディアで大きく取り上げられ、歌や映画が作られたり、あの細江英公撮影の写真集(”Why,Mother,Why?”)まで出されたことは、初めて知った。
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