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風来記 わが昭和史(2) 雄飛の巻
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風来記 わが昭和史(2) 雄飛の巻

保阪正康(著者)

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風来記 わが昭和史(2) 雄飛の巻

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2015/08/21
JAN 9784582824780

風来記 わが昭和史(2)

¥1,870

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2019/12/25

保坂さんの自伝である。実は(1)「青春の巻」は早くから買っていたが、積ん読状態だった。今回取り出して読んでみるとこれがめっぽう面白い。ただ、(1)より(2)の方が今につながるからよけい興味深かった。(1)は数学の教師であった父親との確執が根底にある。とはいっても、父親を愛していて...

保坂さんの自伝である。実は(1)「青春の巻」は早くから買っていたが、積ん読状態だった。今回取り出して読んでみるとこれがめっぽう面白い。ただ、(1)より(2)の方が今につながるからよけい興味深かった。(1)は数学の教師であった父親との確執が根底にある。とはいっても、父親を愛していて、捨てきれない。やがてはだんだん父親の気持ちが分かってくるという話である。大学は京大へ行こうとしたが、力が足りず同志社に入る。そこで新島襄の思想をたたき込まれるのだが、シナリオや演劇に夢中になり、勉強はまともにしていない。したがって、就職のときもいろいろ挫折があり、朝日ソノラマという音声の入りの雑誌を出す会社に入る。ここで保坂さんは鍛えられるが、基本的に2年以上は同じところにいないという主義で、仕事場は代わるが、物書きであることは変わらない。 (2)は物書きとしての保坂さんの成長の記録である。ぼくは保坂さんの本は東条英機の評伝から入ったので、こんな本を書ける人はどんな学者かと思ったが、保坂さんのやり方は出版社を通し、チームを組んで取材し書くという姿勢である。その取材の仕方は個人ではなかなかできないことだ。最初に書いたのは、宗教団体を描いた『しなう団事件』さらに5・15事件に連座した橘孝三郎の評伝で、これらを契機に次々と昭和史にかかわる人物を扱っていく。著書だけでも100冊に達するという。東条の評伝は当時としては、なぜそんなものを出すのか、お前は右翼かと思われた時代であったが、保坂さんとしては、当時悪の塊のように言われた東条をいろんな側面から書いてみようとしたものだ。  本書の(2)には、著者と出版社、編集者のかかわりがとても興味深く書かれている。著者というのは自分の出したい本をさっと出せるわけではなく、編集者、出版社の意向が大きくかかわる。その中で、保坂さんは自分と合う編集者を嗅ぎ分ける力を養う。そうして、仕事は広がっていく。ときには仕方なく文章を書いたこともあるが、意に沿わない仕事はことわっているし、編集者とも袂を分かつということをしている。保坂さんの仕事では田中角栄、後藤田正晴、秩父宮。ぼくはその中でも瀬島龍三という人に興味を覚え、その評伝を読んだ。  保坂さんの本を読んでいて感じることは、保坂さんが家族の生活のことをつねに考えているということだった。物書きとしてやっていく上でお金が必要だが、それはサラリーマンとは違い、決まったお金が入ってくるわけではない。時に売れたときはそれをボーナスと呼んだりしている。保坂さんはその後娘さんを失い、七歳下の奥様にも先立たれた。自分自身も大きな病気を何度もしている。これは人ごとではない。80を迎えた保坂さんは今後も仕事をしていくだろう。健康を願ってやまない。

Posted by ブクログ

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