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小津安二郎名作映画集10+10(09) 東京暮色+その夜の妻 小学館DVD BOOK
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2011/08/29 |
JAN | 9784094804195 |
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小津安二郎名作映画集10+10(09)
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小津安二郎名作映画集10+10(09)
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「東京暮色」1957(S32)モノクロの、小津安二郎監督作品。 戦後の異色作とは聞いていたが、こんなに凄いとは思っておらず、驚愕の140分だった。 「晩春」「麦秋」「東京物語」で平穏な「小津映画」ワールドを作り出し、とりわけ「東京物語」はあらゆる観衆・批評家からも喜ばれ、大成功...
「東京暮色」1957(S32)モノクロの、小津安二郎監督作品。 戦後の異色作とは聞いていたが、こんなに凄いとは思っておらず、驚愕の140分だった。 「晩春」「麦秋」「東京物語」で平穏な「小津映画」ワールドを作り出し、とりわけ「東京物語」はあらゆる観衆・批評家からも喜ばれ、大成功となった。が、小津安二郎は、メロドラマとして受け止められてしまうという事態にむしろ不満であったようだ。 そこで、昭和31年には気分を変えて「早春」という、ホームドラマとはちょっと違う映画を作った。そしてその翌年、さらに全く違う感触の本作を生み出すのである。 画面の構成や場面の切り替えなどは、いつもと変わらない。しかし、最初から異様に暗い画面が多く、木々は枯れ、冬。である。 「晩春」であたらしい幸福への願いを込めて嫁に出された原節子が、本作では夫婦仲がうまく行かず、父・笠智衆のもとに子連れで出戻っている。 一方、原節子の妹役、有馬稲子は地味な顔でひたすらにシリアスな不機嫌さを示している。家族にはずっとばれないのだが、妊娠して、堕胎したのだ。相手はおかま言葉を話すやけに軟弱な青年で、責任をとれずに逃げ回っている。 有馬稲子は仲間たちと麻雀を打ったりもする「ズベ公」で、深夜喫茶で警察に補導される。・・・戦後の小津映画に忽然と「警察」が登場するという驚き! 彼女は母親を覚えていない。母親は昔、男をつくって家出し、最近になって新しい男と共に東京に現れ、雀荘の経営をしている。 堕胎した事実にみずから苦しみ、自分の本当の親は誰か? 自分は誰か? という問いに狂奔して、いきなり電車に轢かれ、死亡する。 実に劇的な映画なのである。これまでの(戦後)小津映画のイメージをくつがえすような作品だ。 大きな口で輝かしい笑みを浮かべるあの原節子に、なんとマスクを付けさせたりもしている。 娘たちに怒りをぶつけられ、北海道行きを決意した母親が、青森行きの列車の窓から、来るわけのない娘(原節子)が来るのを待ちつづけるシーンはいかにも切ない。そして、片親の愛情だけでは足りなかったのか、悲惨にも次女を喪った笠智衆の、ラストシーンでの哀愁も印象深い。 アイネ・クライネ・ナハトムジークのようなものしか知らなかったモーツァルトファンが、いきなりドン・ジョヴァンニを聴いてもんどりうつような衝撃が、この映画にはある。 私はあまりにも悲惨なこの作品が、好きだ。堕胎し、死をおそれながら、早すぎる非業の死を遂げた有馬稲子の人生は、まるで、堕胎し、統合失調症を病みながら、ガンに全身をむしばまれ苦しみながら死んでいった私の姉を思わせる。 忘れられない作品となりそうだ。
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