命の器

宮本輝(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 1983/10/20
• JAN: 9784062007184

商品レビュー

2008/06/28

「命の器」
運の悪い人は、運の悪い人と出会ってつながっていく。
やくざのものにはやくざが集まり、へんくつな人はへんくつな人と親しんでいく。
心根の清らな人は心根の清らかな人と、
山師は山師と出会い、
そしてつながっていく。
じつに不思議なことだと思う。
"類は友を呼ぶ”
ということわざが含んでいるより、
もっと奥深い法則が、
人と人との出会いをつくりだしているとしか思えない。

って箇所がすごく印象的でした♪

1998/11/01

私の読みはおそらく正しい。人は飢餓の時、性に遊戯じみた細工を弄したりしない。一定の快楽に、より以上の快楽を求めようとあがくのは、満腹な人間か、畜生の化身か、かたよった豊かさと空疎な自由に疲れ果てた人々のいずれかであろう。物足りない、何か物足りない・・。こんなに豊かで自由なのに物足りない。何かを喪った、何か大切なものを捨ててきた。人の心にそうした呟きが充満してこないかぎり、時代は動きださない。(p.81)