商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 書肆侃侃房 |
発売年月日 | 2018/10/17 |
JAN | 9784863853379 |
- 書籍
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遠くの敵や硝子を
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遠くの敵や硝子を
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商品レビュー
4.7
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1987年横浜生まれの服部真理子さんの歌集。 はじめの連作のタイトルが『愛には自己愛しかない』で、ドキッとする。 そちらから数首。 わたくしが復讐と呼ぶきらめきが通り雨くぐり抜けて翡翠(かわせみ) 姿見で冷やす手のひら かつてここを通り抜けたる巡礼ありき 咳と死、そのたび銀貨のように散り人間の顔を照らすつかの間 * あとは歌集の前半から好きな歌をランダムに。 夕顔が輪唱のようにひらいても声を合わせるのはいやだった『ある輪唱』 千の言語、万の言語で話すのが銀杏並木のやり方だから『千の言語、万の言語』 スプーンのさなか逆さまの夕映えよ人の体が火に終わること『宇宙にヘッドフォンをかぶせて』 その問いをあなたは負うな 引き出したフィルムにひとつきりの鹹水湖『土師記』 見るものをみな剥製にするような真冬の星を君と見ていつ『狼を追えば』 雪は人をおとずれる 人が川沿いの美術館をおとずれるのに似て『狼を追えば』 缶詰の桃にちいさな窪みあり人がまなざし休めるための『潮干狩り』 春ひとつゆくのを待てり十本の指にとんがりコーンをはめて『花をくわえて』 * [その問いを〜]に、なぜかグッとくる。 引き出したフィルム=歌の主体が話しかけている人の半生、ひとつきりの鹹水湖=トラウマのことだと解釈。 誰しも、自分の過去を振り返り、「あのとき、何で、どうして」と、問いを抱えることもあるかもしれない。 けれども、主体はその問いそのものを[負うな]と言う。 命令形だけどすごくやさしい短歌だと感じた。 歌集タイトルの『遠くの敵や硝子を』は著者服部真理子さんが幼い頃、ご家族の誰かが口にしているのを聞いて知った「遠くの敵は近くの味方より愛しやすい」という言葉からとったそうだ。うーん、意味深。
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風がそうするより少していねいに倒しておいた銀の自転車 誰を呼んでもカラスアゲハが来てしまうようなあなたの声が聴きたい ああ雪を待っているだけわたしたち宇宙にヘッドフォンをかぶせて 「わかる」と「なんで?」の間あたりを、きれいな言葉ですくっていってくれるような不思議な体験。...
風がそうするより少していねいに倒しておいた銀の自転車 誰を呼んでもカラスアゲハが来てしまうようなあなたの声が聴きたい ああ雪を待っているだけわたしたち宇宙にヘッドフォンをかぶせて 「わかる」と「なんで?」の間あたりを、きれいな言葉ですくっていってくれるような不思議な体験。前作よりすきだった。この人の短歌はすこし攻撃的で、強くて美しい感じがする。インタビューを読んでみたら、意味には重きを置いてなくて、語感のとりあわせで書いてるみたいなことをおっしゃってて、ちょっと意外だった。そこまで支離滅裂な感じもしないので。でもだからこそすこし魔術的な感じがして深みがあるのかも。
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論争の発端となったという、「水仙と盗聴」の歌など、よくわかると思う。「歌壇」2017年5月号の感想の冒頭部で、僕の理解を述べた。むしろ男性に少し媚びていると思う。 若者にとって厳しい社会で、歌壇のヒロインとして、彼女は生き抜く決意をしたようだ。 芸術を取るか生活を取るかの岐...
論争の発端となったという、「水仙と盗聴」の歌など、よくわかると思う。「歌壇」2017年5月号の感想の冒頭部で、僕の理解を述べた。むしろ男性に少し媚びていると思う。 若者にとって厳しい社会で、歌壇のヒロインとして、彼女は生き抜く決意をしたようだ。 芸術を取るか生活を取るかの岐路で、彼女は若くして芸術を取ったようだ。 彼女が将来、不幸に成らない事と、新しい歌を生み続ける事を、今の僕は願うばかりだ。
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