商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 影書房 |
発売年月日 | 2017/05/22 |
JAN | 9784877144722 |
- 書籍
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眼の奥の森 新装版
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眼の奥の森 新装版
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日本で初めて地上戦を行った沖縄戦 その集落の人に起こった惨劇から始まる 村の美しい娘小夜子が四人の米兵に陵辱される 読み進むにつれ生々しい描写で明かされる小夜子への性暴力 語り手が変わっていく手法でここでは加害米兵の一人だった 鉛を飲み下すように苦しくなる 加害者が語ることで加害...
日本で初めて地上戦を行った沖縄戦 その集落の人に起こった惨劇から始まる 村の美しい娘小夜子が四人の米兵に陵辱される 読み進むにつれ生々しい描写で明かされる小夜子への性暴力 語り手が変わっていく手法でここでは加害米兵の一人だった 鉛を飲み下すように苦しくなる 加害者が語ることで加害者の視点を知ることができる それは意味のあることだった 小夜子に想いを寄せていた村の青年盛治が仇をとるため米兵を殺そうとする 一歩届かず一命を取り留める米兵 それが先の記述の語り手だったことが 後にわかる その後盛治は身柄を押さえられ捕まるが釈放される なぜ、自由になれたか その理由が最後に明かされた時に鉛を飲み下せた気がした 当事者、被害者の口からは語らせず、第三者、加害者が明かす この手法は重く苦しい内容にとても上手く作用している 語りは静かだが、時に容赦なく突きつけてくる出来事 フィクションではあるが、戦争という狂気の世界で現実ありえたであろう惨劇 戦争体験を語る小夜子の妹の話を聴いていた少女も小さいからこそ逃げ場のない空間で息を殺し生きている 見つからないように 小夜子と自分を重ねる 過去の戦争と今を生きる子どもの残酷な世界をシンクロさせる 今は無き森で起こった惨状 眼を閉じれば浮かぶその森が焼き付ける悲しみ 苦しみ 怒り それを抱え生きた人々 今なお続く沖縄の苦痛 戦争が放った余りにも大きく苛烈な犠牲が連綿と横たわる 今私達はそれに何を思うのか 託されている
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