アメリカ政治を支えるもの 政治的インフラストラクチャーの研究 JIIA現代アメリカ9

久保文明【編】

• 販売会社／発売会社: 日本国際問題研究所
• 発売年月日: 2010/12/01
• JAN: 9784819302517

商品レビュー

2018/11/14

アメリカ政治を支える組織を政治的インフラストラクチャーと呼び、米国政治に詳しい各著者が、財団、シンクタンク、メディア、オピニオン誌、監視団体、宗教勢力、法曹、コミュニティ組織、軍、政治家養成機構等に分け論述している。実際に米国シンクタンクでの勤務経験者をはじめ、アメリカ政治の専門家により調査研究結果をまとめられたものであり、政治支援の実態がよくわかった。印象的な記述を記す。
「財団は法律上、選挙運動や政治献金といった純粋な政治活動に関わることができないが、その一部には、シンクタンクなどへの資金提供を通じて「政治的助成」に活発に従事している財団も存在する」
「ＡＥＩが中道寄りに路線を修正したと見なしたオーリン財団とスミス・リチャードソン財団などが、資金提供を一斉に中止する。この兵糧攻めはＡＥＩを追い詰め、最終的にバルーディ二世は所長の座を追われることになった」
「シンクタンクは直接的・間接的にアメリカにおける政治任用者の人材を育成する場として機能している」
「シンクタンクについてのアナロジーとしてよく使われる「回転ドア」がアメリカではメディアにも当てはまる」
「ＦＯＸ、ＷＳＪ：保守、ＭＳＮＢＣ、ＣＢＳ、ワシントン・ポスト、ＮＹＴ：リベラル」
「アメリカでは多くの政治争点が司法の場に持ち込まれ、それに裁判所が積極的に判断を下すという形で政治が「司法化」する傾向を強くもっている」
「司法省内の序列でいえば、訟務長官は長官と副長官に次ぐ三番手のポストであるが、合衆国政府が当事者となる訴訟のうち、合衆国最高裁で取り上げられるものすべてと、控訴審のものの多くで実際に口頭弁論を行い、その大半で勝訴することから、アメリカにおける実務法律家の最高峰と位置づけられている」
「2000年と2008年との違いは、対中強硬論が減ったことである」

2012/07/31

アメリカの政治の背景にある団体や組織、国からの関係を記しています。
利害関係を知る上での知識にはなるでしょう。
具体的におおきな雑誌各種、メデイアなど、どのような政治的立ち位置にいるかもわかりますし、行政法人や団体の動きもチェックできると思います。