商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 宝島社 |
発売年月日 | 2021/08/11 |
JAN | 9784299019868 |
- 書籍
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あなたを愛しているつもりで、私は――。
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あなたを愛しているつもりで、私は――。
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商品レビュー
4
18件のお客様レビュー
ASD・ADHDっ子を育てるお母さんの小説ですが、随所にエッセイに近いものを感じました。 フィクションとして練りこまれているいっぽうで、本質はとてもリアル。 引き込まれましたし、わが身に引き寄せて考えることができました。 母・夕子と娘・七緒の親子が、これはもう「こういうお母さん...
ASD・ADHDっ子を育てるお母さんの小説ですが、随所にエッセイに近いものを感じました。 フィクションとして練りこまれているいっぽうで、本質はとてもリアル。 引き込まれましたし、わが身に引き寄せて考えることができました。 母・夕子と娘・七緒の親子が、これはもう「こういうお母さんがこういう子を育てたらそれはもう大変だよね」という感じが群を抜いた組み合わせで、人の顔色を伺い自分の気持ちを押し込めてしまうアダルトチルドレンの夕子さんが、その生き方を七緒ちゃんに押し付けてしまうのが、夕子さん寄りの気持ちで分かりやすく理解できました。 理解はできる、けれど共感はできない、というギリギリのラインだと感じました。 自分が当事者でないからだろうと思うと、非常に未熟で情けないのですが、だからこそこのような作品に巡り合えたことが嬉しいです。 「愛してるつもりで、本当はなんなの?」という問いが含まれるタイトル、読みはじめは正直なところその答えを知るのが怖かったです。 でも、読み進めるうち、母親が子に抱く感情の正体が、丁寧に、説得力ある筆致で明かされ、ものすごく納得しました。 もしかしたら「親なのにこんな風に感じるなんて!」と憤る方もいるかもしれませんが、子育てに責任を負うというのは、そういう危うさと表裏一体だと常々思います。 七緒ちゃんの側にいてくれた大人たちが素敵でした。 母親・夕子さんと娘・七緒ちゃん、両親、妹、夫の関係が丁寧に描かれていて、夕子さんとともにインナーチャイルドが融解していくような心地になりました。 元職場の方々も素敵。 保育園も色々あるし、幼稚園はママ同士が近すぎて窮屈なのも分かる分かる……頷く首が止まりませんでした。
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発達障害の娘七緒に向き合う母親夕子の内面のなかで葛藤が起きて娘を愛し守り育てるつもりで、現実では娘の特性を認められずに普通の子供にこだわってしまう様子が描かれている。診断がついたからと言って、良い主治医に出会えたからと言って、パートナーが理解してくれたからといって母子ともに大丈夫!と言える環境、心理的状態になるのには時間がかかることが伝わってきた。 今自分で自分の発達障害を疑い、精神科に受診して薬を飲んだり対策をしても、ミスは無くならないし親からの理解はあまり得られない。発達障害だとわかってもそこで自己受容できるわけではなく、そこから普通に対する憧れと自分への無力感が増していく様が、娘の他の子を比べて悩む夕子の葛藤と重なり、とても共感して読んでいた。 夕子の「何で普通にできないの?」という心の叫びは夕子が幼少期に母親からかけられた言葉が影響しているはず。その子らしさを受け入れよう、多様性を受け入れよう、とスローガンのように社会には浸透してきているが実際は「普通にできないあの人はおかしいんじゃないか?」「人に迷惑をかけてはいけない」と周りからの目の厳しさや、周りに求める「普通」のレベルはあまり変わっていないように見える。七緒と夕子がお互いちょうどいい距離感をもってお互い穏やかにすごせるような世界になっていってほしいと切に願う。 【参考文献について】 参考文献にある『メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服』を途中まで読んでいたので、その本でも取り上げられていた自他境界の曖昧さが生むメンタライゼーション不足を彷彿とさせるシーンが多くて興味深かった。 例えば、夕子が理想の母親をやれないことに心を痛めて心配して声をかけた夫に対して「「本当は一日中部屋から出もしないで何してるんだって思ってるんでしょう? 母親のくせに、教師だったくせにこんな小さな子を躾けることもできないで、これからどうするつもりだって言いたいんでしょう? 誠司は…」という場面。 このシーンで夕子は緊迫した状況の中で自分の心の中で起きていることを見渡す力が落ちて、心的現実が外的現実そのものと認識する「心的等価モード」に入ってしまっていると解釈できる。
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発達障害を持った母親の苦労、葛藤がよく描かれた作品だったと思います。子どもである七緒から見たら良い親ではないかもしれないけど、懸命に頑張っている姿には涙するものがありました。 彼女が周囲に馴染もうとする生き方をしてきてしまったばかりに、子どもにも同じ生き方を強いてしまう。一見すると、それはとても残酷なのですが、そのようなことが今までの日本では当たり前のように繰り返されてきた。同調圧力に悩まされる人の声は無視されてきた。そのことが可視化されたような物語でした。 だからこそ、これから夕子は七緒を「皆」ではなく「一人」の人間として尊重してあげられるようになってほしいし、夕子自身も自分を尊重できるようになってほしいですね。自分にどれだけ向き合ったかで、子どもへの向き合い方が決まる。そんな風にも思わせてくれる作品でした。 また、子どもや周囲の大人の描写がとてもリアルで、実際にこういう人たちと話したことがあるんじゃないかと錯覚させられてしまうほど丁寧に描かれていたと思います。学びや気付きを与えてくれる物語をありがとうございました。
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