みだら英泉 河出文庫

皆川博子(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2017/03/07
• JAN: 9784309415208

商品レビュー

2020/05/30

妹たちを踏みにじっても描く。芸術家の性というかもはや業である気がしました。
渓斎英泉…不勉強なので、朝井まかてさんの「眩」で初めて知った絵師なのですが壮絶でした。
そして彼の三人の妹たちそれぞれの葛藤もなかなか…特にお津賀とおたまの確執が。
登場人物たちがとても生き生きしてて、悩み抜いているのが迫ってきました。お栄が出てくるのも好きです。時代小説でも皆川さんでした。
英泉の絵を検索しました。眼差しは小さい画像ではよくわかりませんでしたが、藍の濃淡だけで描かれていてもとても鮮やかで綺麗でした。もっとちゃんと見てみたくなりました。

2019/03/05

浮世絵師、英泉と3人の妹たち。禁じられた絵と、人物全てが生々しい。なんて言うか肉感が凄いなと感じた。可愛らしい朝顔が時折、禍々しく変化するように乱れる。

2018/06/15

読了して、ぼんやりして。それから、すっかり怖くなってしまった。皆川博子作品と向き合うと、宵闇の真ん真ん中から、みどり色の目でじいっと見つめる目に出会す気がするのだが、今回はその目が、まるで「蝦蟇の油」を淡々と観察していたようで。とても、おそろしい。