線型代数 生態と意味 ちくま学芸文庫

森毅(著者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2020/01/10
• JAN: 9784480099662

商品レビュー

2025/11/24

森毅先生の数学書は魅力的だが、やはり難しいのですぐには読めない。数学科の人や数学オタクに向いていると思う。
ジ
パラパラとぺージをめくっていたら、p37にこう書いてある。

＜これがｆのランク（階数とか位数とか訳す）で、「線形代数の難しい概念」ということになっている。それについては、あらためて触れることにするが、これは「次元の弟分」ぐらいのもので、実のところ真に難しいのは、すでに使いまくっている次元の方で、使いまくっとるうちに感じがつかめるだろうと、ボンヤリしたままで使っとるわけだ。それでも、ランクになると、部分空間やら商空間がからんでくる。そのところを、ここでさしあたり論じてみたわけだ。＞

理工系のボンクラ頭の私には難しいが、こういう大局的な見通しを、ユーモアを交えて語ってくれる森先生の数学本は魅力的である。

お終い

2022/12/20

*****
　もっとも，理念などというのは抽象的であるし，少しとりとめない感じがするかもしれない。そんなものでは「役に立つ」ような気がしない，という学生には，ム，ぼくとしてはまあ，数学の「役に立つ」とはそんなもんさ，ま，大学の数学の「役に立ち方」はその程度のもので，それが気に入らねば，「役に立たん」数学の単位なんか一切とるな，とでも居直るより仕方がない。(p.21)

ともかく線型代数をやっているうちに，それに固有の面白いことが出てこよう。何の役にも立たんかもしれないが，数学ではなにより，その面白さを楽しむのが一番。オモロかったらやんなはれ，ツマランかったらやめなはれ，ン，ソレデイイノダ。(p.21)